球根を選ぶ、系統を決める
スイセンは系統によって開花時期と草丈、香りが大きく違います。十二月から咲く日本水仙のような早咲きの房咲き、三月から四月に咲く大輪のラッパ咲き、小型で鉢向きのミニ系統などです。庭のどこで、いつ咲かせたいかで系統を選びます。
球根は手に持って重く、固く締まっていて、外皮に傷やカビのないものを選びます。大きい球根ほど翌春の花が確実で、ラッパ咲きなら周囲十二センチ以上、日本水仙なら三つ以上に分かれた大玉が目安です。
| 系統 | 開花時期 | 草丈と特徴 |
|---|---|---|
| 日本水仙(房咲き) | 12月〜2月 | 三十〜四十センチ。強い香り、一茎に数輪。丈夫で放任向き |
| ラッパ咲き・大杯咲き | 3月中旬〜4月上旬 | 三十五〜四十五センチ。花が大きく花壇の主役。切り花向き |
| 八重咲き | 3月下旬〜4月 | 三十〜四十センチ。花が重く倒れやすいので風の弱い場所 |
| ミニ系統(テタテートなど) | 2月下旬〜3月 | 十五〜二十センチ。鉢植え・寄せ植え向き。ふえやすい |
| 口紅・小杯咲き | 3月下旬〜4月中旬 | 三十〜四十センチ。遅咲きで長く楽しめる |
球根には有毒成分があり、葉はニラと、球根はタマネギと間違えられる事故が毎年起きています。食用の作物のそばには植えず、掘り上げた球根は食材と別に保管してください。
植え付けは十月から十一月
植え付けの適期は、地温が下がり始める十月から十一月です。早すぎると暑さで球根が腐り、遅すぎると根の張りが足りずに花が小さくなります。関東平野部なら十月中旬から十一月中旬に植えると、冬の間にしっかり根を張って春に咲きます。
スイセンは植えた年は必ず咲きますが、本当の見せ場は二年目以降です。毎年掘り上げずに三〜四年置くと、球根が分かれて株が広がり、花数が増えます。そのため、数年動かさない場所を選んで植えます。
- 深さは球根の高さの二〜三倍
- 球根の先端から土の表面まで、球根の高さの二倍を目安に穴を掘ります。関東平野部なら十〜十五センチ、寒冷地は十五〜二十センチと深めにします。
- 株間は十〜十五センチ
- 球根の幅の二倍ほど、十〜十五センチ空けます。数年置くなら十五センチ、一年で掘り上げるなら十センチまで詰められます。
- 先を上にして置く
- 球根のとがった方を上に、平らな方を下にして置きます。横に倒れても芽は出ますが、花が遅れて小さくなります。
- 土をかけて一回だけ水
- 土を戻して軽く押さえ、たっぷり水をやります。その後は雨任せで構いません。冬の乾燥が続くときだけ午前中に水を与えます。
- 元肥は少量を離して
- 元肥(植え付け前に土へ混ぜる肥料)は緩効性肥料を穴の底に少量入れ、球根に直接触れないよう土を薄くかぶせてから球根を置きます。
場所は日当たりと水はけ
スイセンは冬から春に日が当たり、夏は葉が枯れて休眠する植物です。落葉樹の下のように、冬に明るく夏に日陰になる場所は理想的で、休眠中の球根が暑さで傷みません。水はけの悪い場所では球根が腐るので、低地や粘土質なら高畝にするか鉢で育てます。
| 場面 | 向き不向き | 理由 |
|---|---|---|
| 落葉樹の下 | 最適 | 冬に日が当たり夏は日陰で球根が休める |
| 南向きの花壇 | 適 | 花付きが良い。夏の乾燥で球根が傷むことはまれ |
| 常緑樹の下や北側 | 不向き | 葉の光合成が足りず、翌年から花が減る |
| 雨のたびに水がたまる低地 | 不可 | 冬の過湿で球根が腐る。高畝か鉢にする |
| 芝生の中 | 可 | 葉が枯れるまで芝を刈れない点に注意 |
鉢植えの植え方
鉢植えでは花壇より浅く、球根の先が土の表面から一〜二センチ隠れる程度に植えます。土の量が限られるので、深植えすると根の張る場所がなくなるためです。五号鉢に大球一つ、七号鉢に三つ、プランターなら十センチ間隔で並べます。
