自分の株で使える方法を選ぶ
ケンチャヤシは幹の先端に一つだけ生長点を持つ単幹のヤシで、枝や葉を挿しても根は出ません。増やす方法は種まきと、寄せ植えされた株を分ける株分けの二つに限られます。まず鉢の中に幹が何本あるかを見て、下の表で自分に合う方法を選びます。
| 株の姿 | 使える方法 | 難しさと期間 |
|---|---|---|
| 一つの鉢に幹が二〜五本立っている | 株分け | 根が絡み合っており、やや難しい。回復に半年 |
| 幹が一本だけ | 株分けは不可。種まきのみ | 種の入手が必要。発芽まで数か月 |
| 幹を切りたい、背を低くしたい | できない | 生長点を切ると枯れる |
市販のケンチャヤシの多くは、見栄えのために三〜五本の実生苗を一鉢に寄せ植えしてあります。
株分けの適期と準備
株分けは根が活発に動く五月から七月に、植え替えと同時に行います。寄せ植えされた株は根が互いに深く絡み合っており、無理に引き裂くと両方が弱ります。分けた直後は生長が止まり、下葉が数枚枯れるのが普通なので、見栄えを重視する株なら無理に分けないほうがよいこともあります。
- 前日に水を与える
- 根鉢が乾いていると根が切れやすくなります。前日にたっぷり与え、当日は湿った状態で作業します。
- 鉢と土を先に用意
- 分けた株ごとに深鉢と、水はけのよい観葉植物用の土を用意します。分けてから探すと根が乾きます。
- 清潔なはさみを用意
- 根を切るはさみは刃をアルコールか熱湯で消毒しておきます。傷口から雑菌が入ると根腐れの原因になります。
株分けの手順
根をなるべく切らないことが成否を分けます。土を水で洗い流して根の絡みを目で見ながらほぐすと、切る量を最小限にできます。どうしてもほぐれない部分だけをはさみで切ります。
- 鉢から抜いて土を落とす
- 鉢を横に倒して株を抜き、バケツの水の中で根鉢を揺すって土を落とします。根の絡みが見えるようになります。
- 幹ごとに根をほぐす
- 分けたい幹の根元を持ち、絡んだ根を指で少しずつ外します。一本ずつ根の行き先をたどるつもりで、時間をかけます。
- 絡みが強い部分だけ切る
- ほぐれない太い根は、どちらの幹に付いているかを見て、細いほうを切ります。切り口は乾かさずすぐに植えます。
- それぞれ深鉢に植える
- 鉢底石を入れ、元の深さと同じになるように植えます。株がぐらつくなら支柱を一本添えて固定します。
- たっぷり水を与えて日陰へ
- 鉢底から流れるまで与え、直射日光の当たらない明るい日陰に一か月置きます。葉水を毎日行います。
種まきで育てる
国内で結実することはまずなく、種は輸入された乾燥種子を通販などで入手します。発芽には二十五〜三十度の温度が要り、三か月から半年、ときには一年近くかかります。気長に待てる人向けの方法ですが、小さな苗から育てる楽しみがあります。まきどきは温度が確保できる五月から七月です。
- 種を二〜三日水に浸ける
- 乾燥した種は硬い殻に覆われています。ぬるま湯に二〜三日浸け、毎日水を替えて吸水させると発芽がそろいます。
- 湿らせた用土にまく
- 水はけのよい種まき用の土か水苔を湿らせ、種を一センチほどの深さに埋めます。乾かさないよう袋をかぶせます。
- 二十五度以上を保つ
- 暖かい場所に置き、土が乾きかけたら霧吹きで湿らせます。冬に温度が下がると発芽が止まるので、夏の間にまきます。
- 本葉が出たら鉢上げ
- 細長い葉が二〜三枚出たら、小さな深鉢に一本ずつ植えます。根を傷めないよう、周りの土ごと移します。
分けた株の養生
株分け後の一か月は、根が水を吸う力が落ちているため、水のやりすぎが最大の失敗原因です。土の表面が乾いてから与え、葉からの蒸発を抑えるために葉水を毎日行います。肥料は新しい葉が動くまで与えません。下葉が黄色くなって落ちるのは根の量に葉を合わせている反応で、二〜三枚なら心配いりません。
| 時期 | 水やり | 置き場所と肥料 |
|---|---|---|
| 分けてから二週間 | 表面が乾いてから。葉水は毎日 | 明るい日陰。肥料なし |
| 三〜四週間 | 通常の間隔に戻し始める | 元の置き場所へ。肥料なし |
| 新葉が動いてから | 通常どおり | 置き肥を半量から再開 |
うまくいかないときの原因
株分け後に葉が次々に枯れるときは、根を切りすぎたか、過湿で残った根まで傷んだかのどちらかです。土が湿り続けているなら水を止めて乾かし、それでも幹の根元が柔らかくなったら回復は難しくなります。種まきで芽が出ないときは、温度不足か種の鮮度の問題がほとんどで、一年待って出なければあきらめて新しい種をまき直します。
| 場面 | 原因 | 戻し方 |
|---|---|---|
| 分けた株の葉が全部垂れる | 根の切りすぎ、乾燥 | 葉水を増やし日陰で待つ。葉を数枚切って蒸発を減らす |
| 幹の根元が黒く柔らかい | 過湿による腐り | 回復は困難。ほかの株を守るため処分 |
| 種が半年以上出ない | 温度不足か種の劣化 | 翌夏まで待つか、新しい種を入手 |
ケンチャヤシの挿し木・株分けに使うもの
鉢ものは剪定した枝がそのまま材料になります。水に挿すだけで根が出る種類も多く、道具はほとんど要りません。
- 挿し木用土(鹿沼土・赤玉土小粒)探す言葉「挿し木 用土 鹿沼土 小粒」
- 規格の目安
- 鹿沼土か赤玉土の小粒、単用。肥料分のないもの。
- 数量の目安
- 3 号ポット 1 個で 0.2L。
肥料分があると、根が出る前に切り口が傷みます。清潔で肥料のない土であることが条件です。
- 水挿し用の容器探す言葉「ガラス 花瓶 小さい 水耕」
- 規格の目安
- 口の細いガラス容器。中が見えるもの。
根の出方を目で確かめられます。水は 2〜3 日に一度替え、切り口が濁ったら洗います。
- よく切れるはさみ・カッター探す言葉「園芸ばさみ 切れ味 ステンレス」
- 規格の目安
- 刃渡り 3〜5cm。使う前にアルコールで拭きます。
切り口が潰れると水を吸えません。節の少し下を斜めに一度で切ります。
- 3 号ポット探す言葉「ポリポット 3号 育苗」
- 規格の目安
- 直径 9cm(3 号)。
根が出るまでは小さい容器のほうが乾き具合を見やすく、失敗しても被害が小さくて済みます。
- 水挿しで根が出る種類なら、用土も発根促進剤も要りません。
- 多肉植物は切り口を数日乾かしてから挿します。水に挿すと腐ります。
ケンチャヤシの上手に育てるコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はケンチャヤシの育て方にまとめています。
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