似た花と見分けてから植える
アヤメ、ハナショウブ、カキツバタは花の形がよく似ていますが、育つ場所がまったく違います。アヤメは乾いた草地の花で、水を張った場所に植えると根が腐ります。逆にカキツバタは水辺の花です。買った苗がどれなのかを、花びらの付け根の模様と葉の幅で確かめてから植える場所を決めます。
園芸店では「アヤメ」の名で別の種類が売られていることもあります。ラベルの名前だけでなく、花びらの付け根に網目模様があるか、葉の幅が一センチほどで細いか、を見て判断します。
| 種類 | 花びらの付け根の模様 | 葉の幅と育つ場所 |
|---|---|---|
| アヤメ | 黄色と紫の網目模様 | 細く一センチほど、乾いた日当たり |
| ハナショウブ | 黄色の筋 | 広めで中央の筋が目立つ、湿った土 |
| カキツバタ | 白い筋 | 広く筋が目立たない、水辺 |
| ジャーマンアイリス | 毛のような突起 | 幅広で剣のよう、乾いた土 |
アヤメの開花は五月上旬から中旬で、ハナショウブより二〜三週間早く咲きます。咲く時期も見分けの手がかりになります。
植え付けは花後か秋
植え付けと株分けの適期は、花が終わった直後の六月から七月上旬と、暑さが和らぐ九月下旬から十月です。真夏と真冬は根が動かず、植え傷みから回復しにくくなります。ポット苗は春から秋まで植えられますが、根鉢を崩さずに植えるのが条件です。
関東平野部では秋植えのほうが翌春の花付きが安定します。夏の植え付けは、その後の高温で株が弱ることがあるので、九月まで待てるなら待ちます。寒冷地は雪の前に根を張らせるため九月中に済ませます。
| 時期 | 向いている作業 | 気をつけること |
|---|---|---|
| 6月〜7月上旬 | 花後の株分けと植え付け | 梅雨明け後の高温で弱りやすい |
| 9月下旬〜10月 | 株分けと植え付けの最適期 | 十月中に根を張らせる |
| 3月〜4月 | ポット苗の植え付け | 根鉢を崩さない、株分けはしない |
| 7月中旬〜8月、12月〜2月 | 植え付けは避ける | 根が動かず回復しない |
日当たりと水はけを最優先に
アヤメは一日中日が当たる場所で最もよく咲きます。半日陰でも育ちますが花数が減ります。土は水はけが良ければ選びません。庭の低い場所や雨の後に水がたまる場所は避け、高く盛った花壇や斜面が理想です。鉢植えなら草花用の培養土に赤玉土を三割ほど混ぜます。
鉢植えなら、深さより口径の広い鉢を選びます。根茎が横に伸びるので、六号鉢に一株が目安で、二年もすると縁まで広がります。鉢底には軽石を三センチほど敷き、鉢底穴から水がすぐ抜けるかを植える前に確かめておくと、根茎の腐りをかなり防げます。
- 水がたまらない場所を選ぶ
- 雨の翌日に水たまりが残る場所は避けます。どうしてもそこに植えるなら、土を十五センチほど盛り上げて高くします。
- 土に腐葉土を混ぜる
- 植え穴の土に腐葉土を二〜三割混ぜ、緩効性の粒状肥料を元肥(植え付け時に土へ混ぜる肥料)として少量加えます。
- 株間は三十センチ
- 株が横に広がるので、株間は三十センチほど空けます。詰めて植えると二〜三年で混み合い、花が減ります。
根茎を浅く植える
アヤメは太い根茎(地面近くを横に伸びる太い茎)から葉と根を出します。この根茎の上部が土から少し見えるか、ごく薄く土がかかる程度の浅植えにします。深く植えると根茎が呼吸できず腐り、花芽も付きにくくなります。
- 葉を三分の一に切る
- 株分けした苗は、葉を長さ十五センチほどに切り詰めます。葉からの蒸散を減らし、根付くまでの負担を軽くします。
- 根茎を横向きに置く
