切る必要があるかを株の姿で判断する
ヤツデは幹の先端に大きな葉を放射状に付け、下の葉は年を経ると落ちていきます。若いうちは剪定しなくても丸くまとまりますが、四〜五年たつと幹が伸びて下半分に葉がなく、上にだけ葉の塊がある姿になります。まず株の姿を見て、切る必要があるかどうかを判断します。
| 姿 | 剪定の要否 | やること |
|---|---|---|
| 高さ1メートル以下で葉が下まである | 不要 | 黄ばんだ古葉を取るだけ |
| 幹が伸びて下半分に葉がない | 切り戻す | 4月に幹を望む高さで切る |
| 株元から子株がたくさん出ている | 整理する | 太い幹を3本ほど残して他を抜く |
| 葉が茂りすぎて中が暗い | 葉を減らす | 重なった葉を葉柄の付け根で切る |
花は十一月ごろに幹の先に咲きます。花後に黒い実が付きますが、実を残すと株が疲れるので、花が終わったら花茎ごと切ります。
切り戻しの時期と切る位置
切り戻しは新しい葉が動く直前の三月下旬〜四月上旬に行います。ヤツデは古い幹からも芽を出す力が強く、葉のない幹の途中で切っても、切り口のすぐ下から新しい芽が二〜三本出ます。切る高さは仕上げたい高さより二〇〜三〇センチ低い位置が目安です。その分だけ新しい幹が伸びて、秋にはちょうどよい高さで葉がそろいます。地際から三〇センチで切っても、翌年には一メートル近くまで戻ります。
- 節の少し上で切る
- 幹をよく見ると葉の落ちた跡が節として残っています。その節の一センチほど上で、太い幹はのこぎり、細い幹は剪定ばさみで水平に切ります。
- 一度に切るのは全体の三分の一まで
- 株立ちなら幹を毎年一〜二本ずつ切り戻すと、葉のない年を作らずに済みます。一度に全部切ると、その年は寂しい姿になります。
- 切り口に癒合剤を塗る
- 幹の直径が二センチを超えるときは、切り口から乾いて枯れ込むのを防ぐため、市販の癒合剤を薄く塗っておきます。
株立ちの整理と子株の扱い
庭植えのヤツデは根元から子株がよく出て、放っておくと幹が林立して一本ごとの葉が小さくなります。三〜四月に、太くて葉がよく付いた幹を三〜五本残し、細い幹や内側で交差する幹を根元から切ります。抜いた子株は根が付いていれば別に植えて増やせます。残す幹は高さをそろえるより、高低差を付けたほうが葉が重ならず、風通しもよくなります。
- 残す幹を先に決める
- 太さと葉の量を見て、残す幹に麻ひもで目印を付けてから切り始めます。切りながら決めると残しすぎになりがちです。
- 細い幹は根元で切る
- 親指より細い幹は葉も小さいので、地際で切ります。切り口が地面に近いと土をかぶせておくだけで塞がります。
- 掘り上げた子株は別に植える
- 根が付いた子株はそのまま鉢に植えて、日陰で一か月養生します。一年ほどで庭に出せる株に育ちます。
日常の手入れは古い葉と花がら
本格的な剪定以外に、年に数回の軽い手入れで株がきれいに保てます。古い葉は春に新葉が展開すると自然に黄色くなって垂れるので、葉柄の付け根で切ります。葉が茂りすぎて内側が暗いときは、重なった葉を数枚抜いて風を通します。十一月の花が終わったら、実になる前に花茎ごと切ると、養分が葉に回って翌年の姿がよくなります。
| 時期 | 手入れ | 目安 |
|---|---|---|
| 4〜5月 | 黄ばんだ古葉を切る | 新葉が開ききったころ |
| 6〜7月 | 重なった葉を抜く | 株の内側が暗いと感じたら |
| 12月 | 花茎を切る | 花が茶色くしぼんだら |
| 1〜2月 | 触らない | 寒い時期に切ると傷む |
