年間の全体像
甘夏は5月に咲いた花が冬に実になり、翌年の1月から3月に収穫します。つまり木の上には、前の年の実と今年の花が同時にある時期があります。この重なりを頭に置いて、摘果と収穫の時期を組み立てます。
- 月ではなく木を見る
- 同じ月でも年の気温で2週間ほどずれます。芽の動き、開花、実の色づきを目印にして、表の時期を前後に動かします。
- 地域で読み替える
- 暖地は2週間早め、寒冷地は2週間遅めに読みます。防寒だけは地域差が大きいので、最低気温の予報で判断します。
| 月 | 木の状態 | 主な作業 |
|---|---|---|
| 1〜2月 | 実が黄色く色づく | 収穫と貯蔵・防寒 |
| 3月 | 芽が動き始める | 剪定・春肥・植え付け・植え替え |
| 4〜5月 | 新芽が伸びて開花 | アゲハの幼虫の見回り・水やり |
| 6〜8月 | 生理落果と実の肥大 | 夏肥・摘果・毎日の水やり |
| 9〜10月 | 実が太りきる | 秋肥・カイガラムシの確認 |
| 11〜12月 | 実が色づき始める | 防寒の準備・マルチ補充 |
実が付いたまま冬を越す果樹なので、冬の作業は防寒と収穫の2つが重なります。落葉果樹の冬より忙しくなります。
1月から3月 収穫と剪定
冬は収穫と木の準備が重なる季節です。実は黄色くなっても木の上では酸が強いままなので、1月から2月に採って貯蔵します。3月に芽が動き出す直前が剪定と施肥の適期で、この2つを外すと1年分の収穫が減ります。
| 月 | 作業 | ねらい |
|---|---|---|
| 1月 | 寒波前に収穫・幹巻きと株元マルチ | 実の凍結と根の凍害を防ぐ |
| 2月 | 残りを収穫し貯蔵に回す | 木に実を残しすぎず翌年の花芽を守る |
| 3月上旬〜中旬 | 剪定・春肥・植え付け・植え替え | 芽が動く直前に木を整える |
収穫が遅れて3月になったら、剪定より収穫を先にします。実を残したまま切ると、木の負担が二重になります。
4月から5月 新芽と開花
4月に春枝が伸び、5月に白い花が咲きます。この時期の主な仕事は害虫の見回りと水やりで、肥料はまだ与えません。新芽が柔らかい間はアゲハの幼虫に食べ尽くされるので、数日おきに葉の裏を見て回ります。
- アゲハの卵と幼虫を取る
- 新芽の先に黄色い卵や黒い幼虫が付いていたら手で取ります。若木は数匹で丸坊主になるので、3日に1回は見回ります。
- 花は自然に任せる
- 自家結実性があるので人工授粉は不要です。雨が続く年でも実は付くので、開花中は薬剤散布を控えて虫に任せます。
- 鉢植えは水を増やす
- 新芽と花で急に水を使います。冬の週1回の感覚のまま続けると花が落ちるので、2〜3日に1回に切り替えます。
遅霜が降りる地域では、4月の新芽が傷むことがあります。冷え込む予報の夜は不織布をかけます。
6月から8月 摘果と水
6月に小さな実が自然に落ちる生理落果があり、これは異常ではありません。落ち着いた7月から8月に、残った実を葉80枚から100枚に1個まで減らす摘果を行います。同時に夏の水切れを防ぎ、実の太りを支えます。
| 月 | 作業 | 注意 |
|---|---|---|
| 6月 | 夏肥・生理落果を見守る | 落果に驚いて肥料を増やさない |
| 7月 | 摘果の1回目 | 傷のある実と固まった実から落とす |
| 8月 | 摘果の仕上げ・水やり | 鉢は朝夕、地植えは2週間乾いたら |
摘果をためらうと翌年の花が減ります。表年(実が多い年)は多めに、裏年は控えめに落として毎年の数をそろえます。
9月から12月 秋肥と防寒の準備
秋は実が太りきり、色づきが始まる季節です。10月の秋肥で翌年の花芽と冬越しの体力を作ります。11月からは寒さへの備えを進め、12月の初霜までに幹巻きとマルチを済ませます。
