鉢やポットで育てると、外へ伸びた根の先は壁に当たって横や下へ向きを変え、壁に沿って回り始めます。鉢底の角で輪や渦になった根が巻き根で、英語では circling roots と呼びます。
巻いた根は太く固くなり、植え付けたあとも鉢の形のまま回り続けて、外の土へ広がりません。何年も鉢で育てる果樹や庭木ほど影響が大きく、植え付けのときにほぐすか切ること、根の先を空気に当てて止める鉢で防ぐことが対策です。
鉢やポットで育てると、外へ伸びた根の先は壁に当たって横や下へ向きを変え、壁に沿って回り始めます。鉢底の角で輪や渦になった根が巻き根で、英語では circling roots と呼びます。
巻いた根は太く固くなり、植え付けたあとも鉢の形のまま回り続けて、外の土へ広がりません。何年も鉢で育てる果樹や庭木ほど影響が大きく、植え付けのときにほぐすか切ること、根の先を空気に当てて止める鉢で防ぐことが対策です。
巻き根は、根が多すぎることではなく、根の向きが悪いことです。鉢の中で根は外へ外へと伸び、壁に当たると向きを変えて回り始めます。回った根は太く固くなり、植え付けたあとも鉢の形のまま回り続けます。ここでは巻き根ができる仕組みと困る理由、ポットから抜いたときの見分け方、植え付けと植え替えでの直し方、そしてスリット鉢・ルートプラスポット・不織布ポットのように根の先を空気に当てて止める鉢の違いと選び方を順に見ていきます。
巻き根を防ぐ鉢は、どれも同じ考え方で作られています。根の先が空気に触れると乾いて伸びが止まり、植物はその手前から新しい根を枝分かれさせます。これをエアープルーニング (空気による根の剪定) と呼びます。違うのは、空気に当てる場所と、そのぶん水がどれだけ逃げるかです。
壁がつるつるで、当たった根は壁に沿って回る。比べるときの基準
いちばん安く、水持ちがよく、重ねて仕舞えます。その代わり、壁に当たった根は向きを変えて下へ進み、鉢底の角で回ります。陶器の鉢や素焼き鉢も、壁で根の先を止める仕組みが無い点は同じです。
一年草のように 1 シーズンで終わる植物なら、巻き根が深刻になる前に栽培が終わるので、ふつうの鉢で困ることはあまりありません。
底と側面の下のほうに細い切れ目。根が回りやすい鉢底の角に出口を作る
プラスチックの鉢の、底から側面の下のほうにかけて縦の切れ目 (スリット) が入っています。根の先は鉢底の角へ集まり、切れ目で空気に触れて止まります。巻き根がいちばん起きやすい場所にだけ出口を作る形です。
上のほうの壁はふつうの鉢と同じなので、水は側面からあまり逃げず、ふつうの鉢に近い感覚で水やりできます。号数 (1 号 = 直径 3cm) で売られているので、一回りずつ鉢増しする使い方にも合います。
側面いっぱいの穴と内側の突起で、根の先を穴へ導いて空気で止める
側面に穴が並び、内側の突起が根の先を穴へ向けます。穴から出た根の先は空気に触れて止まり、その手前で枝分かれして、細い根が鉢の中に増えていきます。海外の Air-Pot と同じ仕組みの鉢です。側板と底板をピンで留める組み立て式なので、植え替えのときは側板を外して根鉢を取り出せます。
側面のほぼ全体が出口になるぶん、乾きやすさはふつうの鉢よりはっきり上がります。植え付け直後と夏は、水やりの回数が増えると考えてください。
壁そのものが布。側面と底のどこに届いても根の先が空気に触れる
布の目を水と空気が通るので、根が側面のどこに届いても先端が乾いて止まります。軽く、畳んで仕舞えるのも利点です。側面から水が蒸発するぶん、夏の土の温度は上がりにくくなります。
その代わり乾きは早く、底と側面から水がにじみ出るので、床の上や室内には置けません。布はプラスチックより傷みやすく、数年で入れ替える消耗品と考えます。
