一年の流れ
三月に地際から新芽が出て、初夏まで茎が伸び、夏を耐えて九月から十一月に花が咲きます。冬は地上部が枯れて根だけで越し、翌春また芽を出します。作業は春の植え付け、六月の摘心(先端の芽を摘んで枝分かれさせること)、夏越し、秋の花の管理が中心です。
寒冷地では全体が二〜三週間遅れ、暖地では夏の作業を早めに始めます。地域差は月よりも株の姿で判断し、芽が出たら春の作業、草丈が十五センチになったら摘心、朝晩が涼しくなったら秋の作業と、株を見て切り替えます。
| 月 | 作業 | 目安 |
|---|---|---|
| 3月 | 植え付け、株分け、液肥の開始 | 新芽が二〜三センチのころ |
| 4月〜5月 | 水やり、液肥を二週に一回 | 茎が伸びる時期 |
| 6月上旬〜中旬 | 摘心、株元に敷きわら | 草丈十五センチのころ |
| 7月〜8月 | 半日陰へ移動、朝の水やり | 肥料は止める |
| 9月〜10月 | リン酸の液肥、開花 | つぼみに色が乗ったら水を切らさない |
| 11月 | 花がら摘み、お礼肥 | 十一月上旬まで |
| 12月〜2月 | 地上部を刈り取り、乾かし気味に | 月に二〜三回の水やり |
春の作業
新芽が土から見えたら植え付けと株分けの適期です。芽が伸びきってからでは根を切るのが負担になります。同時に薄い液体肥料を始め、日なたに置いて茎を締めます。
春の植え替えは根を切りすぎないことが肝心です。鉢増しなら根鉢を崩さず一回り大きい鉢へ、株分けなら三〜四芽を一つの目安にして手で割ります。割ったあとは一週間ほど日陰で養生し、新しい葉が動いたのを見てから日なたへ出します。
- 芽出し直後に植え付け
- 芽が二〜三センチのころに鉢増しや庭への植え付けを行います。根鉢は崩さず、深さは前と同じにします。
- 液肥を始める
- 芽が伸び始めたら規定の二倍に薄めた液体肥料を二週間に一回与えます。粒状肥料なら株元にひとつまみです。
- 日なたへ出す
- 春は日によく当てます。暗い場所では茎が細く伸びて秋に倒れ、花も付きにくくなります。鉢なら南向きの場所へ出します。
夏の作業
リンドウにとって夏は一番の山場です。六月中旬までに摘心と株元の覆いを済ませ、七月からは鉢を半日陰へ移して肥料を止めます。水は朝に与え、夕方に葉を見てしおれていれば足します。
夏に地上部が半分ほど枯れ上がっても、株元に緑の葉が残っていれば秋に回復します。枯れた茎を無理に抜かず、はさみで切って株元を清潔にしておきます。この時期に肥料や植え替えで手を加えると、かえって株を失うことが多いので、水と日陰だけで乗り切ります。
- 敷きわらで根を守る
- 梅雨明け前に株元へ腐葉土か敷きわらを敷きます。土の温度が上がりにくくなり、乾きも遅れます。
- 鉢は午後の日陰へ
- 七月から八月は午後に日陰になる場所へ動かします。西日の当たる場所には置きません。
- 葉の様子を見て水
- 朝に土を触って乾いていれば与えます。葉が薄くなって垂れるなら日が強すぎるので、さらに日陰へ移します。
秋の作業
九月に入ったら日なたへ戻し、リン酸の多い液体肥料を二週間に一回与えてつぼみを太らせます。咲き始めたら肥料を止め、水を切らさず、終わった花は付け根から摘み取ります。
花の時期は品種と地域で幅があり、九月に咲く早生から十一月に咲く晩生まであります。早生の品種は残暑の中で咲くので、日陰と水を多めにします。晩生の品種は霜が降りる前に咲き終わるよう、鉢なら十月下旬から軒下へ入れて花を守ります。
- 日なたへ戻す
- 残暑が落ち着く九月中旬を目安に日なたへ戻します。日が足りないとつぼみが開きません。
- 花がらを摘む
- 終わった花は付け根から摘み取ります。残すと灰色かび病の元になり、次の花の開きも悪くなります。
- お礼肥は十一月上旬まで
