収穫は1月から3月
甘夏の実は11月ごろから黄色く色づきますが、そのときはまだ酸が強く食べられません。木の上で完熟を待つと冬の寒さで実が凍り、水っぽくなったり苦味が出たりします。関東では1月から2月に採り、貯蔵で酸を抜く方法が確実です。
採る時期の決め方は、皮の色と寒波の予報です。皮全体が濃い黄色からだいだい色になったら採れる状態で、マイナス3度を下回る予報が出たら、色が少し浅くても先に採ります。凍った実は貯蔵しても回復しません。
| 時期 | 実の状態 | 判断 |
|---|---|---|
| 11〜12月 | 黄色く色づき始める | まだ採らない。酸が強い |
| 1月 | 全体がだいだい色 | 採って貯蔵に回す |
| 2月 | 皮がやや柔らかくなる | 残りを採り終える |
| 3月以降 | 木に残すと翌年の花芽が減る | 遅くとも3月中に全部採る |
暖地では木の上で3月から4月まで置いて酸を抜く方法もあります。関東では寒害の危険があるので貯蔵で抜くほうが安全です。
採り方
甘夏の枝にはとげがあり、実は大きく重いので、採り方を誤ると実に傷が付いて貯蔵中に腐ります。傷の付いた実は貯蔵に回せないので、切る位置と扱いを丁寧にします。
- はさみで軸を短く切る
- 実を持ち、軸を1センチほど残して切ります。次に残った軸を実の面と平らになるよう切り直します。長い軸は隣の実を傷つけます。
- 厚手の手袋で作業する
- 枝のとげで実に傷が付くと、そこから腐ります。手袋をして、実を枝に触れさせないように取り出します。
- 晴れた日の午後に採る
- 朝露や雨で濡れた実は貯蔵中にかびます。晴れが2日続いた日の午後、実の表面が乾いているときに採ります。
- 落とさず箱に並べる
- 落とした実は見た目に傷がなくても内部が傷んでいます。浅い箱に1段ずつ並べ、重ねて運びません。
軸を引きちぎると皮がむけて、そこから傷みます。必ずはさみで切ります。
予措で水分を抜く
採った直後の実は水分が多く、そのまま貯蔵するとかびが出やすくなります。まず風通しのよい日陰に1週間ほど広げて置き、皮を少ししんなりさせます。これを予措(貯蔵の前に水分を減らす作業)といい、実の重さが3パーセントから5パーセント減るのが目安です。
- 日陰に1段で広げる
- 軒下や物置の床に新聞紙を敷き、実が重ならないよう並べます。直射日光に当てると皮が焼けるので、必ず日陰にします。
- 1週間で皮を触って確かめる
- 皮を押して少し弾力が出て、指の跡がすぐ戻る程度になったら終わりです。しわが寄るほど乾かすと味が落ちます。
- 傷んだ実を除く
- 予措の間に傷のある実は柔らかくなって分かります。ここで除いておくと、貯蔵中に隣の実へ腐りが広がるのを防げます。
採った実の量が少なければ、予措を省いて新聞紙に包んで冷暗所に置くだけでも酸は抜けます。
貯蔵で酸を抜く
予措が終わった実は、5度から10度の暗い場所で1か月から2か月置くと酸が減って食べごろになります。食べごろの目安は、皮がやや柔らかくなり、香りが強くなったころです。3月から4月にかけて順に食べていくと、最後まで味が保てます。
| 場所 | 持つ期間の目安 | やり方 |
|---|---|---|
| 玄関や北側の部屋 | 1〜2か月 | 新聞紙に1個ずつ包み、段ボールに並べる |
| 冷蔵庫の野菜室 | 1か月前後 | ポリ袋に入れて乾燥を防ぐ。冷やしすぎると苦くなる |
| 物置や納屋 | 2か月前後 | 凍らない場所を選び、月1回は傷みを確かめる |
暖房の効いた部屋に置くと1週間で水分が抜けてしぼみます。人が寒いと感じる場所が貯蔵に向きます。
食べごろの見分け方
貯蔵中の甘夏は外からでは酸の抜け具合が分かりません。皮の柔らかさと香り、そして1個切って確かめるのが確実です。同じ木の実でも枝の位置で酸の抜け方が違うので、食べてみて残りの時期を決めます。
- 皮を押して確かめる
- 採りたては硬く、貯蔵が進むと軽く押してへこむようになります。この段階になったら1個切って味を見ます。
- まだ酸っぱいなら2週間待つ
- 切って酸が強ければ、残りはさらに2週間置きます。逆に水っぽくなっていたら貯蔵の限界なので、早めに食べきります。
- 甘くしたいならはちみつで
- 甘夏は品種の性質として酸味を残した味が持ち味です。酸を完全に抜くより、砂糖やはちみつで食べるほうが香りが立ちます。
皮は厚く苦味がありますが、白いわたを取ってマーマレードにすると使えます。無農薬で育てた家庭の甘夏ならではの使い方です。
うまく貯蔵できないときの原因と直し方
貯蔵中にかびる、苦くなる、しぼむという失敗は、採り方と置き場所のどちらかに原因があります。どの実から傷んだか、どこに置いていたかをたどると、翌年の直し方が決まります。
| 状態 | 疑う原因 | 次にすること |
|---|---|---|
| 軸の周りからかびる | 軸を長く残したか濡れたまま貯蔵 | 軸を平らに切り、晴れの日に採って予措する |
| 苦味が強くなる | 凍らせたか冷やしすぎ | 寒波前に採り、5度以下の場所を避ける |
| 皮がしぼんで軽い | 暖かく乾いた部屋に置いた | 新聞紙に包み、5〜10度の場所へ移す |
| 中身が水っぽく味がない | 木に残しすぎて寒害を受けた | 翌年は1月中に採り終える |
1個かびると隣に移ります。貯蔵中は月に2回は箱を開けて、柔らかい実を取り除きます。
甘夏の収穫に使うもの
木の実は、落として拾うと傷みます。高さのあるところから、傷めずに下ろすための道具です。
- 収穫ばさみ(先丸)探す言葉「収穫ばさみ 果樹 先丸」
- 規格の目安
- 刃先が丸く、刃渡り 5cm 前後。
引っぱって穫ると、枝が裂けて翌年の芽まで落ちます。軸を残して切るのが基本です。
- 高枝切りばさみ(採果器付き)探す言葉「高枝切りばさみ 採果」
- 規格の目安
- 伸ばして 2〜3m。切った実を受ける籠の付いたもの。
脚立で無理な姿勢を取るより安全です。籠付きなら、切った実がそのまま落ちません。
- 収穫かご・コンテナ探す言葉「収穫かご 果樹 コンテナ」
- 規格の目安
- 20L 前後。浅めのものは実を重ねずに済みます。
深い容器に積むと、下の実が自分の重さで傷みます。柔らかい果実ほど浅い容器で。
- 保存用の緩衝材探す言葉「果物 緩衝材 ネット」
- 規格の目安
- 果実用のネットキャップか、新聞紙。
一つずつ包むと、傷んだ実から隣へ移りません。長く置く実ほど効きます。
- 手の届く高さに仕立てているなら、高枝切りばさみは要りません。低く保つほうが管理も楽です。
- 専用の収穫かごでなくても、浅い箱に新聞紙を敷けば足ります。
甘夏の収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方は甘夏の育て方にまとめています。
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