迷ったら、育てるものが「乾き」と「湿り」のどちらに弱いかから選びます。根の先を止める範囲が広い鉢ほど、水は逃げやすくなります。
| 鉢 | 根を止める場所 | 乾きやすさ | 向くもの |
|---|---|---|---|
| ふつうの鉢 | なし (壁に沿って回る) | 乾きにくい | 一年草の野菜・草花 |
| スリット鉢 | 底と側面の下のほう | ふつうの鉢より少し早い | 乾燥を嫌う果樹 (ブルーベリー・イチジク)、鉢増しを続ける苗木 |
| ルートプラスポット | 側面のほぼ全体と底 | かなり早い | 何年も育てる果樹・花木・観葉植物 |
| 不織布ポット | 側面と底の全面 | かなり早い | 過湿を嫌う果樹 (オリーブ)、片づけたい夏野菜 |
地面に植えた株なら、根は四方へ広がり続けます。鉢の中では、外へ伸びた根がすぐに壁に当たります。当たった根は止まらずに向きを変え、壁に沿って横へ、下へと進みます。
壁がつるつるの鉢では、根は壁伝いに鉢底まで下り、底の角で行き場をなくして回り始めます。こうして鉢の外周と底に根が集まり、鉢の中心の土はあまり使われないまま残ります。根の量は多いのに、働いている土は少ない、という状態です。
苗をポットに長く置いたままにすると、巻き根は進みます。売り場で日が経ったポット苗や、植え付けが遅れた苗に多いのはこのためです。
巻いた根は、時間がたつと太く固くなります。太くなった根は水を吸う力が弱く、そこから新しい細い根も出にくくなります。植え付けたあとも根は鉢の形のまま回り続け、外の土へなかなか広がりません。根づくのが遅れ、水切れしやすく、風で株が揺れやすくなります。
樹木では、影響がもっと長く残ります。回った根が太るにつれて、幹の根元を締めつける根 (英語でガードリングルート) になることがあります。アメリカのフロリダ大学がアカカエデで行った試験 (2010 年) では、壁がつるつるの鉢で育てた木は 9 本すべてで、根が鉢の上部を 1 周していました。
一方で、トマトやパンジーのように 1 シーズンで終わる植物は、巻き根が深刻になる前に栽培が終わります。気にしたいのは、何年も同じ鉢で育てる果樹・花木・観葉植物と、地植えにする苗木です。草花でも、マロウやエキナセアのように太い根を深く伸ばすものは、ポットで根が回ると植え付け後の伸びが鈍ります。
巻き根と根詰まりは、よく一緒に起きますが別のことです。根詰まりは鉢の中が根でいっぱいになった「量」の問題で、巻き根は根が鉢の形に回った「向き」の問題です。大きな鉢に移せば根詰まりは解けますが、回った根はそのままでは外へ向きません。
巻き根は、鉢の外からは分かりません。植え付けや植え替えのときに株をポットから抜き、根鉢の底と側面を見て判断します。
巻いた根は、そのまま植えても外へは向きません。植え付けや鉢増しのときに、回っている部分だけをほぐすか切って、根の先が外へ伸びる向きを作り直します。どこまで手を入れるかは、根の太さと、その植物が根を触られるのにどれだけ強いかで決めます。
木の苗で太い根が回っているときは、ほぐすより切るほうが確実です。フロリダ大学は、根鉢の外周を 2〜3cm ほど削り落とす方法を勧めています。回った根を外周ごと取り除くと、切り口の手前から新しい根が外向きに出ます。
同じ巻き根でも、苗の種類で手の入れ方が変わります。
| 苗 | 直し方 | 気をつけること |
|---|---|---|
| 草花・野菜の苗 | 底で渦を巻いた根を、下の 3 分の 1 ほど指でほぐす | 根が回っていない苗はそのまま植える |
| 根を崩せない木 | クチナシ・コブシ・コニファーなどは、根鉢を崩さず底の巻き根だけを軽くほぐす | 側面と中心は触らない |
| 果樹・庭木の苗 | 太い根が回っていたらはさみで切る。根鉢の外周を 2〜3cm 削るか、底に十字の切れ目を入れる | 細い根はできるだけ残す |
