剪定は3月、切るのは3割まで
甘夏の剪定は、寒さが緩んで新芽が動く直前の3月上旬から中旬に1回だけ行います。常緑樹なので冬に切ると寒害を受け、夏に切ると翌年の花芽が減ります。切る量は全体の枝の3割までにとどめ、光と風を通すのが目的です。
かんきつの花芽は、前の年に伸びた春枝の先端付近に付きます。春枝をすべて切ってしまうと翌年の実がなくなるため、どの枝を残すかを先に見て回ってから切り始めます。
| 枝の種類 | 見た目 | 扱い |
|---|---|---|
| 春枝 | 短めで葉が密、先端に花芽 | 残す。翌年の結果枝になる |
| 夏枝・秋枝 | 長く太くとげが多い | 先端を切り戻すか付け根で抜く |
| 徒長枝(勢いよく上に伸びた枝) | 垂直に1メートル近く伸びる | 付け根から切る |
| 枯れ枝・内向き枝 | 葉がない、幹の中心へ向かう | 付け根から切る |
太い枝を切ったら切り口に癒合剤を塗ります。かんきつは切り口から枯れ込みやすく、そこから病気が入ることがあります。
冬に剪定してはいけない理由
落葉果樹の感覚で12月から1月に切ると、切り口が寒風にさらされて枯れ込み、木全体が弱ります。甘夏は葉で冬を越しているため、葉を減らすこと自体が防寒を減らすことにもなります。切りたい枝があっても3月まで待ちます。
- 枯れ枝だけは冬でも可
- 完全に枯れて葉のない枝は、冬に付け根で取り除いても構いません。病害虫の越冬場所になるので、むしろ早めに外します。
- 3月の芽の動きを見て切る
- 枝先の芽がふくらみ始めたころが合図です。関東では3月10日前後が目安で、暖地は2月下旬、寒冷地は3月下旬にずれます。
- 強い寒波の直後は避ける
- 寒波で葉が傷んだ年は、傷んだ葉が落ちて新芽が出るまで待ちます。どこまで枯れ込んだか分からないうちに切ると、健全な枝まで落とします。
とげが多いので厚手の手袋と長袖で作業します。とげで手を刺した傷から化膿することがあります。
若木は骨格を作る
植え付けから3年間は実を採らず、主枝を3本に決めて骨格を作ります。甘夏は放任すると上へ伸びて手が届かなくなるため、この時期に高さを抑えて横に広げる形にしておくと、後の収穫と防寒が楽になります。
- 主枝を3本に絞る
- 幹から出る枝のうち、方向が3方向に分かれた勢いのよい枝を主枝にします。残りは付け根から切り、養分を集中させます。
- 高さは2メートルで止める
- 中心の幹が2メートルに達したら先端を切り、それ以上の高さにしません。脚立なしで収穫と防寒ができる高さが目安です。
- 花はすべて摘む
- 3年目までは花が咲いても摘み取ります。実を付けさせると枝が伸びず、成木になる時期が遅れます。
とげが強い枝は勢いが余っている枝です。若木のうちは先端を軽く切り戻して枝分かれさせ、細かい枝を増やします。
摘果は葉の枚数で決める
甘夏は1個が300グラムから500グラムと大きく、成らせすぎると実が小さくなり、翌年に花が付かなくなります。7月から8月に摘果(実を間引いて数を減らすこと)を行い、葉の枚数に対して実の数を決めます。目安は葉80枚から100枚に実1個です。
摘果の順番は、傷のある実、小さい実、枝の先端に付いた実、上向きに付いた実から落とします。残すのは葉の陰で横向きに付いた、形の整った実です。1か所に固まって付いた実は1個だけ残します。
| 木の大きさ | 残す実の目安 | 見分け方 |
|---|---|---|
| 鉢植え10号 | 3〜5個 | 葉が全体で300〜400枚 |
| 鉢植え12号以上 | 10個前後 | 枝ごとに葉80枚あたり1個 |