切ったあとに芽が出ないときの原因と直し方
四月に切り戻したのに六月になっても新芽が出ない場合、切った時期が早すぎて寒さで切り口が傷んだか、根が弱っていて芽を押し出す力がないかのどちらかです。前者は幹を触って皮の下が緑ならまだ望みがあるので、七月まで待ちます。後者は根元を掘って根が黒く柔らかければ根腐れなので、傷んだ根を切って新しい土に植え直します。芽が出ても葉が小さい場合は、切った年の肥料と水が足りていないので、五月に追肥(育ちの途中で足す肥料)を一握り足します。
- 皮を削って生死を確かめる
- 切り口の下の幹の皮を爪で少し削り、緑なら生きています。茶色く乾いていれば、さらに下の緑の部分まで切り下げます。
- 七月まで待つ判断
- ヤツデは切り戻し後の芽吹きに時間がかかることがあります。皮が緑なら七月中旬まで水を切らさず待ち、それでも出なければ根を確かめます。
- 翌年は切る時期を遅らせる
- 三月中に切って失敗した株は、翌年は四月上旬に切ります。寒の戻りが切り口を傷める木です。
鉢植えを小さく保つ切り方
鉢植えは根が限られるので、庭植えより幹の伸びが遅く、切り戻しの間隔も長くなります。二〜三年に一回、植え替えと同じ四月に幹を切り戻し、根鉢の外側も三センチほど削って同じ鉢に戻すと、高さ五〇センチほどのまま葉を楽しめます。根を切った年は葉の量も減らしておかないと水が足りなくなるので、幹の切り戻しと根の整理は同じ日に済ませます。
切った幹の先は挿し木の穂に使えます。葉を二〜三枚残して半分に切り、赤玉土に挿しておくと予備の株になります。四月に挿しても六月の挿し木より時間はかかりますが、夏までには根が出ます。
- 植え替えと同時に切る
- 根鉢の外側を削った分だけ、幹も同じ割合で切り戻します。根と葉のつり合いが取れていると、植え替え後の葉落ちが起きません。
- 葉柄を残さず切る
- 葉を減らすときは、葉柄を幹の付け根で切ります。葉柄を残すと枯れ込んで見た目が悪く、病気の入口にもなります。
ヤツデの剪定に使うもの
剪定でいちばん多い失敗は、切れない道具で無理に切ることです。切り口が潰れると、そこから枯れ込みます。
- 剪定ばさみ探す言葉「剪定ばさみ バイパス 果樹」
- 規格の目安
- 刃渡り 5〜6cm、直径 2cm まで。バイパス式。手の大きさに合ったものを。
生きた枝を切るならバイパス式です。アンビル式は枝を潰すので、切り口がふさがるまでに時間がかかります。
- 剪定のこぎり探す言葉「剪定のこぎり 折込 24cm 生木」
- 規格の目安
- 刃渡り 24cm 前後、生木用の粗い刃。折込式は持ち運べます。
直径 2cm を超えたらのこぎりに切り替えます。太い枝は下側に受け口を入れてから切ると、樹皮が裂けません。
- 癒合剤探す言葉「癒合剤 トップジン 剪定」
- 規格の目安
- ペースト状で刷毛の付いたもの。
直径 3cm を超える切り口に塗ります。乾燥と雨から切り口を守るためで、小さい切り口には要りません。
- 消毒用アルコール探す言葉「消毒用アルコール スプレー」
- 規格の目安
- 濃度 70〜80%。スプレー式。
木を変えるたびに刃を拭きます。切り口から入る病気は、道具が運ぶことが少なくありません。
- 直径 3cm 以下の切り口には癒合剤は要りません。塗りすぎると内側が乾かないこともあります。
- 電動の剪定ばさみは、木が何本もあるようになってからで十分です。
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