増やし方を選ぶ
アヤメは根茎が横に広がって自然に株が増えるので、株分けが最も簡単で確実です。三〜四年に一度、秋に掘り上げて若い根茎を植え直せば、株の若返りと増殖が同時にできます。種から育てることもできますが、開花まで二〜三年かかり、親と同じ花が咲くとは限りません。
| 方法 | 開花までの目安 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 株分け | 翌年か翌々年 | 確実に同じ花を増やしたい、株が混み合った |
| 種まき | 二〜三年 | たくさん育てたい、花色の変化を楽しみたい |
| こぼれ種 | 二〜三年 | 自然に増えるのを待つ |
株分けの時期を見極める
株分けは花後の六月から七月上旬か、暑さが和らぐ九月下旬から十月です。関東平野部では秋のほうが、植え直した後に高温で弱ることがなく安定します。株の中心に葉がなく外側だけに葉がある姿になっていたら、株分けの合図です。三〜四年を待たず、混み合って花が減ってきたら行います。
花後に分ける場合は、梅雨明けまでに根を張らせるため、六月中に済ませます。七月中旬以降は高温で植え傷みが回復しにくいので、秋まで待ちます。
- 株の姿で判断する
- 中心に葉がない、花が減った、葉が密で風が通らない、のどれかがあれば株分けします。三年たっていなくても構いません。
- 9月下旬〜10月を選ぶ
- 最高気温が二十五度を下回った頃に行います。十月中に根を張らせると、冬を越して翌春に葉が伸びます。
- 前日に水を与えておく
- 掘り上げる前日にたっぷり水を与えておくと、根が切れにくく、土も落としやすくなります。当日は土が乾いた午前中に作業します。
掘り上げて根茎を分ける
株の周りにスコップを入れて全体を掘り上げ、土を落として根茎のつながりを見ます。中心の古い根茎は葉がなく、固く木のようになっているので捨てます。外側の、葉が二〜三枚付いた若い根茎を、手で折るか清潔なナイフで切り分けます。
- 株全体を掘り上げる
- 株から十五センチ離してスコップを入れ、根を切りすぎないように持ち上げます。土を落として根茎を見えるようにします。
- 若い根茎を選ぶ
- 葉が二〜三枚付き、根が白く張っている根茎を選びます。葉のない古い部分と、やわらかく腐った部分は捨てます。
- 葉を十五センチに切る
- 分けた根茎の葉を長さ十五センチほどに切り詰めます。蒸散を減らし、根付くまでの負担を軽くします。
- 切り口を乾かす
- 根茎の切り口を日陰で半日から一日乾かしてから植えます。濡れたまま植えると切り口から腐ります。
植え直しと養生
分けた根茎は、日当たりと水はけの良い場所に、根茎の上面が見える浅さで、株間三十センチで植えます。植えた直後にたっぷり水を与え、その後は表土が乾くまで与えません。翌年は花が少ないこともありますが、二年目から充実します。
- 浅く横向きに植える
- 根茎を横向きに置き、根を広げて土をかけます。根茎に一センチ以上土をかぶせないようにします。
- 植えた直後だけ水
- 根と土をなじませるために、植えた直後にたっぷり与えます。その後は乾かし気味に管理します。
- ぐらつくなら支える
- 葉が風で揺れて根茎が動くなら、短い支柱を添えて紐でゆるく結びます。根が張る一か月後に外します。
種から育てる場合
花後に花茎を残しておくと、秋に実が茶色く割れて種が採れます。採ったらすぐに、または春にまきます。発芽は不揃いで数か月かかることもあり、気長に待ちます。苗は一年目は葉だけで、二〜三年目に咲きます。株の力を保ちたいなら、種は一本の花茎だけに付けます。
- 実が割れたら採る
- 秋に実が茶色く割れたら中の種を採ります。乾いた種は紙袋に入れて春まで保管できます。
- 浅くまいて戸外に置く
- 種まき用土に一センチ間隔でまき、五ミリほど土をかけます。戸外の日陰で乾かさないよう管理し、寒さに当てると春に発芽します。
- 本葉が三枚で植え替え
- 本葉が三枚ほどになったらポットに植え替え、秋に花壇へ植えます。開花は二〜三年目です。
うまく増えないときの原因と直し方
分けた株が根付かない、翌年も咲かない、株が増えない、といった失敗にはそれぞれ原因があります。根付かないのは時期か深植え、咲かないのは根付きに力を使ったか日照不足、増えないのは肥料や日照の不足です。
| 場面 | 考えられる原因 | 直し方 |
|---|---|---|
| 分けた株が枯れた | 真夏や真冬に分けた、深植え | 次の適期に、根茎の上面を出して植え直す |
| 翌年も咲かない | 根付きに力を使った、日照不足 | 二年目を待つ、日当たりを確かめる |
| 根茎が増えない | 日照か肥料の不足 | 日当たりへ移し、春と花後に肥料 |
| 種が発芽しない | 乾かしすぎ、寒さに当てていない | 秋にまいて戸外で冬を越させる |
株分けした年は花が少なくても、二年目から元の株より多く咲くことがよくあります。一年目の花の少なさで失敗と判断しないでください。
アヤメの挿し芽・株分けに使うもの
挿し芽は、肥料分のない清潔な土に挿すのが基本です。培養土に挿すとうまくいかないのはそのためです。
- 挿し芽用土(赤玉土小粒・鹿沼土)探す言葉「挿し芽 用土 赤玉土 小粒」
- 規格の目安
- 赤玉土の小粒か鹿沼土の単用、または「挿し芽・種まき用」と書かれた土。
- 数量の目安
- 3 号ポット 1 個で 0.2L、育苗箱 1 枚で 2L 前後。
肥料分があると、根が出る前に切り口が傷みます。清潔で肥料のない土であることが条件です。
- 発根促進剤探す言葉「発根促進剤 挿し木」
- 規格の目安
- 粉末を切り口に付けるタイプか、液に浸すタイプ。
根の出にくい種類で成功率が変わります。出やすい草花なら無くても十分です。
- よく切れるはさみ・カッター探す言葉「園芸ばさみ 切れ味 ステンレス」
- 規格の目安
- 刃渡り 3〜5cm。使う前にアルコールで拭きます。
切り口が潰れると水を吸えません。斜めに一度で切るのが基本です。
- 3 号ポット・育苗箱探す言葉「ポリポット 3号 育苗」
- 規格の目安
- 直径 9cm(3 号)のポットか、浅い育苗箱。
根が出るまでは小さい容器のほうが管理しやすく、乾き具合も見えます。
- 発根しやすい草花なら、発根促進剤は要りません。水に挿すだけで根が出るものもあります。
- 密閉できる容器があれば、挿し芽用の温室は要りません。
アヤメの長く咲かせるコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はアヤメの育て方にまとめています。
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