目的で増やし方を選ぶ
キクは古い株をそのまま育てると茎が細く病気も出やすくなるため、増やすというより毎年更新するつもりでさし芽をします。同じ花を確実に増やすならさし芽か株分け、種は親と違う花が出るので品種を保つ目的には向きません。まず目的と時期を表で確かめます。
どの方法でも、増やした株が咲くのはその年の秋です。四月にさした芽は十一月に咲き、三月に分けた株も同じ秋に咲きます。種だけは翌年の秋まで待つことになります。花を見てから残す品種を決めたいなら、さし芽で数本作っておくと選べます。
| 目的 | 向く方法 | 時期 |
|---|---|---|
| 同じ花を確実に増やす・若返らせる | 冬至芽のさし芽 | 4月〜5月 |
| 株を掘らずに夏に増やす | 枝先のさし芽 | 5月〜6月 |
| 大株を分けて数を増やす | 株分け | 3月 |
| 新しい花色を作る | 種まき | 4月(開花は翌年) |
冬至芽を親株から取る
冬至芽は花後に株元から出る新しい芽で、冬を越して翌春に伸びます。三月に十センチほどに伸びたら親株から切り離します。根が付いた状態で切り離せばそのまま植えられますが、さし芽にしたほうが病気を持ち込まず、根の張りもそろいます。親株は病気の元になるので処分します。
- 芽の長さを見て掘り上げる
- 冬至芽が十センチ前後に伸びたころ、親株ごと掘り上げます。芽が小さいうちは待ち、伸びすぎて十五センチを超えたら先端を使います。
- 元気な芽を選ぶ
- 茎が太く葉が濃い緑の芽を選びます。細く黄色い芽や、葉裏に白い粒がある芽は病気の可能性があるので使いません。
- 先端七〜八センチを切る
- 芽の先端から七〜八センチを切り、下の葉を落として上の葉を三〜四枚残します。切り口は清潔な刃物で斜めに切ります。
さし芽の手順
四月から五月にさすと三〜四週間で根が出ます。用土は肥料の入っていない鹿沼土か赤玉土の小粒を使い、明るい日陰で乾かさないよう管理します。根が出たら鉢か庭に植え、新葉が動いたら一回目の摘心(先端の芽を摘んで枝を増やすこと)をします。
さし穂を取る枝は、つぼみの付いていない若い枝に限ります。つぼみ付きの枝をさすと、根が出る前につぼみに力を取られて腐ります。五〜六月に枝先をさす場合も同じで、摘心で摘んだ先端をそのままさし穂にすると無駄がありません。
- 水あげする
- 切ったさし穂を一時間ほど水につけて吸わせます。しおれたまま土にさすと根が出る前に枯れます。
- 土にさす
- 湿らせた用土に割りばしで穴を開け、茎を二〜三センチさして周りを軽く押さえます。葉が触れ合わない間隔で並べます。
- 明るい日陰で管理
- 直射日光の当たらない明るい場所に置き、土を乾かさないよう霧吹きで湿らせます。透明な容器をかぶせると湿度を保てます。
- 根が出たら植える
- 茎を軽く引いて抵抗があれば根が出ています。新葉が動いたら少しずつ日に当て、五月中に鉢か庭へ植えます。
さし芽の適期は四〜五月ですが、六月まではできます。遅れるほど摘心の回数を減らして秋に間に合わせます。
株分けの手順
庭植えで大株になったキクは、三月に掘り上げて冬至芽を二〜三本ずつ付けて分けられます。さし芽より手軽ですが、古い根や病気をそのまま持ち込むので、健全な株に限って行います。分けた株は三十センチ間隔で浅く植え、新葉が動いたら摘心を始めます。
- 芽が動く前に掘る
- 三月上旬、冬至芽が五センチほどのうちに株の周りを広く掘り上げます。伸びすぎてからだと芽が折れやすくなります。
- 古い根と茎を落とす
- 去年の茎の付け根と黒ずんだ古い根は切り落とします。白い根と冬至芽だけを残します。
- 芽を二〜三本ずつ分ける
- 手で裂けるところは手で、硬い部分は刃物で切り分けます。芽が一本だけの塊は育ちが遅いので二本以上にします。
- 浅く植えて水をやる
- 根鉢の表面が地面と同じ高さになるよう植え、たっぷり水を与えます。深植えは株元の腐りの原因です。
株分けは三年に一度が目安です。毎年さし芽で更新している株なら株分けは不要です。
うまく増えないときの原因
さし穂が黒くなって腐るのは水のやりすぎか、切り口が汚れていたためです。根が出ないまましおれるのは乾燥か直射日光です。株分けした株が弱いのは古い根を残しすぎたか、深植えです。どれも用土を新しくして、湿りすぎと乾きすぎの中間を保てば解決します。
| 場面 | よくある原因 | 直し方 |
|---|---|---|
| さし穂が黒く腐る | 水の多すぎ・汚れた刃物 | 新しい用土に清潔な刃物で切り直してさす |
| さし穂がしおれて枯れる | 乾燥・直射日光 | 明るい日陰に移し容器をかぶせて湿度を保つ |
| 根は出たが新葉が動かない | 肥料入りの用土・寒さ | 肥料なしの用土に変え暖かい場所で待つ |
| 株分け後に弱る | 古い根の残しすぎ・深植え | 白い根だけ残して浅く植え直す |
キクの挿し芽・株分けに使うもの
挿し芽は、肥料分のない清潔な土に挿すのが基本です。培養土に挿すとうまくいかないのはそのためです。
- 挿し芽用土(赤玉土小粒・鹿沼土)探す言葉「挿し芽 用土 赤玉土 小粒」
- 規格の目安
- 赤玉土の小粒か鹿沼土の単用、または「挿し芽・種まき用」と書かれた土。
- 数量の目安
- 3 号ポット 1 個で 0.2L、育苗箱 1 枚で 2L 前後。
肥料分があると、根が出る前に切り口が傷みます。清潔で肥料のない土であることが条件です。
- 発根促進剤探す言葉「発根促進剤 挿し木」
- 規格の目安
- 粉末を切り口に付けるタイプか、液に浸すタイプ。
根の出にくい種類で成功率が変わります。出やすい草花なら無くても十分です。
- よく切れるはさみ・カッター探す言葉「園芸ばさみ 切れ味 ステンレス」
- 規格の目安
- 刃渡り 3〜5cm。使う前にアルコールで拭きます。
切り口が潰れると水を吸えません。斜めに一度で切るのが基本です。
- 3 号ポット・育苗箱探す言葉「ポリポット 3号 育苗」
- 規格の目安
- 直径 9cm(3 号)のポットか、浅い育苗箱。
根が出るまでは小さい容器のほうが管理しやすく、乾き具合も見えます。
- 発根しやすい草花なら、発根促進剤は要りません。水に挿すだけで根が出るものもあります。
- 密閉できる容器があれば、挿し芽用の温室は要りません。
キクの長く咲かせるコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はキクの育て方にまとめています。
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