年間の全体像
仏手柑の一年は、冬の寒さ対策を中心に回ります。三月の剪定と肥料から始まり、五月の開花、夏の水やり、十一月から十二月の収穫、そして室内への取り込みで終わります。関東平野部の鉢植えを前提にしていますが、暖地の地植えなら取り込みの代わりに防寒で読み替えてください。
| 月 | 主な作業 | 目安 |
|---|---|---|
| 3月 | 剪定、春肥、植え替え | 最低気温が五度を超えたら室外へ |
| 4月 | 新芽の観察、アブラムシ対策 | 新芽が伸び始めたら害虫を見回る |
| 5月 | 開花、人工授粉 | 花が開いた朝に筆で花粉を付ける |
| 6月 | 摘果、追肥 | 実が親指大になったら数を絞る |
| 7〜8月 | 水やり、夏枝の整理 | 朝夕の水やりと西日除け |
| 9月 | 秋の花を摘む、台風対策 | 鉢を壁際に寄せて固定する |
| 10月 | お礼肥 | 実が色づき始めたら |
| 11〜12月 | 収穫、室内へ取り込み | 最低気温が五度を切る前に |
| 1〜2月 | 室内で管理、水は控えめ | 週一回の水やりと葉水 |
取り込みの目安は最低気温五度です。天気予報で五度を切る日が出たら、その前日に室内か軒下へ移します。
春 三月から五月
冬を室内で過ごした株は、三月に入って最低気温が五度を安定して超えたら屋外に出します。急に直射日光に当てると葉焼けするので、最初の一週間は日陰から慣らします。剪定と肥料、必要なら植え替えをこの時期に済ませ、五月の開花を迎えます。
- 三月 屋外へ慣らす
- 最初は日中だけ外に出し、夜は室内に戻します。一週間ほどで昼夜とも外に置き、さらに一週間後に日なたに移します。
- 四月 新芽の害虫を見回る
- 新芽にアブラムシが付きやすい時期です。葉の裏を三日に一度は見て、見つけたら水で流すか野菜用の殺虫剤を使います。
- 五月 花の受粉
- 仏手柑は一本で実が付きますが、鉢植えでは虫が少ないので、開いた花の中心を柔らかい筆でなでて花粉を付けると実付きが安定します。
夏 六月から八月
実が付いてから最初の二か月は、水切れと実の付け過ぎで落果しやすい時期です。六月に実の数を絞り、七月と八月は水やりに集中します。真夏の西日で鉢が熱くなると根が傷むので、鉢を二重にするか鉢カバーで日差しを遮ります。
- 六月 摘果と追肥
- 葉二十枚に実一個を目安に残し、それ以外を摘みます。摘果が終わったら追肥(育ちの途中で足す肥料)として春肥の半分の量を与えます。
- 七月 水やりを朝夕に
- 朝に鉢底から流れるまでやり、夕方に葉が垂れていればもう一度与えます。葉水も併せて行うとハダニの予防になります。
- 八月 鉢の温度対策
- 鉢の側面に直射日光が当たらないよう、すだれや鉢カバーで遮ります。地面に直置きせず、すのこの上に置くと風が通ります。
秋 九月から十一月
台風の時期は枝が折れたり実が落ちたりするので、鉢は壁際に寄せて倒れないよう固定します。九月以降に咲く花は実にならないので取り、十月にお礼肥を与えます。十一月に入ると実が黄色く色づき始め、香りが強くなってきます。
十一月の収穫は、実の色と香りを見て決めます。全体が黄色くなり香りが立てば採りごろで、霜が降りる前に採り終えます。取り込みと重なる時期なので、収穫と移動を同じ日に済ませると作業が楽です。
| 月 | 作業 | 気を付けること |
|---|---|---|
| 9月 | 秋の花を摘む、台風対策 | 鉢を倒さないよう紐で固定 |
| 10月 | お礼肥、水やりを減らす | 実の肥大が止まるので水は少しずつ |
| 11月 | 収穫開始、取り込み準備 | 最低気温五度の予報が出たら移動 |
