増やし方の選び方
ヤツデは幹の先を切って挿すだけでよく根が出るので、挿し木が最も手軽な増やし方です。庭植えの株元には子株がよく出るので、四月に掘り分ける株分けなら一年で庭に出せる大きさになります。黒い実から種をまくこともできますが、斑入りなどの品種は種から同じ性質が出ないので、品種を残したいときは挿し木か株分けにします。
| 方法 | 適期 | 向く場面 | 庭に出せるまで |
|---|---|---|---|
| 挿し木 | 6月〜7月上旬 | 斑入りなど品種を残す、数を増やす | 1〜2年 |
| 株分け | 4月 | 株元に子株が出ているとき | 半年〜1年 |
| 実生 | 4〜5月(前年の実をまく) | 緑葉の普通種、数を多く | 2〜3年 |
六月の挿し木の手順
今年伸びた幹の先がやや固くなった六月中旬〜七月上旬が適期です。幹の先端一五センチほどを切り、下の葉を落として上に葉を二〜三枚残します。ヤツデの葉は大きいので、残した葉を半分から三分の一に切って水の蒸発を抑えます。切り口を一時間水に浸けてから、赤玉土か鹿沼土に五センチ挿し、明るい日陰で乾かさないように管理します。発根まで二か月ほどで、幹が太いぶん乾きにくく、失敗の少ない挿し木です。
- 挿し穂を切る
- 幹の先端から一五センチを、朝のうちによく切れるはさみで切ります。切り口は斜めにして吸水面を広くします。
- 葉を減らす
- 下の葉は葉柄の付け根で落とし、上の葉を二〜三枚残して、それぞれ半分から三分の一に切ります。葉が多いと水が足りずに枯れます。
- 赤玉土に深めに挿す
- 肥料の入っていない赤玉土に割りばしで穴を空けて五センチ挿し、幹が倒れないよう周りを押さえます。直射日光は避けます。
- 二か月後に確かめる
- 穂を軽く引いて抵抗があれば根が出ています。九月下旬〜十月に、根を崩さず四〜五号ポットへ移します。
四月の株分けの手順
庭植えのヤツデの株元には、根元から出た子株が育っています。四月上旬〜中旬に、子株の周囲を深さ二〇センチほど掘り、親株とつながる根をのこぎりかスコップで切り離して掘り上げます。根が付いていれば、そのまま鉢か庭の別の場所に植えて、一か月ほど日陰で養生します。葉が多いと水が足りないので、大きな葉を半分ほど切ってから植えます。
- 子株の周囲を掘る
- 子株から一五センチ離れた位置を一周、深さ二〇センチまで掘ります。親株の根を傷めないよう、親株側は浅めに掘ります。
- 根を切り離す
- 親株とつながる太い根を、よく切れるのこぎりで切ります。切り口が大きければ癒合剤を塗って、親株側の傷も守ります。
- 葉を減らして植える
- 掘り上げた子株の大きな葉を半分ほど葉柄で切り、根鉢を崩さず鉢か庭に植えます。たっぷり水をやって一か月は日陰に置きます。
実から育てる場合
十一月の花が終わると、翌年の四〜五月に黒い実が熟します。実を採って水の中で果肉をもみ落とし、洗った種をすぐに赤玉土へ一センチ間隔でまき、五ミリほど土をかぶせて明るい日陰に置きます。発芽は一〜二か月後で、そろわずにぽつぽつと出るので、出ない種も捨てずに夏まで待ちます。本葉が四〜五枚になったら一本ずつポットに移し、二年ほど育ててから庭に出します。
- 果肉を洗い落とす
- 実を水に入れて指でもみ、浮いた果肉と皮を捨てます。沈んだ種だけを使います。乾かすと発芽率が落ちるので、洗ったらすぐまきます。
- 本葉四枚で移す
- 本葉が四〜五枚になったら一本ずつ三号ポットへ移します。根が細いので、土ごとすくって崩さないようにします。
うまくいかないときの原因
挿し穂が黒く腐るのは、柔らかすぎる幹を使ったか、土が肥料入りで雑菌が多かった場合です。乾いて枯れるのは日なたに置いたか、葉を大きいまま残しすぎたときに起きます。株分けした子株がしおれるのは、根が少ないのに葉が多すぎるためで、葉をさらに減らして日陰で待てば持ち直します。種が芽を出さないのは、果肉を落とし切れていないか、まいた後に土が乾いたかのどちらかです。
| 見た目 | 原因 | 直し方 |
|---|---|---|
| 挿し穂が黒く腐る | 幹が柔らかい、土に肥料 | 幹の固さを確かめ、新しい土で挿し直す |
| 挿し穂が乾いて枯れる | 日ざし、葉の残しすぎ | 葉を三分の一に切り、日陰に置く |
| 株分けした子株がしおれる | 根が少なく葉が多い | 葉をさらに減らして日陰で待つ |
| 種が半年たっても出ない | 果肉が残っていた、土が乾いた | 翌年は洗ってすぐまき、乾かさない |
育てた苗を庭木にするまで
挿し木や株分けで育てた苗は、一年目は根を張らせることに集中させ、肥料は春と秋に少量だけやります。二年目の四月に高さが三〇センチを超えたら、明るい日陰の定位置に植えます。幹が一本で上にだけ葉が付く姿を避けたいなら、二年目の春に幹の先端を摘んで枝分かれさせておくと、低い位置にも葉が付く株になります。
斑入りの品種を挿し木で増やした場合、緑一色の葉が出てきたら早めに葉柄で切ります。放っておくと緑の葉のほうが勢いが強く、斑入りの部分が消えてしまいます。
- 二年目に先端を摘む
- 高さ二〇センチほどのときに幹の先端を一センチほど切ります。切り口の下から二〜三本に分かれて、低い位置にも葉が付きます。
- 斑入りは緑の葉を切る
- 緑一色の葉が出たら葉柄の付け根で切ります。斑の入った葉だけを残すと、株全体の斑が安定します。
ヤツデの挿し木・接ぎ木に使うもの
木を増やす方法は挿し木と接ぎ木で、要るものが違います。まず自分の木がどちらで増えるかを確かめます。
- 挿し木用土(鹿沼土・赤玉土小粒)探す言葉「挿し木 用土 鹿沼土」
- 規格の目安
- 鹿沼土か赤玉土の小粒、単用。肥料分のないもの。
- 数量の目安
- 3 号ポット 1 個で 0.2L。
肥料分があると、根が出る前に切り口が傷みます。清潔で肥料のない土であることが条件です。
- 発根促進剤探す言葉「発根促進剤 挿し木 ルートン」
- 規格の目安
- 粉末を切り口に付けるタイプ。
木は草花より根が出にくく、種類によっては差がはっきり出ます。
- 接ぎ木用ナイフ探す言葉「接ぎ木ナイフ 園芸」
- 規格の目安
- 片刃で、刃の平らなもの。よく研げるもの。
接ぎ木は切り口の面が合うかどうかがすべてです。普通のカッターでは平らな面を作れません。
- 接ぎ木テープ探す言葉「接ぎ木テープ 園芸」
- 規格の目安
- 伸びて自然に劣化するタイプ。幅 20〜30mm。
接いだところを密着させ、乾燥を防ぎます。外し忘れると幹に食い込むので、劣化するものが安全です。
- 挿し木で増える種類なら、接ぎ木の道具は要りません。
- 苗木を買うほうが早く実を付ける木も多く、増やすのは趣味の範囲と割り切る選択もあります。
ヤツデの上手に育てるコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はヤツデの育て方にまとめています。
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