一年の作業を月で追う
スグリの作業は冬に集中し、夏はいかに休ませるかが中心です。関東平野部の露地を基準にした月ごとの目安を示します。寒冷地は一か月ほど遅く、暖地は夏の遮光を早めに始めます。
| 月 | 作業 | 目安 |
|---|---|---|
| 1月 | 剪定、植え付け | 古枝を根元から抜き、株を八本から十二本に |
| 2月 | 寒肥、植え付け | 堆肥と緩効性肥料を株元から離してまく |
| 3月 | 芽吹き、水やり開始 | 鉢植えは表面が乾いたら水を与える |
| 4月 | 開花 | 小さな緑や赤の花。人工授粉は不要 |
| 5月 | 若枝の整理、病害虫の見回り | 地際の若枝を三本残す。アブラムシに注意 |
| 6月 | 覆い敷き、収穫始め | 梅雨明け前に株元を覆う。鳥よけネットを張る |
| 7月 | 収穫、お礼肥、遮光 | 収穫後に少量の肥料。遮光ネットを西側に |
| 8月 | 水やり、遮光 | 朝に株元へたっぷり。葉焼けした葉は取らない |
| 9月 | 遮光を外す | 涼しくなったらネットを外し、新葉を出させる |
| 10月 | 見回りのみ | 肥料は与えない。落ち葉を集めて処分 |
| 11月 | 落葉、植え付け準備 | 葉が落ちたら植え穴を掘っておく |
| 12月 | 剪定、植え付け | 枯れ枝を落とし、古枝の更新を始める |
寒冷地では四月の芽吹き、七月から八月の収穫と、全体が一か月ほど後ろにずれます。
冬の作業は剪定と寒肥
十二月から二月は、スグリにとって一年でいちばん手をかける季節です。葉がないので枝の年齢が見やすく、古枝の更新と枯れ枝の整理を落ち着いてできます。剪定が終わったら寒肥を与え、春の芽吹きに備えます。
雪が積もる地域では、株を麻ひもで軽くまとめておくと枝が雪で裂けるのを防げます。関東平野部では通常不要ですが、大雪の予報が出たら株の上の雪を早めに落とします。
- 十二月に枯れ枝を落とす
- 先端が茶色く乾いた枝、爪で削って緑が出ない枝を切ります。病気で枯れた枝は株元まで切り戻します。
- 一月に古枝を更新する
- 皮が黒くひび割れた四年以上の枝を、年に二本から三本、地際で切ります。全体の枝数は八本から十二本を保ちます。
- 二月に寒肥を入れる
- 株の周囲に浅い溝を掘り、堆肥二リットルと緩効性肥料ひとつかみを入れて土を戻します。幹のすぐ近くには置きません。
春は花と若枝を見守る
三月に芽が動き、四月に小さな花が咲きます。スグリは一株で実がなるので受粉樹は要りませんが、複数株あるほうが実付きは安定します。五月には地際から新しい枝が伸び始めるので、太いものを選んで残し、細い枝は抜きます。
開花中に強い風や雨が続くと花が落ちて実が減ります。鉢植えなら軒下に一時避難させると実付きが安定します。地植えは動かせないので、株の風上に簡単な風よけを立てるだけでも違います。
- 開花中は水を切らさない
- 四月に土が乾くと花が落ちて実になりません。鉢植えは特に、表面が乾いたらすぐ与えます。
- 五月にアブラムシを見る
- 新芽の先が縮れていたらアブラムシです。見つけしだい水で流すか、果樹に使える殺虫剤を使います。
初夏は収穫と暑さ対策を同時に進める
六月から七月の収穫期は、同時に梅雨明けの暑さ対策を始める時期でもあります。収穫が終わってからでは間に合わないので、六月中に株元の覆いを敷き、遮光ネットを用意しておきます。
| 時期 | 収穫 | 暑さ対策 |
|---|---|---|
| 6月上旬 | 実が色づき始めたら鳥よけネット | 株元に腐葉土を五センチ敷く |
| 6月中旬〜下旬 | 赤系は房ごと、グーズベリーは一粒ずつ | 鉢は二重鉢か日陰へ移動 |
