僕は iPhone でアプリを開くとき、ホーム画面からアイコンを探すことがほとんどない。 アプリが並んでいる画面で、そのまま下にスワイプして、検索ボックスに探したいアプリ名の最初の1, 2文字を打つ。そうすると賢いiOSが僕が望んでいるアプリのサジェストを複数候補出してくれる。
ほぼ毎回これ。
13年くらい前かな、初めてiPhoneを手にしたときから数年間は、どのページにアプリを置いたかちゃんと覚えていたし、覚えるためにどのページにどのアプリを置くのかをしっかりと整理していた。だけど、あの作業が意外と面倒なんだよな。ということで、ここ数年はもうあの運用は完全に自分の中で無駄作業として排除し、あの下スワイプの検索に頼り切っている。
チャッピーにきいたら、「それ、Spotlight検索だよ」って教えてもらった。いつもMacで使ってたあのSpotlight検索じゃん。言われるまで全然気づかなかった。
Gadeninアプリをリリースして1ヶ月が経過して、僕自身はGadeninヘビーユーザー。 自分で作ったアプリだから、欲しい機能が全部実装されていて最高に使って気持ち良い。自分で言うのもあれなんだけど。
あの下スワイプで検索ボックスに「Gade..」と打つ。これはちゃんと出てくるので良し。
だが「ガデニン」では出てこない。 「がでにん」も出ない。「家庭菜園」も「ガーデニング」も出ない。
自分のアプリにたどり着けないということはないんだけど、多くのユーザーさんが ホーム画面を下にスワイプして出てくる、Spotlight 検索での話だ。英字で「Gadenin」と打てば、途中まででもちゃんと出る。 「ガデニン」「がでにん」「家庭菜園」「ガーデニング」だと、何も出ない。
App Store の検索も同じだった。「Gadenin」なら出る。「ガデニン」では出ない。
作った本人が、自分のアプリにたどり着けなかった。
口コミで名前を聞いた人ほど、たどり着けない
これは地味に困る。
「ガデニンっていうアプリ、いいよ」と人から聞いた人は、たぶんカタカナで打つ。綴りまでは教わっていないからだ。 読み方を知っている人ほどカタカナで探し、カタカナで探す人ほど見つからない。
口コミで広がるほど、入口で取りこぼすことになる。
Spotlight が見ているのは、アイコンの下の名前だけ
調べると、理由は単純だった。
Spotlight がアプリ名として照合しているのは、ホーム画面のアイコンの下に出る名前だけだ。
iOS の設定では CFBundleDisplayName (表示名) と呼ばれる項目で、Gadenin ではここが「Gadenin」になっている。
そして Spotlight は、英字の「Gadenin」とカタカナの「ガデニン」を同じ言葉だとは見なさない。 人間には同じ名前の読みと綴りでも、機械にとっては別の文字列でしかない。
App Store の検索対象は3つの項目
App Store のほうもASO的観点で一応調べた。
App Store の検索が見ているのは「アプリ名」「サブタイトル」「キーワード」の3つだけだ。 これまでの日本語の設定はこうなっていた。
| 欄 | これまでの中身 |
|---|---|
| アプリ名 | Gadenin - 家庭菜園・栽培記録 |
| サブタイトル | 野菜・果樹・植物の成長記録と園芸SNS |
| キーワード | ガーデニング,農作業,畑,プランター,菜園,水やり,肥料,収穫,栽培管理 |
どこにも「ガデニン」が無い。これはちゃんと入れないと、指名検索を取りこぼす可能性が非常に高い。直さないと。
「家庭菜園」はアプリ名に入っているのに、自分の名前の読みは入れていなかった。アホすぎる。コレくらい想定しておかないとな。
Apple のヘルプには、キーワード欄は「100バイトまで」と書いてあるので、日本語は1文字が2, 3バイト、つまり100バイトは30文字あまりしかない。 いまの9語で、もう92バイトある。「ガデニン」は4文字で12バイト。何かを外さないと入らない。
いちばん早いのは、名前をカタカナにすること
ここで一度迷った。
いちばん手っ取り早い直し方は分かっている。日本語環境のときだけ、表示名を「ガデニン」にすればいい。 表示名は言語ごとに変えられる。これで Spotlight は一発で直る。
ただ、そうするとホーム画面のアイコンの下の名前も「ガデニン」になる。
日本の iPhone では「ガデニン」、英語の iPhone では「Gadenin」。ストアの画面やサイトやブログは「Gadenin」。 同じアプリの名前が、場所によって2通りになる。