- 10月中旬に秋肥
- 有機質肥料を成木1本に300グラム前後、枝先の真下に輪の形でまきます。遅れると冬の寒さで効かず、春に持ち越されて枝ばかり伸びます。
- カイガラムシを確かめる
- 枝の分かれ目や葉の裏に白や茶色の小さな殻が付いていたら、歯ブラシでこすり落とします。放置すると冬に増えて実がすす病で黒くなります。
- 12月までに防寒
- 若木は寒冷紗で覆い、株元に落ち葉やわらを10センチ敷きます。鉢植えは南向きの軒下へ寄せ、取り込む動線を確保します。
実が色づいても、この時期はまだ酸が強く食べられません。色を見て採らず、1月まで待ちます。
やり損ねた月の立て直し方
作業を落とした月があっても、たいていは翌年に回せます。ただし剪定と摘果は時期を外すと翌年の花に響くため、木の姿を見て遅れたと判断したら、無理に取り返さず翌年に組み直します。
| やり損ねた作業 | 気づいた時期 | 立て直し方 |
|---|---|---|
| 3月の剪定 | 4月に新芽が伸びた後 | 枯れ枝だけ外し、翌年3月に回す |
| 7〜8月の摘果 | 9月以降 | 小さい実だけ落とし、翌年は多めに摘果する |
| 10月の秋肥 | 12月 | 与えずに翌年3月の春肥を少し増やす |
| 冬の防寒 | 寒波で葉が落ちた後 | 切らずに春の芽出しを待ち、肥料を半分に |
収穫を忘れて4月まで実を残した場合は、翌年の花が減ります。その年は摘果を控えめにして実を多めに残し、隔年結果を緩めます。
甘夏の栽培に一年を通して使うもの
木の作業は冬と夏に固まります。冬に剪定と寒肥、生育期に袋かけと防鳥。この 4 つを季節の前にそろえておきます。
数量は植えて数年たった木 1 本を単位にしています。
- 剪定ばさみ探す言葉「剪定ばさみ 果樹」
- 規格の目安
- 刃渡り 5〜6cm、直径 2cm 程度まで切れるもの。バイパス式(刃が交差するもの)。
アンビル式は枝を潰します。生きた枝を切るならバイパス式で、切り口が滑らかなほど早くふさがります。
- 剪定のこぎり探す言葉「剪定のこぎり 折込 24cm」
- 規格の目安
- 刃渡り 24cm 前後の折込式。生木用の刃(目の粗いもの)を選びます。
直径 2cm を超える枝は、はさみで切ろうとすると枝も刃も傷めます。工作用ののこぎりは生木で目が詰まります。
- 有機質肥料(寒肥用)探す言葉「油かす 骨粉 有機質肥料」
- 規格の目安
- 油かすと骨粉の配合肥料。5〜10kg 袋。
- 数量の目安
- 成木 1 本に 1〜2kg。樹冠(枝の広がり)の外周に沿って埋めます。
冬に入れて、春に効き始めるのを狙う肥料です。ゆっくり分解するので、休眠期のうちに入れておきます。樹種と樹齢で必要な量は変わるので、詰めたいときは施肥基準を見てください。
出典: 農林水産省「施肥基準 — 果樹」
- 防鳥ネット探す言葉「防鳥ネット 目合い25mm」
- 規格の目安
- 目合い 20〜25mm。小鳥まで防ぐなら 15mm。
- 数量の目安
- 高さ 2m の木 1 本を覆うのに 4m × 4m 程度。
色づく直前にかけます。目合いが大きすぎると小鳥が入り、細かすぎると風で煽られて枝を傷めます。
- 高枝切りばさみは、木が背を越してからで十分です。低く仕立てるならずっと不要です。
- チェーンソーは家庭の果樹には要りません。剪定のこぎりで足ります。
甘夏の収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方は甘夏の育て方にまとめています。
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