将来の大きさを先に見込む
コブシは春に葉より先に白い花を咲かせる落葉高木で、放任すれば高さ十メートル、枝張りも五メートルを超えます。庭に植える前に、剪定で抑える前提でも建物や隣地から三メートル以上離せるかを確かめます。狭い庭なら、同じ仲間で小さくまとまるシデコブシや、鉢植え向きの矮性の品種を選ぶ方が後の苦労が減ります。
| 場面 | 向く選び方 | 理由 |
|---|---|---|
| 広い庭の主木 | コブシの実生苗か接ぎ木苗 | 自然な樹形で大きく育つ |
| 普通の庭 (五メートル四方程度) | シデコブシ、または接ぎ木の小型品種 | 三〜五メートルに収まる |
| 狭い庭・鉢 | 矮性のシデコブシ系 | 二メートル前後で花が咲く |
| 隣地との境界近く | 向かない | 根と枝が越境する |
実生苗は花が咲くまで八〜十年かかります。早く花を見たいなら、二〜三年で咲く接ぎ木苗を選びます。
時期は落葉後か芽吹き前
植え付けの適期は、葉を落とした十一月下旬から十二月と、芽が動く前の二月下旬から三月中旬です。厳寒期は根が凍って傷むので避けます。ポット苗なら四月まで植えられますが、根鉢を崩さないことが条件です。コブシの根は太く肉厚で、切ると腐りやすいので、根を傷めない時期と方法を選びます。
| 地域 | 秋の適期 | 春の適期 |
|---|---|---|
| 暖地 | 11月中旬〜12月 | 2月中旬〜3月中旬 |
| 中間地 | 11月下旬〜12月中旬 | 2月下旬〜3月中旬 |
| 寒冷地 | 10月下旬〜11月中旬 | 3月下旬〜4月中旬 |
場所は日当たりと保水のある土
日当たりを好み、半日陰では花が減ります。土は水はけがよく、それでいて乾きすぎない腐植の多い土が理想で、山の斜面のような環境です。乾燥した砂地では夏に葉が縮み、粘土で水がたまる場所では根が腐ります。西日の強い場所は葉焼けしやすいので、東から南向きが向きます。
- 水はけを確かめる
- 深さ四十センチの穴を掘り、水を張って抜ける時間を見ます。半日以上残るなら二十センチ盛り土をして高く植え、周囲に排水の溝を切ります。
- 腐葉土を多めに混ぜる
- 掘り上げた土に腐葉土を三割混ぜます。粘土質なら軽石を二割足し、砂地なら腐葉土を四割に増やして保水を補います。
- 根の広がりを見込む
- 根は枝張りと同じかそれ以上に広がります。塀の基礎や配管から二メートル以上離し、将来の根の持ち上げを避けます。
太い根を折らずに植える
コブシの根は太くてもろく、曲げると折れます。ポットから抜いたら根鉢は崩さず、底で巻いている根だけを軽くほぐします。根巻き苗は麻布を外さず、上部の結び目だけをほどきます。深植えは根が呼吸できず数年で弱るので、根鉢の上面が地面と同じ高さになるように植えます。
- 穴は根鉢の二倍
- 根鉢の幅の二倍、深さは根鉢と同じに掘ります。底に腐葉土を混ぜた土を敷き、根鉢を置いたときの高さを確かめます。
- 根巻きはそのまま
- 根巻き苗の麻布や麻ひもは土の中で腐るので外しません。上部の結びだけをほどき、幹に食い込まないようにします。
- 水で土を締める
- 土を半分戻したら水をたっぷり注ぎ、棒で軽く突いて隙間をなくします。残りの土を戻して、根元の周りに水鉢を作ります。
- 支柱で二年固定する
- 根が張るまで二年は風で揺れます。幹に沿って支柱を立て、麻ひもで八の字に結びます。年に一度、食い込みを確かめて結び直します。
肥料は植え付け穴に入れません。根に肥料が触れると傷みます。与えるなら一年後の二月からです。
鉢植えで育てる場合
シデコブシ系や矮性の品種なら鉢で育てられます。八号から十号の深めの鉢に、赤玉土六割、腐葉土三割、軽石一割の用土で植えます。根が太く成長が早いので、二年に一度は一回り大きい鉢へ植え替えます。鉢が小さいままだと花芽が減り、夏に水切れで葉が落ちます。
- 深鉢を選ぶ
- 根が下へ伸びる木なので、幅より深さのある鉢を選びます。鉢底石を三センチ敷き、底穴に網を当てます。
- 二年に一度植え替え
- 二月下旬に鉢から抜き、外側の土を三分の一ほど落として一回り大きい鉢へ移します。太い根は切らず、細根の傷んだ部分だけ取ります。
植え付け後に葉が出ないときの切り分け
春に植えて四月になっても芽が動かない、あるいは葉が小さく縮むといった不調は、根の傷みか水の問題が大半です。枝を指で曲げて弾力があり、樹皮の下が緑なら生きているので、水やりを整えて待ちます。原因ごとの手当てを表にまとめます。
| 症状 | 考えられる原因 | 手当て |
|---|---|---|
| 芽が固いまま動かない | 根が張っていない、植え傷み | 枝の緑を確かめ、水を切らさず五月まで待つ |
| 葉が小さく縮んで伸びない | 水切れ、根鉢が乾いた | 根元にたっぷり水、根元にマルチを敷く |
| 葉が黄ばんで土が湿っている | 水のやりすぎ、水はけ不良 | 水を止め、周囲の土を高くする |
| 幹が揺れ、葉がしおれる | 風で根鉢が動いた | 支柱を立て直して固定する |
コブシの植え付けに使うもの
木は一度植えたら動かせません。植え穴と支柱をきちんと作るかどうかで、その後の何年かが決まります。
数量は苗木 1 本を単位にしています。
- 完熟堆肥・腐葉土探す言葉「完熟堆肥 バーク 40L」
- 規格の目安
- バーク堆肥か腐葉土。40L 前後の袋。
- 数量の目安
- 植え穴 1 つ(直径 60cm × 深さ 50cm)に 20〜30L を掘り上げた土と混ぜます。
穴を大きく掘って土を入れ替えるのが植え付けの本体です。ここを手抜きすると、根が広がらないまま何年も伸び悩みます。
- 支柱(添え木)探す言葉「園芸支柱 太い 180cm」
- 規格の目安
- 直径 25〜30mm × 長さ 180cm。1 本の添え木か、2 本の二脚(鳥居型)。
根が張るまでの 1〜2 年、風で株元が動くと細い根が切れ続けます。細い支柱では木の重さを支えられません。
- 樹木用の結束テープ探す言葉「樹木 誘引 テープ 幅広」
- 規格の目安
- 幅 20mm 前後の伸びる素材か、麻ひもと当て布。
幹は太ります。細いひもで縛ると食い込み、そこで水の通り道を締めてしまいます。幅の広いもので 8 の字に留めます。
- 緩効性肥料(元肥)探す言葉「緩効性肥料 元肥 樹木」
- 規格の目安
- 粒状で長く効くタイプ。
- 数量の目安
- 植え穴 1 つに 50〜100g。根に直接触れないよう、土を一枚かぶせてから植えます。
植え付け直後は根が傷んでいます。濃い肥料が触れると、そこから傷みが広がります。
- 鉢で育てるなら支柱は短いもので足ります。180cm の添え木は地植え用です。
- 植え穴に石を入れる必要はありません。水はけが悪いなら、盛り土にして高く植えるほうが効きます。
コブシの上手に育てるコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はコブシの育て方にまとめています。
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