冬に強く切ってよい木
サルスベリの花は、その年の春から伸びた枝の先に付きます。前年の枝を冬に強く切ると、太い新枝が出て大きな花房になります。落葉期の十二月から二月が剪定の適期で、寒さの厳しい一月を避けて二月に行うと枝先の枯れ込みが減ります。切る強さで姿が変わるので、先に仕立て方を決めます。
切る時期は暦より枝の様子で決めます。最低気温が氷点下を外れる日が増え、枝の芽が固いままのころが目安です。指で枝を曲げて弾力があるなら生きているので、枯れ込んだ枝先を見て、その下の生きた部分まで切り戻します。
| 目的 | 切り方 | 花の付き方 |
|---|---|---|
| 大きな花房を少数 | 前年枝を付け根近くまで切り戻す (こぶ仕立て) | 太い枝に大房、数は少ない |
| 自然な姿で多くの花 | 前年枝を三分の一〜半分残す | 中くらいの花房が多数 |
| 樹形を大きく育てる | 混んだ枝と細い枝だけ抜く | 小さめの花房が多数 |
| 矮性種・鉢植え | 前年枝を二〜三節残して切る | 株全体に花房 |
こぶを作る仕立てと作らない仕立て
毎年同じ位置で切り戻すと、切り口が集まってこぶ状になります。昔ながらの仕立てで、こぶから太い枝が出て大きな花房になります。ただし切り口が集まる部分は腐りやすく、姿を好まない人も多いです。こぶを作らないなら、毎年切る位置を少しずつ変え、太い枝は付け根から抜いて枝を更新します。
- こぶ仕立ては同じ位置で
- 前年に切った位置のすぐ上で、太い枝を毎年切り戻します。切り口が集まってこぶになり、そこから太い新枝が出ます。
- 自然樹形は位置をずらす
- 前年枝を三分の一から半分残して切り、翌年はその上か別の枝で切ります。細い枝を残しておくと、こぶができません。
- 太い枝は付け根から抜く
- 混み合った太い枝は途中で詰めず付け根から抜きます。途中で詰めると細い枝が何本も出て、姿が乱れます。
どちらの仕立てでも、切り口が直径二センチを超えるなら癒合剤を塗ります。サルスベリの幹は薄い樹皮で、傷が目立ちます。
切る枝の選び方
冬の剪定で抜くのは、内側に向かう枝、交差してこすれる枝、細くて弱い枝、根元から出るひこばえ、前年に花の咲かなかった細い枝です。残すのは太くて日当たりのよい枝で、これを切り戻して翌年の花枝にします。一本の枝から二〜三本の新枝が出るので、残す枝の数は最終の花房の三分の一ほどで足ります。
- 外芽の上で切る
- 切る位置は、株の外側を向いた芽のすぐ上にします。内芽で切ると枝が内側で交差し、風通しが悪くなってうどんこ病が出ます。
- 細い枝は付け根から
- 鉛筆より細い枝は花が咲かないので、付け根から抜きます。太い枝に養分を集中させると花房が大きくなります。
- ひこばえは土を掘って切る
- 根元から出る細い枝は、土を少し掘って付け根で切ります。地面の高さで切ると、翌年また同じ場所から出ます。
夏の花後の切り戻しで二番花
七月から八月に最初の花が終わったら、花房の付け根の下、葉が二〜三対付いた位置で切り戻すと、脇から新枝が伸びて九月にもう一度咲きます。花が終わって実が付き始めると養分を取られるので、実になる前に切るのが要点です。九月中旬以降の切り戻しは、新枝が冬までに固まらず枯れ込むので行いません。
- 花がらを実になる前に切る
- 花房の花が七割ほど散ったら、花房の下の葉二〜三対を残して切ります。実が丸くふくらむ前に切ると、二番花の枝がすぐ伸びます。
- 八月中旬までに終える
- 二番花を狙う切り戻しは八月中旬までに終えます。それ以降は新枝が冬までに固まらず、冬に枯れ込みます。
- 二番花の後はそのまま
- 九月の二番花が終わったら実を付けたままにし、冬の剪定でまとめて切ります。秋に切ると寒さで枝先が枯れます。
矮性種と鉢植えの剪定
矮性種は枝が細かく密に出るので、冬に前年枝を二〜三節残して全体を切り詰めます。株全体から新枝が出て、こんもりと花が付きます。鉢植えは根の量に合わせて枝の量も減らします。春に根を切ったなら、枝も同じ割合で減らすと均衡が取れます。
- 全体を同じ高さで刈る
- 矮性種は冬に、前年枝を二〜三節残す高さで全体を刈り込みます。太い枝も細い枝も同じ高さにそろえると、春に均一に芽が出ます。
- 混んだ中心を抜く
- 株の中心で交差する枝を数本、付け根から抜いて風を通します。うどんこ病の予防になります。
切りすぎ・切らなさすぎのときの立て直し
強く切りすぎて枝が出ない、逆に切らずに放置して細い枝ばかりで花が小さい、こぶが腐ってきたといった不調は、切る強さと位置の問題です。サルスベリは芽吹く力が強いので、多くは翌年の剪定で立て直せます。それぞれの状態と戻し方を表にまとめます。
| 状態 | 原因 | 戻し方 |
|---|---|---|
| 春に芽が出ず枝が枯れた | 一月の厳寒期に強く切った | 二月に切る、若木は三分の一残す |
| 細い枝ばかりで花が小さい | 冬に切らず放置した | 翌冬に太い枝を残して細枝を抜く |
| こぶが黒く腐ってきた | 切り口が集まり水がたまった | 腐った部分を削り癒合剤、以後は位置をずらす |
| 枝が内側で交差し蒸れる | 内芽の上で切った | 翌冬に外芽の上で切り直す |
| 秋に切った枝先が枯れた | 九月以降の切り戻し | 枯れた部分を二月に切り戻す |
サルスベリの剪定に使うもの
剪定でいちばん多い失敗は、切れない道具で無理に切ることです。切り口が潰れると、そこから枯れ込みます。
- 剪定ばさみ探す言葉「剪定ばさみ バイパス 果樹」
- 規格の目安
- 刃渡り 5〜6cm、直径 2cm まで。バイパス式。手の大きさに合ったものを。
生きた枝を切るならバイパス式です。アンビル式は枝を潰すので、切り口がふさがるまでに時間がかかります。
- 剪定のこぎり探す言葉「剪定のこぎり 折込 24cm 生木」
- 規格の目安
- 刃渡り 24cm 前後、生木用の粗い刃。折込式は持ち運べます。
直径 2cm を超えたらのこぎりに切り替えます。太い枝は下側に受け口を入れてから切ると、樹皮が裂けません。
- 癒合剤探す言葉「癒合剤 トップジン 剪定」
- 規格の目安
- ペースト状で刷毛の付いたもの。
直径 3cm を超える切り口に塗ります。乾燥と雨から切り口を守るためで、小さい切り口には要りません。
- 消毒用アルコール探す言葉「消毒用アルコール スプレー」
- 規格の目安
- 濃度 70〜80%。スプレー式。
木を変えるたびに刃を拭きます。切り口から入る病気は、道具が運ぶことが少なくありません。
- 直径 3cm 以下の切り口には癒合剤は要りません。塗りすぎると内側が乾かないこともあります。
- 電動の剪定ばさみは、木が何本もあるようになってからで十分です。
サルスベリの上手に育てるコツは作物ページに
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