Gadenin は、ブランド名としてこれから育てていく名前だ。表記は1つに揃えておきたい。
見つけやすさを取るか、名前を守るか。
名前を守ることにした。
名前は変えずに、入口のほうを増やす
名前を変えないなら、別の道から見つけてもらうしかない。やったのは2つだ。
Spotlight: アプリの中に「検索用の項目」を置く
iOS には Core Spotlight という仕組みがある。 アプリが自分の中身を Spotlight に登録しておくと、検索したときにその項目が出てくる。
これを使って、Gadenin の中に検索用の項目を1つだけ登録することにした。
- タイトルは「Gadenin」
- キーワードに、日本語・英語・韓国語で探しそうな言葉を入れる (ガデニン、がでにん、家庭菜園、ガーデニング、栽培記録、菜園、園芸、プランター、野菜、gardening、plant journal、텃밭 など)
- アプリを起動するたびに登録し直す
- Android では何もしない
これでカタカナでも引っかかる。そう思っていた。
シミュレーター (iPhone 17 Pro、iOS 26.5) で試すと、キーワードは効かなかった。 キーワードにも、別名の欄にも、説明文にも「ガデニン」を入れてある。それでも「ガデニン」「がでにん」「家庭菜園」のどれも、そこからは当たらない。 当たったのは、項目の見出しに入っている文字だけだった。
そこで、見出しそのものを「Gadenin(ガデニン)家庭菜園・ガーデニングの栽培記録」にした。
これはアプリ名ではない。Spotlight の検索結果に出る1行だ。 アイコンの下の名前は「Gadenin」のまま変わらない。ただ、検索結果の1行にだけはカタカナが並ぶ。先頭は必ず Gadenin にしてある。 名前を守ると決めたあとで、ここだけは少し譲った。
キーワードと別名は、実機では効くかもしれないので残してある。
App Store: 1.7.0でキーワードを入れ替えた
App Store のキーワードは、1.7.0を審査に出すときに丸ごと入れ替えた。いま審査に出しているのはこれだ。
ガデニン,ガーデニング,カレンダー,園芸,栽培,菜園,畑,プランター,成長記録,管理,栽培日記,園芸日記,水やり,肥料,収穫,作物,果樹,花,ショート動画,動画生成
先頭に「ガデニン」。「農作業」は外した。
ここで、さっきの100バイトの話が覆る。
この20語は82文字ある。1文字3バイトで数えると208バイトだ。ヘルプの「100バイトまで」の2倍を超えている。 それでも App Store Connect は受け付け、そのまま審査に出せた。
ヘルプの書き方と、入力欄の実際の数え方が違うのかもしれない。理由は分かっていない。 「ガデニン」1語のために何を外すか悩んでいた時間は、少なくとも要らなかった。
シミュレーターでは、半分だけ効いた
1.7.0の開発版を入れたシミュレーターで、最後に確かめた結果はこうだ。
| 打った語 | 結果 |
|---|---|
| Gadenin | 上のほうの「Gadenin」の欄に出た |
| ガデニン | 一覧の下のほう、「その他の結果を表示」の先で出た。アプリを閉じてからもう一度検索したときは出なかった |
| がでにん | 一度も出なかった |
| 家庭菜園 | 最後の見出しでは試せていない (途中の試作では、1ページ目の下のほうに出た) |
「ガデニン」で探せば、Gadenin は出る。ただ、「Siri の知識 (ガーデニング)」「アプリ」「マップ」の欄のさらに下だ。 結果をタップすれば、アプリは普通に開く。
正直に書いておく限界
これで全部解決、とはいかない。
まず、Core Spotlight で登録した項目は、アプリのアイコンそのものとは別枠で出る。「Gadenin の中の項目」という扱いだ。 どの順番に並べるかは iOS が決める。アイコンがいちばん上に出るわけではない。
次に、登録はアプリの中で行うので、最初に1回アプリを開くまでは何も登録されない。インストールしただけの状態では出てこない。
最後に、App Store のキーワードは、新しいバージョンの審査と一緒にしか変えられない。思い立ってすぐ足すことはできない。
名前を守ったぶん、入口は少し遠回りになった。
まだ確かめていないこと
実機ではまだ試していない。検索や起動の履歴で順位が変わるかもしれないが、分からない。
App Store のキーワードに「ガデニン」を入れた効果も、1.7.0が審査を通るまでは分からない。
次は、TestFlight の1.7.0を実機に入れて、一度開いてから「ガデニン」と打つ。