切る前に枝の種類を見分ける
仏手柑の花は、前年から今年の春に伸びた充実した枝の先に付きます。勢いよく真上に伸びた太い枝には花が付きにくく、トゲも長いままです。切っていい枝と残す枝を先に見分けてから、はさみを入れます。
迷ったら、枝を手で軽く曲げて確かめます。しなるほど細く葉が多い枝は残し、硬くて太く葉がまばらな枝は切り戻す候補です。全体を見て、風が通る隙間があるかどうかを目安に判断します。
| 枝の姿 | 扱い | 理由 |
|---|---|---|
| 長さ十センチ前後で葉が密な枝 | 残す | 翌年の花が付きやすい実付き枝 |
| 真上に一メートル近く伸びた太い枝 | 半分に切り戻す | 養分を取るだけで花が付きにくい |
| 幹の内側に向かう枝 | 根元から切る | 風通しが悪くなり病気が出やすい |
| 枯れた枝、細く弱った枝 | 根元から切る | 残しても実は付かず害虫が潜む |
枝を切る前に軍手と長袖を用意してください。仏手柑のトゲは三センチを超えることがあり、素手で作業すると深く刺さります。
冬の剪定は控えめに
冬剪定の時期は寒さが緩む三月上旬から中旬です。真冬に切ると切り口から冷気が入って枯れ込むため、寒い時期には切りません。柑橘は落葉樹と違って葉の養分で春の芽を出すので、全体の二割から三割までにとどめ、葉の数を減らし過ぎないようにします。
- 混んだ枝から抜く
- 枝が重なって内側に光が届かない部分を見つけ、そこの枝を根元から一本抜きます。真ん中に手が入る程度の隙間が目安です。
- 徒長枝を切り戻す
- 徒長(勢いよく上に伸びること)した太い枝は、三分の一から半分の長さで切ります。全部切らずに残すと、そこから翌年の実付き枝が出ます。
- 切り口に癒合剤を塗る
- 直径一センチを超える切り口には癒合剤か木工用の接着剤を塗り、乾きと病気の侵入を防ぎます。細い枝はそのままで構いません。
若い木は三年目までほとんど切らず、樹形を整えるだけにします。切るほど実が遅れます。
夏の枝の整理と摘蕾
仏手柑は春以外にも夏や秋に花を付ける四季咲き性があります。全部の花を実にすると株が疲れて翌年の花が減るので、六月から七月に伸びる枝の整理と一緒に、余分な花芽も取ります。夏に伸びた枝は充実しにくく、秋の花もほとんど実になりません。
- 夏枝は先端を摘む
- 六月以降に伸びた枝が二十センチを超えたら、先端を五センチほど摘みます。伸び過ぎを止めて、枝を太らせる方に養分を回します。
- 秋の花は取る
- 九月以降に付いた花は実が育ち切らず、株を弱らせるだけなので、見つけたら指で摘み取ります。春の実に養分を集中させます。
- 枝の内側の芽をかき取る
- 幹の内側に向かって出た芽は小さいうちに指で取ります。放っておくと来年の剪定で太い枝を切ることになります。
トゲの扱い方
仏手柑のトゲは若い枝に多く、木が年を取るにつれて短く少なくなります。トゲが実に刺さって傷を作り、そこから腐ることがあるので、実に近いトゲは取っておきます。ただし枝から全部取ると木の負担になるので、実に当たる位置のものだけで十分です。
| 場面 | トゲの処理 | 使う道具 |
|---|---|---|
| 実の近くのトゲ | 根元から切る | 小型の剪定ばさみ |
| 作業でよく触れる高さの枝 | 切る | 剪定ばさみ |
| 高い位置や内側の枝 | そのまま | なし |
| 収穫時 | 実に触れる範囲だけ切る | はさみと軍手 |
トゲを切ったあとの小さな傷は放置で問題ありません。太いトゲを枝ごと引きちぎると樹皮がはがれるので、必ず切ります。
何年目に何をするか
苗を植えてから安定して実を採るまでの流れをつかんでおくと、その年に切るべきかどうか迷いません。仏手柑は若いうちは枝が暴れやすく、五年目あたりで落ち着いてきます。
| 年数 | 剪定の目的 | 切る量の目安 |
|---|---|---|
| 1〜2年目 | 主枝を三本決めて骨組みを作る | 枯れ枝と内向き枝だけ |
| 3〜4年目 | 実付き枝を増やす | 混んだ部分を一割ほど |
| 5年目以降 | 実の数と枝の更新のバランス | 全体の二割から三割 |
| 10年以上 | 古い枝を新しい枝に置き換える | 古枝を毎年数本ずつ |
切り過ぎたときの立て直し
切り過ぎて翌年花が付かない、切り口から枝が枯れ込んだというときも、木が枯れることはまれです。一年から二年は実をあきらめ、枝を回復させることに専念します。焦って肥料を増やすと、さらに徒長枝ばかりになります。
- 枯れ込んだ部分を見極める
- 枝の緑が残っている所まで切り戻します。爪で樹皮をひっかいて茶色く乾いている部分は戻らないので、健全な部分より数センチ下で切ります。
- 肥料は普段の半分に
- 根と葉のバランスが崩れているので、窒素の多い肥料を控え、油かすを普段の半分にして株を落ち着かせます。
- 翌年は切らない
- 回復した年は枯れ枝を取るだけにして、出てきた枝をすべて残します。二年目に整理すれば実付き枝に戻ります。
仏手柑の剪定に使うもの
剪定でいちばん多い失敗は、切れない道具で無理に切ることです。切り口が潰れると、そこから枯れ込みます。
- 剪定ばさみ探す言葉「剪定ばさみ バイパス 果樹」
- 規格の目安
- 刃渡り 5〜6cm、直径 2cm まで。バイパス式。手の大きさに合ったものを。
生きた枝を切るならバイパス式です。アンビル式は枝を潰すので、切り口がふさがるまでに時間がかかります。
- 剪定のこぎり探す言葉「剪定のこぎり 折込 24cm 生木」
- 規格の目安
- 刃渡り 24cm 前後、生木用の粗い刃。折込式は持ち運べます。
直径 2cm を超えたらのこぎりに切り替えます。太い枝は下側に受け口を入れてから切ると、樹皮が裂けません。
- 癒合剤探す言葉「癒合剤 トップジン 剪定」
- 規格の目安
- ペースト状で刷毛の付いたもの。
直径 3cm を超える切り口に塗ります。乾燥と雨から切り口を守るためで、小さい切り口には要りません。
- 消毒用アルコール探す言葉「消毒用アルコール スプレー」
- 規格の目安
- 濃度 70〜80%。スプレー式。
木を変えるたびに刃を拭きます。切り口から入る病気は、道具が運ぶことが少なくありません。
- 直径 3cm 以下の切り口には癒合剤は要りません。塗りすぎると内側が乾かないこともあります。
- 電動の剪定ばさみは、木が何本もあるようになってからで十分です。
仏手柑の収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方は仏手柑の育て方にまとめています。
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