| 鉢植えの植え替え | 外側の古い根と土を 3 分の 1 ほど落とし、巻いた太い根を切る | 休眠期か、生育が動き出す前に行う |
根を切ったあとは、たっぷり水をやり、数日は強い日差しと風を避けます。切った根のぶん水を吸う力が落ちているので、木の苗なら枝先も少し切り詰めて、葉から逃げる水を減らします。
いちばん手軽な予防は、根が回り切る前に植えることです。ポット苗は買ったら早めに植え付け、育苗中の苗は鉢底の穴から白い根が見えたら、定植や鉢上げの合図にします。
鉢植えは 1〜2 年に 1 回、一回り (直径で 3cm、1 号) 大きい鉢へ移します。いきなり大きな鉢に移すと、根の届かない土がいつまでも湿ったままになり、根腐れの原因になります。根が回り切る前に少しずつ広げるのが、巻き根と根詰まりを同時に防ぐやり方です。
そのうえで、何年も鉢で育てるものは、鉢そのものを巻き根を防ぐ形に替えます。上の 4 つの鉢の違いを踏まえて、育てるものごとの選び方を表にしました。
| 育てるもの | 向く鉢 | 理由 |
|---|---|---|
| ブルーベリー | スリット鉢 | 根が細く浅く、乾くと水を吸えなくなる。水持ちを残したまま鉢底の巻き根を止める |
| イチジク | スリット鉢 | 根の張りが早く、水切れにも弱い。号数で一回りずつ上げやすい |
| オリーブ | 不織布ポットも向く | 過湿を嫌うので、乾きやすさが欠点になりにくい |
| 柑橘・花木・観葉植物 | ルートプラスポットかスリット鉢 | 何年も同じ鉢で育てるので、巻き根を防ぐ効果が積み重なる |
| 夏野菜 (トマト・ナス) | ふつうのプランターでよい | 1 シーズンで終わり、巻き根が問題になる前に片づく |
根の先を空気で止める鉢は、どれもふつうの鉢より乾きやすくなります。留守がちで水やりの回数を増やせないなら、巻き根を防ぐことより、ふつうの鉢で乾きにくくするほうを優先したほうが株は傷みません。
鉢ごとの寸法・価格・試験の結果は、開発者ブログの記事に書いています。
鉢の中で根が回ることを「根巻き」と呼ぶ人もいて、その意味では巻き根と同じです。一方、苗売り場の「根巻き苗」は、畑から掘り上げた木の根鉢を麻布や縄で包んだ苗のことで、別の意味です。天然素材の麻布なら土の中で腐るので、多くの場合は外さずに上部の結び目だけをほどいて植えます。
根詰まりは鉢の中が根でいっぱいになり、水や養分を吸えなくなった状態で、根の量の問題です。巻き根は根が鉢の形に回ってしまう、向きの問題です。両方が同時に起きていることが多く、大きな鉢に移すだけでは回った根は外へ向かないので、植え替えのときに巻いた根をほぐすか切ります。
巻き根が無ければ、崩さずに植えるのが基本です。巻き根があれば、回っている外側と底だけをほぐすか切ります。クチナシのように根を触られるのを嫌う木は、底の巻き根だけにとどめます。
根の先を止める範囲はルートプラスポットのほうが広く、水持ちはスリット鉢のほうがよい、という違いです。乾燥を嫌うブルーベリーやイチジクにはスリット鉢が扱いやすく、水やりの回数を増やせるなら、何年も育てる果樹や観葉植物にはルートプラスポットも候補になります。
鉢を替えるほどではありません。1 シーズンで終わる野菜は、巻き根が深刻になる前に栽培が終わります。気をつけたいのは苗の段階で、ポットで根が回り切る前に植え付けることです。
要ります。巻き根は減りますが、株が育てば鉢の中は根で満ちていき、土も古くなります。1〜2 年ごとの鉢増しや植え替えは続けます。ルートプラスポットは底板を留める位置で容量を変えられるので、小さいうちは土を減らしておき、育ってから広げる使い方もできます。
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