冬 十二月から二月
室内で越冬させる場合は、日当たりの良い窓辺に置き、暖房の風が直接当たらない場所を選びます。暖かい部屋に置くと冬でも葉が動いて弱るので、五度から十度程度の涼しい部屋が理想です。水は土が乾いてから二日から三日待って与え、乾燥する室内では週に一度葉に霧吹きをします。
- 置き場所を決める
- 南か東向きの窓辺で、夜間に窓ガラスに触れない位置に置きます。ガラス際は夜に外気と同じ温度まで下がります。
- 水は控えめに
- 鉢を持ち上げて軽くなってから二日ほど待って与えます。冬の過湿は根腐れの一番の原因です。
- カイガラムシを見回る
- 室内は天敵がいないのでカイガラムシが増えます。枝や葉の裏に白や茶色の粒を見つけたら、歯ブラシでこすり落とします。
やり損ねた月の立て直し方
作業を忘れても、翌月に取り戻せるものと、その年はあきらめて翌年に回すものがあります。仏手柑は寒さと水切れ以外は比較的おおらかなので、慌てず優先順位を付けます。
| やり損ねた作業 | 取り戻せるか | 対応 |
|---|---|---|
| 三月の剪定 | 翌年に回す | 四月以降は切らず枯れ枝だけ取る |
| 六月の摘果 | 七月中なら間に合う | 小さい実から順に落とす |
| 十月のお礼肥 | 十一月上旬まで可 | それ以降は翌春まで待つ |
| 取り込みの遅れ | 葉が落ちても回復する | 枝が緑なら室内で春を待つ |
仏手柑の栽培に一年を通して使うもの
木の作業は冬と夏に固まります。冬に剪定と寒肥、生育期に袋かけと防鳥。この 4 つを季節の前にそろえておきます。
数量は植えて数年たった木 1 本を単位にしています。
- 剪定ばさみ探す言葉「剪定ばさみ 果樹」
- 規格の目安
- 刃渡り 5〜6cm、直径 2cm 程度まで切れるもの。バイパス式(刃が交差するもの)。
アンビル式は枝を潰します。生きた枝を切るならバイパス式で、切り口が滑らかなほど早くふさがります。
- 剪定のこぎり探す言葉「剪定のこぎり 折込 24cm」
- 規格の目安
- 刃渡り 24cm 前後の折込式。生木用の刃(目の粗いもの)を選びます。
直径 2cm を超える枝は、はさみで切ろうとすると枝も刃も傷めます。工作用ののこぎりは生木で目が詰まります。
- 有機質肥料(寒肥用)探す言葉「油かす 骨粉 有機質肥料」
- 規格の目安
- 油かすと骨粉の配合肥料。5〜10kg 袋。
- 数量の目安
- 成木 1 本に 1〜2kg。樹冠(枝の広がり)の外周に沿って埋めます。
冬に入れて、春に効き始めるのを狙う肥料です。ゆっくり分解するので、休眠期のうちに入れておきます。樹種と樹齢で必要な量は変わるので、詰めたいときは施肥基準を見てください。
出典: 農林水産省「施肥基準 — 果樹」
- 防鳥ネット探す言葉「防鳥ネット 目合い25mm」
- 規格の目安
- 目合い 20〜25mm。小鳥まで防ぐなら 15mm。
- 数量の目安
- 高さ 2m の木 1 本を覆うのに 4m × 4m 程度。
色づく直前にかけます。目合いが大きすぎると小鳥が入り、細かすぎると風で煽られて枝を傷めます。
- 高枝切りばさみは、木が背を越してからで十分です。低く仕立てるならずっと不要です。
- チェーンソーは家庭の果樹には要りません。剪定のこぎりで足ります。
仏手柑の収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方は仏手柑の育て方にまとめています。
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