残す枝と抜く枝をまず見分ける
シークワーサーは前年に伸びた春枝の先に花を付けます。つまり冬に枝先を切り詰めると、その年の実がなくなります。剪定は枝先を短くする作業ではなく、混んだ枝を根元から抜いて光と風を通す作業だと考えると失敗しません。
| 枝の姿 | 扱い | 理由 |
|---|---|---|
| 前年春に伸びた二十センチ前後の枝 | 残す | 先端に花が付く |
| 夏以降に伸びた太く長い枝 | 根元から抜く | 花が付かず樹形を乱す |
| 内側に向かって伸びる枝 | 根元から抜く | 日陰を作り病気の元 |
| 下向きで細い枝 | 残す | 小さいが実付きが良い |
| 接ぎ口より下から出た芽 | 見つけ次第かき取る | 台木の芽で実がならない |
時期は三月中旬から四月上旬
剪定は新芽が動く直前の三月中旬から四月上旬に行います。寒さが厳しい二月に切ると切り口から枯れ込みます。五月以降に切ると花芽を落とすうえ、夏枝が暴れる原因になります。
- 枯れ枝と寒さで傷んだ枝を切る
- 冬に葉が落ちて茶色くなった枝は、緑の部分が見える位置まで切り戻します。爪でこすって緑が出るところが生きた部分の目安です。
- 内向きと交差する枝を抜く
- 幹の中心に向かう枝と、ほかの枝と交差して擦れる枝を根元から切ります。全体の二割程度を抜くのが目安で、それ以上切ると翌年の実が減ります。
- 上に強く伸びた枝を抜く
- 前年の夏から秋に真上へ伸びた太い枝は、実が付かず栄養を取るので根元から抜きます。全部抜くと樹が小さくなり過ぎる場合は、一本だけ残して半分に切ります。
- 切り口に癒合剤を塗る
- 太さが一センチを超える切り口には癒合剤を塗ります。柑橘は切り口から菌が入って枝枯れを起こしやすいので、塗り忘れないようにします。
若木のうちに骨格を作る
植え付けから三年ほどは実より樹形を優先します。主幹から三方向に伸びる主枝を三本選び、そこから横に枝を広げる開心自然形にすると、鉢植えでも高さ一メートル半ほどに収まり、収穫も薬剤散布も楽になります。
樹形は三年目までに決まります。この間に主枝の方向を見て、迷ったら切らずにひもで引いて角度を変えるだけにしておくと、切り過ぎの失敗を避けられます。枝の角度は水平から四十五度が目安で、それより立つと花が付きにくくなります。
- 一年目は主幹を切り詰める
- 植え付け時に高さ五十センチほどで主幹を切り詰め、そこから出る枝を主枝の候補にします。切らずに伸ばすと上ばかり伸びて下に枝が出ません。
- 二年目に主枝を三本選ぶ
- 伸びた枝のうち、方向が違い高さが少しずつ違う三本を残してほかを抜きます。同じ高さから出た枝を残すと、将来その部分が裂けます。
- 三年目から広げる
- 主枝から出た枝を横に広げ、ひもで軽く引いて角度を付けます。横に寝た枝ほど花が付きやすくなります。
とげは根元で切る
シークワーサーは若い枝にとげが出ます。実を傷付け、収穫や作業でけがの元になるので、剪定と一緒にはさみで根元から落とします。とげを切っても樹には影響がありません。樹が成熟するにつれてとげは自然に減ります。
とげの出方は枝の勢いと関係があり、太く長く伸びた夏枝ほど大きなとげが出ます。とげが多い年は肥料が効き過ぎているか剪定が強過ぎた合図なので、翌年は切る量を減らして様子を見ます。
- 収穫前に実の周りだけ落とす
- 全部落とす時間がなければ、実が当たる位置のとげだけ切ります。風で実がとげに擦れて傷になると、そこから腐ります。
- 厚手の手袋を使う
- とげは長さ二センチ以上になることがあり、革手袋を貫くこともあります。目の高さの作業では特に注意します。
夏の枝は伸び方を見て整える
六月以降に伸びる夏枝と秋枝は、翌年の花が付きにくい枝です。すべて切る必要はありませんが、勢いよく真上に伸びて全体の光を遮るものだけ、伸びている途中で先を摘みます。摘心(伸びている枝の先を摘んで止めること)をすると、そこから細い枝が分かれて翌年の花枝になります。
| 時期 | 伸びる枝 | 扱い方 |
|---|---|---|
| 3月〜5月 | 春枝 | 翌年の花枝なので残す |
| 6月〜7月 | 夏枝 | 強いものだけ先を摘む |
| 8月〜9月 | 秋枝 | 冬に枯れやすいので抜いてよい |
切り過ぎて実が付かないときの立て直し
冬に枝先を刈り込んでしまい花が咲かなかった年は、その年は樹を育てる年と割り切ります。翌年に向けて、春枝を切らないことだけ守れば二年目には戻ります。逆に何年も切らずに内側が枯れ上がった樹は、一度に整えず三年に分けて混み枝を抜いていきます。
| 状態 | 原因 | 戻し方 |
|---|---|---|
| 花がほとんど咲かない | 枝先を切り詰めた | 春枝を残して翌年を待つ |
| 内側の枝が枯れて外だけ茂る | 何年も剪定していない | 三年計画で内側の混み枝を抜く |
| 上ばかり伸びて手が届かない | 主幹を切らず育てた | 三月に主幹を半分に切り戻し主枝を作り直す |
| 切り口から枝が枯れ込む | 二月に切った・癒合剤なし | 生きた部分まで切り直し癒合剤を塗る |
シークワーサーの剪定に使うもの
剪定でいちばん多い失敗は、切れない道具で無理に切ることです。切り口が潰れると、そこから枯れ込みます。
- 剪定ばさみ探す言葉「剪定ばさみ バイパス 果樹」
- 規格の目安
- 刃渡り 5〜6cm、直径 2cm まで。バイパス式。手の大きさに合ったものを。
生きた枝を切るならバイパス式です。アンビル式は枝を潰すので、切り口がふさがるまでに時間がかかります。
- 剪定のこぎり探す言葉「剪定のこぎり 折込 24cm 生木」
- 規格の目安
- 刃渡り 24cm 前後、生木用の粗い刃。折込式は持ち運べます。
直径 2cm を超えたらのこぎりに切り替えます。太い枝は下側に受け口を入れてから切ると、樹皮が裂けません。
- 癒合剤探す言葉「癒合剤 トップジン 剪定」
- 規格の目安
- ペースト状で刷毛の付いたもの。
直径 3cm を超える切り口に塗ります。乾燥と雨から切り口を守るためで、小さい切り口には要りません。
- 消毒用アルコール探す言葉「消毒用アルコール スプレー」
- 規格の目安
- 濃度 70〜80%。スプレー式。
木を変えるたびに刃を拭きます。切り口から入る病気は、道具が運ぶことが少なくありません。
- 直径 3cm 以下の切り口には癒合剤は要りません。塗りすぎると内側が乾かないこともあります。
- 電動の剪定ばさみは、木が何本もあるようになってからで十分です。
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