- 植え穴に根茎を横向きに置き、根を下へ広げます。根茎の上面が地面と同じ高さになるようにします。
- 薄く土をかけて押さえる
- 根茎に一センチ以下の土をかけ、株元を手で軽く押さえます。ぐらつくなら、根が張るまで短い支柱で支えます。
- 植えた直後だけたっぷり水
- 植え付け直後は根と土をなじませるためにたっぷり与えます。その後は表土が乾くまで与えません。
- 一週間後に活着を確かめる
- 植えて一週間ほどしたら株元を軽く引いてみます。抵抗があれば根が動き始めています。すっと動くなら土を足して押さえ直し、水は控えたまま様子を見ます。
根付かないときの原因と立て直し
植えて一か月たっても新しい葉が出ない、葉が黄ばんで倒れる、といったときは、深植えか過湿か、植え付け時期の失敗です。根茎を掘り出して触り、固ければ生きていますから浅く植え直します。やわらかく崩れるなら腐っているので、固い部分だけ切り分けて植え直します。
| 状態 | 考えられる原因 | 立て直し |
|---|---|---|
| 葉が黄ばみ根茎は固い | 深植え、または植え傷み | 根茎の上面が見える高さに植え直す |
| 根茎がやわらかく臭う | 過湿で腐った | 固い部分だけ切り分け、乾かして高い場所へ植える |
| 葉は緑だが動かない | 真夏や真冬に植えた | そのまま待ち、次の適期に様子を見る |
| 葉が細く倒れる | 日照不足 | 日当たりへ移す、周りの植物を整理する |
植え直すときは、腐った根茎を切った切り口を日陰で半日ほど乾かしてから植えます。濡れたまま埋めると同じ場所からまた腐ります。
アヤメの植え付けに使うもの
苗も球根も、植えたあとに動かすと根が傷みます。植える日にそろえておくものだけを挙げます。
- 草花用の培養土探す言葉「草花 培養土 元肥入り」
- 規格の目安
- 元肥入り、水はけ重視の配合。14〜25L の袋。
- 数量の目安
- 8 号鉢 1 個で約 8L、65cm プランターで 12〜15L、花壇なら 1 ㎡ あたり 20〜30L。
花壇でも、土が固いところは掘り上げて培養土を混ぜたほうが根が張ります。
- 腐葉土探す言葉「腐葉土 園芸」
- 規格の目安
- 葉の形が残っている完熟のもの。40L 前後の袋。
- 数量の目安
- 花壇 1 ㎡ あたり 5〜10L を掘り上げた土に混ぜます。
土をふかふかにして、水もちと水はけを同時に良くします。花壇の土づくりの基本です。
- 緩効性肥料(元肥)探す言葉「緩効性肥料 元肥 マグァンプ」
- 規格の目安
- 粒状で 1 年ほど効くタイプ。植え穴の底に入れて使います。
- 数量の目安
- 8 号鉢 1 個に 5〜10g、花壇 1 ㎡ あたり 50g 前後。
根に直接触れないよう、土を一枚かぶせてから植えます。触れると濃さで傷みます。量は袋の表示に従ってください。
出典: 農林水産省「都道府県施肥基準等」
- 移植ごて探す言葉「移植ごて ステンレス 目盛り」
- 規格の目安
- 幅 6〜8cm。目盛り付きなら球根の深さを測れます。
球根は「球の高さの 2〜3 倍の深さ」に植えるのが基本で、目分量だと浅くなりがちです。
- 球根植え器は、球根をまとめて植えるようになってからで十分です。移植ごてで足ります。
- 鉢を毎回買い替えなくても、古い鉢を洗って日に当てれば使えます。
アヤメの長く咲かせるコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はアヤメの育て方にまとめています。
iPhone 対応(Android 版は準備中)。無料で使えます。
この記事は広告を含みます。