用土は赤玉土小粒六に腐葉土四、または市販の球根用培養土で構いません。鉢底石を三センチ入れて水はけを確保し、植えた後は霜の当たらない日向に置きます。
- 鉢の深さは十五センチ以上
- 根が二十センチ近く伸びるので、浅い鉢は避けます。五号鉢以上の深鉢か、深型のプランターを使います。
- 球根の先を出さない
- チューリップと違い、スイセンは先端まで土に埋めます。表面から一〜二センチかぶるように植えます。
- 植えたら屋外で管理
- 室内に置くと根が張る前に芽が伸びます。屋外の日向で寒さに当て、つぼみが色づいてから室内に取り込むと長く楽しめます。
- 水は表面が乾いたら
- 冬は乾きにくいので、表面が乾いてから午前中にたっぷり。芽が伸び始めたら回数を増やします。
植え付けで失敗したときの見分け
春に芽が出ない、葉ばかりで花がない、といった失敗の多くは植え付けの時期と深さ、球根の質によるものです。掘って球根の状態を確かめると原因が分かります。
| 起きたこと | 原因の見当 | 直し方 |
|---|---|---|
| 春に芽が出ない | 球根が腐った・植え付けが早すぎた | 掘って柔らかければ腐り。十月中旬以降に新しい球根を |
| 葉は出たが花がない | 球根が小さすぎた・浅植えで分球した | 大球を選び、深さを二〜三倍にして植え直す |
| 芽は出たが花茎が短く土の中で咲く | 植え付けが遅く根が張れなかった | 来年は十一月中旬までに植える |
| 花が倒れる | 浅植え・株間が狭い | 深めに植え直し、八重咲きは支柱を添える |
植えた年に葉だけで終わっても、球根が固ければ翌年咲くことが多いです。掘り上げず、葉を枯れるまで残して待ってください。
スイセンの植え付けに使うもの
苗も球根も、植えたあとに動かすと根が傷みます。植える日にそろえておくものだけを挙げます。
- 草花用の培養土探す言葉「草花 培養土 元肥入り」
- 規格の目安
- 元肥入り、水はけ重視の配合。14〜25L の袋。
- 数量の目安
- 8 号鉢 1 個で約 8L、65cm プランターで 12〜15L、花壇なら 1 ㎡ あたり 20〜30L。
花壇でも、土が固いところは掘り上げて培養土を混ぜたほうが根が張ります。
- 腐葉土探す言葉「腐葉土 園芸」
- 規格の目安
- 葉の形が残っている完熟のもの。40L 前後の袋。
- 数量の目安
- 花壇 1 ㎡ あたり 5〜10L を掘り上げた土に混ぜます。
土をふかふかにして、水もちと水はけを同時に良くします。花壇の土づくりの基本です。
- 緩効性肥料(元肥)探す言葉「緩効性肥料 元肥 マグァンプ」
- 規格の目安
- 粒状で 1 年ほど効くタイプ。植え穴の底に入れて使います。
- 数量の目安
- 8 号鉢 1 個に 5〜10g、花壇 1 ㎡ あたり 50g 前後。
根に直接触れないよう、土を一枚かぶせてから植えます。触れると濃さで傷みます。量は袋の表示に従ってください。
出典: 農林水産省「都道府県施肥基準等」
- 移植ごて探す言葉「移植ごて ステンレス 目盛り」
- 規格の目安
- 幅 6〜8cm。目盛り付きなら球根の深さを測れます。
球根は「球の高さの 2〜3 倍の深さ」に植えるのが基本で、目分量だと浅くなりがちです。
- 球根植え器は、球根をまとめて植えるようになってからで十分です。移植ごてで足ります。
- 鉢を毎回買い替えなくても、古い鉢を洗って日に当てれば使えます。
スイセンの長く咲かせるコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はスイセンの育て方にまとめています。
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