- 花が終わったら緩効性肥料をひとつまみ与えます。遅れると休眠に入れないので十一月上旬までに済ませます。
冬の作業
十二月に地上部が黄色く枯れたら地際で刈り取ります。根は生きているので、鉢は日の当たる場所に置き、乾いて二〜三日たってから暖かい日中に水を与えます。庭植えは霜柱で根が持ち上がるので、株元に腐葉土をかぶせておきます。
冬に鉢の土が凍ると細根が切れます。関東平野部でも氷点下五度を下回る夜は、鉢を軒下や玄関先の風の当たらない場所へ動かします。室内には入れません。暖かい部屋で越冬させると休眠が浅くなり、春の芽出しが弱くなります。
| 場面 | 作業 | 注意 |
|---|---|---|
| 地上部が枯れた | 地際で刈り取る | 青い茎が残るなら待つ |
| 鉢植えの冬 | 日なたで乾かし気味に | 完全に乾かすと細根が枯れる |
| 庭植えの冬 | 株元に腐葉土をかぶせる | 霜柱で根が浮くのを防ぐ |
作業が遅れたときの立て直し
摘心が七月にずれ込んだなら、その年は摘まずに咲かせたほうが花が残ります。植え替えが春を逃したなら、花後の十一月上旬に行うのが次の機会です。真夏と開花中の植え替えは株を失いやすいので避けます。
遅れた作業を取り戻そうとして、一度に複数の作業をすると株が弱ります。植え替えと株分けと摘心を同じ日に行うのは避け、少なくとも二週間ずつ間を空けます。どうしても迷うなら何もしないほうが、リンドウでは結果がよいことが多いです。
| 場面 | 遅れたとき | 次の機会 |
|---|---|---|
| 摘心が七月に | 今年は摘まない | 来年の六月中旬まで |
| 春の植え替えを逃した | 夏は動かさない | 花後の十一月上旬 |
| お礼肥を忘れた | 十一月中旬以降は与えない | 翌三月の芽出し時 |
リンドウの栽培に一年を通して使うもの
咲かせるための買い物は、野菜とは比率が違います。窒素を効かせすぎると葉ばかり茂って花が減るので、そこを外さないものを挙げます。
- 草花用の培養土探す言葉「草花 培養土 元肥入り」
- 規格の目安
- 元肥入り、14〜25L の袋。水はけを重視した配合のもの。
- 数量の目安
- 直径 24cm(8 号)の鉢 1 個で約 8L、65cm プランター 1 個で 12〜15L。
野菜用の土は肥料分が多く、草花では葉ばかり伸びることがあります。袋の表示で用途を確かめます。
- 緩効性肥料(置き肥)探す言葉「緩効性肥料 草花 置き肥」
- 規格の目安
- 粒状で 2〜3 か月効くタイプ。リン酸の比率が高い「花用」と書かれたもの。
- 数量の目安
- 8 号鉢 1 個に 10〜15g(大さじ 1 強)を 2〜3 か月ごと。
置いておくだけで少しずつ溶けるので、水やりのたびに考えなくて済みます。夏の高温期は効きが強く出るので量を控えます。
- 液体肥料探す言葉「液体肥料 花 リン酸」
- 規格の目安
- 1000 倍希釈の原液。リン酸(P)の数字が高いものが花向きです。
つぼみが上がる時期だけ、週 1 回のペースで足します。効きが早いぶん、切れるのも早いのが液肥です。
- 花がら摘み用のはさみ探す言葉「園芸ばさみ 花がら摘み」
- 規格の目安
- 刃渡り 3〜5cm、先の細いもの。
咲き終わった花を残すと種を作りに養分が回り、次の花が減ります。摘み続けられるかどうかで花期の長さが変わります。
- 活力剤は肥料の代わりになりません。肥料を与えているなら急ぎません。
- 「花用」「野菜用」で土を分けるのは、両方を育てるようになってからで十分です。
リンドウの長く咲かせるコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はリンドウの育て方にまとめています。
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