苗の種類で扱いを変える
キクの苗は春のさし芽苗、秋の開花株、冬の冬至芽(株元から出る越冬用の芽)付き株の三つが出回ります。開花株は花を見て買えますが、その株はすでに一年を終えかけており、翌年は株元の新しい芽から育て直すことになります。長く育てるなら春のさし芽苗から始めるのがいちばん確実です。
| 苗の状態 | 出回る時期 | 扱い方 |
|---|---|---|
| さし芽の若苗 | 4月〜6月 | 植えてすぐ摘心し夏に株を作る |
| 開花中の鉢 | 9月〜11月 | 花を楽しみ花後に地際で切り冬至芽を育てる |
| 冬至芽付きの株 | 12月〜2月 | 春に冬至芽を切り離してさし芽にする |
開花株を庭におろすのは花が終わってからです。咲いている最中に根を動かすと花がすぐ傷みます。
置き場所は日当たりと夜の暗さ
キクは日が短くなると花芽を作る短日植物です。日中は一日六時間以上の直射日光を必要とし、同時に夜は暗い場所でないと花芽ができません。街灯や玄関の明かりが夜通し当たる場所では、十一月になっても咲かないことがあります。
風通しも重要で、湿った空気がたまる場所ではうどんこ病と白さび病が出やすくなります。壁際に押し込まず、株の周りに空気が抜ける隙間を作ります。
- 日照を数える
- 植える場所で午前から午後まで日が当たる時間を実際に見ます。六時間を切ると茎が細くなり花が小さくなるので、鉢にして動かせるようにします。
- 夜の明かりを確かめる
- 夜に外へ出て、植える場所に街灯や窓の光が届いていないか見ます。本が読める明るさなら花芽が遅れるので場所を変えます。
- 風の通りを見る
- 三方を壁や塀に囲まれた場所は避けます。少なくとも一方が開いて風が抜ける場所なら病気が減ります。
- 水はけを整える
- 雨のあと半日たっても水が引かない場所なら、腐葉土と川砂を混ぜて十センチほど土を盛り上げてから植えます。
植え付けの手順
さし芽苗の植え付け適期は五月から六月上旬です。遅くなるほど夏までに株を作る時間が減り、秋の花数が少なくなります。株間は三十センチほど空け、根鉢の表面が地面と同じ高さになるよう浅めに植えます。深植えにすると株元が蒸れて茎が腐りやすくなります。
- 植え穴に元肥を混ぜる
- 元肥(植え付け時に土へ混ぜておく肥料)として緩効性の粒状肥料をひとつまみと腐葉土を二割混ぜます。肥料が根に直接触れないよう土をかぶせてから苗を置きます。
- 根鉢を軽くほぐす
- ポットから抜いて根が回っていたら、底の根を指で軽くほぐします。白い根が多ければ健全、茶色くにおうなら根腐れの苗なので避けます。
- 浅く植えて水をやる
- 根鉢の表面が地面と同じ高さになるよう置き、周りに土を戻して軽く押さえます。鉢底から流れるまでたっぷり水を与えます。
- 植えたら一回目の摘心
- 根付いて新しい葉が動き出したら、先端を摘んで枝を増やします。植え付けから一週間から十日が目安です。
鉢で育てる場合
鉢植えは一株なら五号から六号、三本仕立てにするなら七号以上が目安です。用土は市販の草花用に、赤玉土の小粒か鹿沼土を二割混ぜて水はけを足します。夏の水切れが早いので、深さのある鉢を選ぶと管理が楽になります。
鉢の土は毎年新しくします。キクは同じ土で続けて育てると根の病気が出やすく、古い土には白さび病の胞子も残ります。花後に地際で切った株は、冬至芽が出たら翌春に新しい土へさし芽で移すのが安全です。
| 鉢の大きさ | 仕立て方 | 気をつけること |
|---|---|---|
| 五号 | 一本立ちで一輪 | 夏は朝夕に水を確かめる |
| 六号〜七号 | 三本仕立て | 支柱を三本立てて枝を分ける |
| 八号以上 | 五〜七本のドーム状 | 株間が混むので摘心を早めにそろえる |
小菊や矮性種は五号でも十分に咲きます。大輪系は六号以上でないと根が足りず花が小さくなります。
植え付け後に失敗するときの原因
植えて一〜二週間で葉がしおれたり黄色くなったりするときは、水のやりすぎか深植えを疑います。土を触って湿っているのにしおれるなら根が傷んでおり、乾いているならただの水切れです。また、植えてすぐ肥料を追加すると根が焼けて新芽が止まるので、追肥は根付いてからにします。
- 土の湿り気を確かめる
- 指を第二関節まで入れて湿り気を見ます。湿っているのにしおれるなら水を止めて日陰へ、乾いているなら朝にたっぷり与えます。
- 深植えは掘り直す
- 株元が土に埋まっているなら、周りの土を減らして根鉢の表面を出します。株元の茎が黒くなっていたら切り戻して新芽を待ちます。
- 肥料やけは水で流す
- 植え付け直後に肥料を足して葉先が枯れたら、鉢底から流れるまで水をやって肥料を薄めます。二週間は追加しません。
- 回復の目安を見る
- 立て直しから二週間で新しい葉が動けば成功です。動かないときは株元に冬至芽が出るまで待ち、翌春その芽から育て直します。
キクの植え付けに使うもの
苗も球根も、植えたあとに動かすと根が傷みます。植える日にそろえておくものだけを挙げます。
- 草花用の培養土探す言葉「草花 培養土 元肥入り」
- 規格の目安
- 元肥入り、水はけ重視の配合。14〜25L の袋。
- 数量の目安
- 8 号鉢 1 個で約 8L、65cm プランターで 12〜15L、花壇なら 1 ㎡ あたり 20〜30L。
花壇でも、土が固いところは掘り上げて培養土を混ぜたほうが根が張ります。
- 腐葉土探す言葉「腐葉土 園芸」
- 規格の目安
- 葉の形が残っている完熟のもの。40L 前後の袋。
- 数量の目安
- 花壇 1 ㎡ あたり 5〜10L を掘り上げた土に混ぜます。
土をふかふかにして、水もちと水はけを同時に良くします。花壇の土づくりの基本です。
- 緩効性肥料(元肥)探す言葉「緩効性肥料 元肥 マグァンプ」
- 規格の目安
- 粒状で 1 年ほど効くタイプ。植え穴の底に入れて使います。
- 数量の目安
- 8 号鉢 1 個に 5〜10g、花壇 1 ㎡ あたり 50g 前後。
根に直接触れないよう、土を一枚かぶせてから植えます。触れると濃さで傷みます。量は袋の表示に従ってください。
出典: 農林水産省「都道府県施肥基準等」
- 移植ごて探す言葉「移植ごて ステンレス 目盛り」
- 規格の目安
- 幅 6〜8cm。目盛り付きなら球根の深さを測れます。
球根は「球の高さの 2〜3 倍の深さ」に植えるのが基本で、目分量だと浅くなりがちです。
- 球根植え器は、球根をまとめて植えるようになってからで十分です。移植ごてで足ります。
- 鉢を毎回買い替えなくても、古い鉢を洗って日に当てれば使えます。
キクの長く咲かせるコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はキクの育て方にまとめています。
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