仕立て方で摘心の回数を決める
摘心(先端の芽を摘んで枝を増やすこと)は、キク栽培でいちばん結果に差が出る作業です。一本仕立てで大輪一輪を咲かせるなら摘心はせず、わき芽(葉の付け根から出る芽)をすべて取ります。小菊をこんもり咲かせるなら二〜三回摘心して枝を増やします。まずどんな姿で咲かせたいかを決めます。
| 目的の姿 | 摘心の回数 | 最後の摘心の時期 |
|---|---|---|
| 大輪一輪の一本仕立て | なし(わき芽を取る) | - |
| 中輪の三本仕立て | 一回 | 6月上旬 |
| 小菊のドーム仕立て | 二〜三回 | 7月下旬 |
| 庭植えで自然に咲かせる | 一〜二回 | 7月中旬 |
最後の摘心が八月にずれると、伸びた枝に花芽が付く前に日が短くなり、つぼみが小さくなります。七月下旬が期限です。
一回目の摘心
植え付けから一〜二週間たって新しい葉が動き出したら、一回目の摘心をします。苗の先端を葉の五〜六枚を残して指で摘むと、残した葉の付け根から三〜四本の枝が出ます。摘み取るのは先端の柔らかい部分だけで、硬い茎まで切ると枝の出が悪くなります。
- 根付いたのを確かめる
- 植えてから新しい葉が二〜三枚開いたら根付いた合図です。しおれたままの苗は摘心を待ちます。
- 残す葉の数を決める
- 株元から五〜六枚の葉を残し、その上で先端を摘みます。残す葉が少ないと枝が少なく、多いと背が高くなります。
- 指で摘む
- 先端の柔らかい部分を親指と人さし指でつまんで折ります。晴れた日の午前に行うと切り口が早く乾きます。
- 摘心後に追肥
- 摘心の翌日に規定倍に薄めた液体肥料を与えると、わき芽の伸びがそろいます。固形肥料を置いてあるなら液体は薄めにして重ならないようにします。
二回目以降の摘心
一回目で出た枝が十センチほど伸びて葉が四〜五枚付いたら、それぞれの枝の先端をまた摘みます。関東平野部では六月中旬から七月中旬ごろです。小菊なら七月下旬にもう一回できますが、大輪系は二回目で終えないとつぼみが遅れます。
- 枝の長さを見て決める
- 枝が十センチ伸び、葉が四〜五枚付いたころが目安です。日数ではなく枝の姿で判断します。
- 外向きの葉の上で摘む
- 株の外側を向いた葉のすぐ上で摘むと、次の枝が外へ広がって中心に風が通ります。内側の葉の上で摘むと枝が交差して蒸れやすくなります。
- 弱い枝は摘まずに取る
- 細く短い枝は摘心しても細い枝しか出ません。地際から取り除いて、残した枝に力を集めます。
- 七月下旬で終える
- 最後の摘心から開花まで約八十〜九十日かかります。十一月に咲かせるなら七月下旬、十月に咲かせるなら七月上旬までに終えます。
三本仕立てと一本仕立て
鉢で見栄えよく咲かせる定番が三本仕立てです。一回目の摘心で出た枝から太い三本を選び、残りは取ります。三本を支柱で三方向へ開き、それぞれの先端に一輪ずつ咲かせます。一本仕立ては摘心せず、わき芽とわきのつぼみをすべて取って先端の一輪に力を集めます。
| 仕立て方 | 残す枝 | つぼみの扱い |
|---|---|---|
| 三本仕立て | 太さのそろった三本 | 各枝の先端一輪だけ残す |
| 一本仕立て | 主枝一本 | 先端一輪だけ残しわきのつぼみを全部取る |
| ドーム仕立て | 摘心で出た枝すべて | つぼみは取らず自然に咲かせる |
三本の太さがそろわないときは、太い枝を少し倒して伸びを抑えると、細い枝が追いつきます。
つぼみの整理(摘蕾)
九月になると枝の先に複数のつぼみが付きます。大輪系や三本仕立てでは、中心のいちばん大きいつぼみを一つ残して周りの小さいつぼみを取ります。これを摘蕾と呼び、残した一輪に養分が集まって花が大きくなります。小菊は取らずにそのまま咲かせます。
- つぼみが小豆大になったら
- つぼみが小豆ほどの大きさになり、中心と周りの区別が付くころが作業の時期です。小さすぎると取り違えます。
- 中心の一つを残す
- いちばん大きく形の整った中心のつぼみを残し、周りのつぼみを指で横に倒して折り取ります。
- 残したつぼみを守る
- 残した一輪は雨と虫に注意します。つぼみに穴があいていたらオオタバコガの幼虫なので取り除きます。
摘心で失敗するときの原因
枝が増えないのは摘心の位置が硬い茎まで下がったか、摘心後に肥料が切れたためです。背が高くなりすぎたのは摘心の回数が少ないか時期が早すぎたため、咲かないのは最後の摘心が八月以降にずれたためです。どれも翌年に時期を直せば戻ります。
| 起きたこと | 原因 | 直し方 |
|---|---|---|
| 摘心しても枝が一本しか出ない | 硬い茎で切った・肥料切れ | 柔らかい先端だけ摘み翌日に液体肥料 |
| 草丈が伸びすぎて倒れる | 摘心が少ない・遅い | 支柱で支え来年は回数を増やす |
| つぼみが付かない・遅い | 最後の摘心が八月以降 | そのまま咲かせ来年は七月下旬で止める |
| 花が小さい | つぼみを整理していない | 小豆大のうちに中心一輪に絞る |
キクの剪定・切り戻しに使うもの
切り戻しは株を若返らせる作業です。切る位置と、切り口を乾かすことに関わるものだけで足ります。
- 剪定ばさみ探す言葉「剪定ばさみ 園芸 ステンレス」
- 規格の目安
- 刃渡り 5cm 前後。バイパス式(刃が交差するもの)は切り口がきれいです。
アンビル式(刃が台に当たるもの)は茎を潰します。生きた枝を切るならバイパス式を選びます。
- 消毒用アルコール探す言葉「消毒用アルコール スプレー」
- 規格の目安
- 濃度 70〜80%。スプレー式。
株を変えるたびに刃を拭きます。病気の株から健全な株へ、はさみが運んでしまうのを防げます。
- 園芸用手袋探す言葉「園芸手袋 背抜き」
- 規格の目安
- 手のひらにゴムを張った背抜きタイプ。細かい作業ができる薄手のもの。
茎の汁でかぶれる植物があります。厚い革手袋だと、切る位置を指で確かめられません。
- 柔らかい茎の草花は、指で摘めばはさみは要りません。
- 癒合剤は木の太い枝を切るときのもので、草花には要りません。
キクの長く咲かせるコツは作物ページに
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