| 地植え成木 | 50〜100個 | 1本の枝に2個以上残さない |
摘果をためらうと、翌年花が咲かない隔年結果に入ります。7月の生理落果が終わってから、残った実をさらに半分に減らすくらいで丁度よくなります。
隔年結果を止める
甘夏は成らせた翌年に花が減る隔年結果が出やすい品種です。実を冬まで木に付けておく性質のため、樹上に実がある間は翌年の花芽が作られにくくなります。実の数を毎年一定に保つ摘果と、収穫を遅らせすぎないことの2つで抑えます。
- 表年は多めに摘果
- 花が多く咲いた年は、通常より2割多く落とします。葉60枚に1個くらいまで減らすと、翌年の花芽が確保できます。
- 裏年は剪定を控える
- 花が少ない年に強く切ると、さらに枝が減って回復が遅れます。枯れ枝と徒長(勢いよく上に伸びた枝)だけを外し、春枝はすべて残します。
- 収穫を3月までに終える
- 実を4月以降まで木に残すと翌年の花芽が減ります。1月から3月に採り終えて、木に休む時間を与えます。
実を付けたまま冬を越す品種なので、裏年に入ったと分かったら、その年の秋の肥料を少し増やして枝を充実させます。
剪定後うまくいかないときの直し方
剪定と摘果の結果は翌年の春に出ます。花が咲かない、枝ばかり伸びる、実が小さいという姿を見て、切る量と摘果の量のどちらがずれていたのかを判断し、次の3月に反映させます。
| 症状 | 疑う原因 | 次にすること |
|---|---|---|
| 花がほとんど咲かない | 前年の成らせすぎか強剪定 | 摘果を増やし、剪定は3割以下に |
| 枝ばかり伸びて実が付かない | 肥料が多いか徒長枝を残した | 窒素を減らし、徒長枝を付け根で切る |
| 実が小さく皮が厚い | 摘果が足りない | 葉80〜100枚に1個まで減らす |
| 切り口から枯れ込む | 冬に切ったか癒合剤なし | 3月に切り直し、切り口を保護する |
切りすぎたと思ったら、その年の摘果を控えめにして実を少し多めに残します。枝葉を伸ばす方向に傾いた木を、実で落ち着かせる考え方です。
甘夏の剪定に使うもの
剪定でいちばん多い失敗は、切れない道具で無理に切ることです。切り口が潰れると、そこから枯れ込みます。
- 剪定ばさみ探す言葉「剪定ばさみ バイパス 果樹」
- 規格の目安
- 刃渡り 5〜6cm、直径 2cm まで。バイパス式。手の大きさに合ったものを。
生きた枝を切るならバイパス式です。アンビル式は枝を潰すので、切り口がふさがるまでに時間がかかります。
- 剪定のこぎり探す言葉「剪定のこぎり 折込 24cm 生木」
- 規格の目安
- 刃渡り 24cm 前後、生木用の粗い刃。折込式は持ち運べます。
直径 2cm を超えたらのこぎりに切り替えます。太い枝は下側に受け口を入れてから切ると、樹皮が裂けません。
- 癒合剤探す言葉「癒合剤 トップジン 剪定」
- 規格の目安
- ペースト状で刷毛の付いたもの。
直径 3cm を超える切り口に塗ります。乾燥と雨から切り口を守るためで、小さい切り口には要りません。
- 消毒用アルコール探す言葉「消毒用アルコール スプレー」
- 規格の目安
- 濃度 70〜80%。スプレー式。
木を変えるたびに刃を拭きます。切り口から入る病気は、道具が運ぶことが少なくありません。
- 直径 3cm 以下の切り口には癒合剤は要りません。塗りすぎると内側が乾かないこともあります。
- 電動の剪定ばさみは、木が何本もあるようになってからで十分です。
甘夏の収穫までのコツは作物ページに
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