| 7月上旬 | 残りを摘み終え、お礼肥 | 遮光ネットを西側に張る |
秋は肥料を控えて休ませる
九月に涼しくなると、夏に葉を落とした株も新しい葉を出します。ここで肥料を与えたくなりますが、秋の肥料は枝を柔らかく伸ばして冬の寒さで枯れ込む原因になります。十月から十一月は見回りと落ち葉の片付けだけにし、株を休ませます。
落ち葉には病気の胞子が残ります。十一月に落葉したら株元の葉を集めて処分し、新しい腐葉土を敷き直しておくと翌年の病気が減ります。
- 遮光を外す
- 最高気温が三十度を下回る日が続いたら遮光ネットを外します。外すのが遅れると光不足で翌年の花芽が減ります。
- 落ち葉を片付ける
- 落葉後に株元の葉を集め、燃えるごみとして出します。堆肥にはせず、病気の持ち越しを防ぎます。
作業が遅れたときの立て直し
剪定を忘れた、肥料の時期を逃した、遮光が間に合わなかったという遅れは、その年の実には響きますが株は枯れません。取り返す方法をまとめます。
| 場面 | 起きること | 戻し方 |
|---|---|---|
| 剪定を三月まで忘れた | 切ると樹液が出て弱る | 枯れ枝だけ切り、更新は翌冬に回す |
| 寒肥を忘れた | 春の伸びが弱い | 三月に緩効性肥料を半量まく |
| 遮光が遅れて葉が焼けた | 夏に葉を落とす | すぐ遮光し、水を朝に。秋の新葉を待つ |
| 収穫が遅れた | 実が落ちて鳥に食べられる | 残りを摘んでジャムに。来年はネットを早く |
スグリの栽培に一年を通して使うもの
木の作業は冬と夏に固まります。冬に剪定と寒肥、生育期に袋かけと防鳥。この 4 つを季節の前にそろえておきます。
数量は植えて数年たった木 1 本を単位にしています。
- 剪定ばさみ探す言葉「剪定ばさみ 果樹」
- 規格の目安
- 刃渡り 5〜6cm、直径 2cm 程度まで切れるもの。バイパス式(刃が交差するもの)。
アンビル式は枝を潰します。生きた枝を切るならバイパス式で、切り口が滑らかなほど早くふさがります。
- 剪定のこぎり探す言葉「剪定のこぎり 折込 24cm」
- 規格の目安
- 刃渡り 24cm 前後の折込式。生木用の刃(目の粗いもの)を選びます。
直径 2cm を超える枝は、はさみで切ろうとすると枝も刃も傷めます。工作用ののこぎりは生木で目が詰まります。
- 有機質肥料(寒肥用)探す言葉「油かす 骨粉 有機質肥料」
- 規格の目安
- 油かすと骨粉の配合肥料。5〜10kg 袋。
- 数量の目安
- 成木 1 本に 1〜2kg。樹冠(枝の広がり)の外周に沿って埋めます。
冬に入れて、春に効き始めるのを狙う肥料です。ゆっくり分解するので、休眠期のうちに入れておきます。樹種と樹齢で必要な量は変わるので、詰めたいときは施肥基準を見てください。
出典: 農林水産省「施肥基準 — 果樹」
- 防鳥ネット探す言葉「防鳥ネット 目合い25mm」
- 規格の目安
- 目合い 20〜25mm。小鳥まで防ぐなら 15mm。
- 数量の目安
- 高さ 2m の木 1 本を覆うのに 4m × 4m 程度。
色づく直前にかけます。目合いが大きすぎると小鳥が入り、細かすぎると風で煽られて枝を傷めます。
- 高枝切りばさみは、木が背を越してからで十分です。低く仕立てるならずっと不要です。
- チェーンソーは家庭の果樹には要りません。剪定のこぎりで足ります。
スグリの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はスグリの育て方にまとめています。
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