植え替えの時期と目安
植え替えは新しい根が動き出す直前の三月下旬から四月が適期です。水苔は二年ほどで傷んで水はけが悪くなるので、二年に一度は替えます。水苔が黒ずんで崩れる、水をやっても抜けが悪い、根が鉢からあふれる、といった様子が見えたら時期にかかわらず植え替えの合図です。
| 状態 | 判断 | 作業 |
|---|---|---|
| 水苔が黒ずんで崩れる | 植え替え | 古い水苔を全部外して新しく植える |
| 根が鉢の外にあふれている | 植え替え | 一回り大きい鉢か、株分けする |
| 買ってきたばかりで水苔がきれい | そのまま | 翌春まで待つ |
| 夏や冬に根腐れした | 緊急の植え替え | 時期を問わず腐った根を取って植え直す |
花芽が付いている五月以降の植え替えは花を落とします。急ぎでなければ花後の七月か翌春まで待ちます。
用意するもの
鉢は素焼きか、ラン用の縦長で穴の多いものが向きます。プラスチック鉢は乾きが遅いので、使うなら小さめにします。水苔は乾燥したものを前日から水で戻し、固く絞って使います。柔らかい水苔を鉢の中心に芯として詰め、株を乗せ、周りを長い水苔で巻いていく植え方が伝統的です。
水苔は質のよいものを選びます。長くて繊維がしっかりしたものは巻きやすく、二年たっても崩れにくいです。細かく切れた安価な水苔は詰まりやすく、乾きが悪くなります。少量で足りるので、よいものを買っておく方が結局は楽です。
- 鉢は小さめを選ぶ
- 株の大きさに対して小さいと感じるくらいの鉢が向きます。大きな鉢は水苔が乾かず、根が腐ります。直径九〜十二センチが目安です。
- 水苔は前日に戻す
- 乾燥水苔を水に浸して戻し、使う直前に固く絞ります。びしょびしょのまま使うと植えた後に沈んで根が埋まります。
- 刃物を火であぶる
- 根や葉を切るはさみは、火であぶるか消毒液で拭いて使います。ランはウイルス病が刃物からうつります。
高植えの手順
フウランの植え方の特徴は、株を鉢の縁より高く盛り上げて植える高植えです。根の大部分が空気に触れ、中心の水苔がゆっくり水を保つことで、木の上に着生している状態に近づけます。株元が鉢の縁から三〜五センチ上に来るように水苔を山型に積みます。
水苔を巻くときは、根を無理に曲げず自然な向きのまま水苔に沿わせます。折れた根は回復しないので、固い根はそのままの角度で外に出しておいても構いません。外に出た根は空気中で育ち、フウランらしい姿になります。
- 古い水苔を全部外す
- 鉢から株を抜き、古い水苔をピンセットで根の間まで丁寧に取ります。黒くなった根や中が空の根はここで切ります。
- 芯を作る
- 柔らかい水苔を握りこぶしほどに丸めて芯にし、その上に株を乗せて根を芯の外側に広げます。
- 外側を巻く
- 長い水苔を根の外側に沿って巻き付け、山型に整えます。表面は固めに、中心は柔らかめが理想です。
- 鉢に押し込む
- 山型に整えた株を鉢に押し込み、株元が縁より三〜五センチ上に出るようにします。指で押しても株が動かない固さにします。
植え替え後の管理
植え替えた直後は水をやらず、三日から一週間ほど明るい日陰で休ませます。切った根の傷が乾いてから最初の水をやると腐りません。その後は通常の管理に戻しますが、肥料は新しい根が伸び始める五月まで与えません。
株分けも植え替えと同時に行えます。株元から出た子株が根を三本以上持っていれば、親から手でそっと引き離して別に植えます。根の少ない子株は無理に分けず、親と一緒に植えてもう一年育てます。
- 一週間は水を断つ
- 切り口が乾くまで水をやりません。葉が少ししわになっても、根が動けば戻ります。一週間たったら最初の水をやります。
- 明るい日陰に置く
- 直射を避けた明るい場所で、風を通します。新しい根が水苔の外に伸び出したら通常の場所に戻します。
- 肥料は根が動いてから
- 五月に新根が二〜三センチ伸びたら、薄い液体肥料を始めます。植え替え直後の肥料は根を焼きます。
植え替えで失敗したときの直し方
植え替えの失敗は、水苔を詰めすぎて乾かない、逆にゆるすぎて株がぐらつく、時期が悪くて根が動かない、の三つが主です。植えて一か月たっても新しい根が出ないときは、鉢から抜いて根を確かめ、必要なら植え直します。
| 症状 | 原因 | 直し方 |
|---|---|---|
| 水苔がいつまでも湿っている | 詰めすぎか鉢が大きい | 小さい鉢に植え直し、外側をやや粗く巻く |
| 株が動いて根が出ない | 巻きがゆるい | 一度抜いて固めに巻き直す |
| 植えた後に葉が落ちた | 根を切りすぎた、または時期が悪い | 水を控えて風を通し、春の新根を待つ |
| 水苔に緑の藻が生える | 水のやりすぎか日が当たりすぎ | 表面の水苔を替え、水を控える |
フウランは木の板やヘゴ板に針金で留めて着生させる育て方もできます。板付けは乾きやすいので、水やりを毎日にします。
フウランの植え替えに使うもの
植え替えは、鉢を大きくする作業ではなく、根を新しくする作業です。同じ鉢に戻す選択もあります。
- 鉢(ひと回り大きいもの)探す言葉「植木鉢 8号 スリット」
- 規格の目安
- 直径で 3cm(1 号)だけ大きいもの。スリット鉢は根が回りにくく、鉢底で根が団子になりません。
急に大きくすると、根の届かない土が長く湿ったままになり、根腐れの原因になります。
- 草花用の培養土探す言葉「草花 培養土 元肥入り」
- 規格の目安
- 元肥入り、水はけ重視。
- 数量の目安
- 8 号鉢 1 個で約 8L、10 号鉢で約 15L。
古い土は粒が潰れて水はけが落ちています。土を替えることが植え替えの目的の半分です。
- 鉢底石探す言葉「鉢底石 ネット入り」
- 規格の目安
- 軽石。ネット入りは次の植え替えでそのまま取り出せます。
底に石を敷くと、鉢底の穴が土でふさがりません。ネット入りなら繰り返し使えます。
- 根切りばさみ探す言葉「根切りばさみ 園芸」
- 規格の目安
- 刃が厚く、土をかんでも欠けないもの。
固まった根鉢は、外側を切ってほぐさないと新しい根が出ません。普通のはさみは土で切れなくなります。
- 同じ鉢に戻すなら、新しい鉢は要りません。根を切って土を替えるだけで十分です。
- 鉢底ネットは、スリット鉢なら要りません。
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