植え替えが必要かを確かめる
ケンチャヤシは根が繊細で、植え替えのたびに一時的に生長が止まります。毎年植え替える必要はなく、二〜三年に一度、根詰まりの合図が出てから行うのが安全です。まず下の項目に当てはまるかを確かめます。一つも当てはまらないなら、今年は表面の土を入れ替えるだけで済ませます。
- 鉢底の穴から根が出ている
- 鉢底の穴から白や茶色の根が伸びていたら、中は根でいっぱいです。鉢を持ち上げて底を見るだけで確かめられます。
- 水がすぐに抜ける、または抜けない
- たっぷり与えてもすぐ底から流れる場合は根が土を押しのけています。逆に何分も染み込まないのは土が固く締まった合図です。
- 土の表面が根で盛り上がっている
- 鉢の縁より土が盛り上がり、根が表面に浮いて見えるなら鉢が小さすぎます。二年以上植え替えていなければほぼ該当します。
- 新しい葉が小さくなった
- 水も光も足りているのに新葉が年々小さくなるときは、根が伸びる余地がありません。二年以上植え替えていなければ植え替えどきです。
適期は五月から七月
植え替えの適期は気温が二十度を超えて安定し、新しい葉が動き出す五月から七月です。この時期なら切れた根がすぐに再生します。九月以降に植え替えると、根が回復する前に低温期に入り、冬の間に傷んだ根から腐りが広がることがあります。真夏の高温期も株が弱るので避けます。
| 時期 | 植え替えの可否 | 理由 |
|---|---|---|
| 3〜4月 | 避ける | まだ根が動いておらず回復が遅い |
| 5〜7月 | 最も適する | 根の再生が速く、失敗が少ない |
| 8月 | できれば避ける | 高温で株が弱り、水管理が難しい |
| 9〜10月 | 緊急時のみ | 根が回復する前に冬に入る |
| 11〜2月 | 行わない | 根が動かず、傷が腐りやすい |
鉢と土の選び方
ケンチャヤシの根は下へ向かって伸びるため、口径よりも深さのある鉢を選びます。大きさは今の鉢より一回り、直径で三センチほど大きいものにとどめます。大きすぎる鉢は土が乾かず、根腐れの原因になります。土は市販の観葉植物用の土に、軽石や赤玉土の小粒を二〜三割混ぜて水はけをよくします。
| 鉢の材質 | 向き不向き | 使うときの注意 |
|---|---|---|
| 素焼きの深鉢 | 最も向く | 乾きが速いので夏の水やりはこまめに |
| プラスチックの深鉢 | 向く | 軽くて扱いやすいが乾きにくい。鉢底石を多めに |
| 陶器の釉薬付き鉢 | 使える | 重くて倒れにくい。水はけの穴の大きさを確かめる |
| 浅い鉢や平鉢 | 不向き | 根が伸びる余地がなく、株が倒れやすい |
背の高い株は鉢が軽いと倒れます。プラスチック鉢を使うなら、鉢底に重めの鉢底石を入れて重心を下げます。
植え替えの手順
ケンチャヤシの根鉢は崩さないのが原則です。根を多く切ると回復に数か月かかり、下葉が枯れ落ちます。古い土を落とすのは表面と底の一〜二センチだけにとどめ、傷んで黒くなった根だけをはさみで取り除きます。
- 前日に水を与えておく
- 土が乾きすぎていると根鉢が崩れます。前日にたっぷり与えて、当日は湿った状態で作業します。
- 鉢から抜く
- 鉢を横に倒し、縁を軽く叩いて隙間を作ってから株元を持って引き抜きます。抜けないときは鉢の内側にへらを差し込みます。
- 傷んだ根だけを切る
- 根鉢の底で渦を巻いた根を軽くほぐし、黒く柔らかい根だけを切ります。白い根は切らずに残します。
- 新しい鉢に据える
- 鉢底石を三センチ入れ、株の高さが元と同じになるように土で調整します。深植えすると幹の根元が腐ります。
- 隙間に土を詰める
- 割り箸で周囲を突きながら土を入れ、根と土の間の空気を抜きます。ウォータースペースを二〜三センチ残します。
- たっぷり水を与える
- 鉢底から流れるまで与え、濁った水が透明になるまで数回繰り返します。その後は明るい日陰で二週間ほど養生します。
植え替え後の管理
植え替え直後は根が水を吸う力が落ちているため、いつもと同じ水やりでは過湿になります。土の表面がしっかり乾いてから与え、肥料は新しい葉が動き出すまで与えません。直射日光と強風を避けた明るい日陰に二週間置き、その後に元の場所へ戻します。この間に下葉が一〜二枚黄色くなるのは普通の反応で、慌てて水や肥料を足す必要はありません。
- 二週間は日陰で養生
- 明るい日陰に置き、葉水を毎日行って葉からの水分の蒸発を抑えます。土への水やりは表面が乾いてからです。
- 一か月後に肥料を再開
- 新しい葉が展開し始めたら、緩効性の置き肥を規定量の半分から始めます。植え替え直後の肥料は根を傷めます。
植え替え後に元気がないときの立て直し
植え替えの後に葉が垂れたり、下葉が次々に黄色くなったりするのは、根を多く傷めたか、鉢が大きすぎて土が乾かないかのどちらかです。まず土の湿りを確かめ、湿ったままなら水を止めて鉢を風通しのよい場所へ移します。乾いているのに垂れるなら根が水を吸えていないので、葉水を増やし、直射日光を避けて根の回復を待ちます。
| 症状 | 考えられる原因 | 戻し方 |
|---|---|---|
| 土が湿ったまま下葉が黄色くなる | 鉢が大きすぎる、過湿 | 水を止めて乾かす。改善しなければ小さい鉢に戻す |
| 土は乾くのに葉が垂れる | 根を切りすぎた | 葉水を増やし、日陰で一か月待つ |
| 幹の根元が柔らかい | 深植えか根腐れ | 抜いて腐った部分を切り、乾いた土に植え直す |
ケンチャヤシの植え替えに使うもの
植え替えは鉢を大きくする作業ではなく、根と土を新しくする作業です。同じ鉢に戻す選択もあります。
数量は直径 24cm(8 号)の鉢 1 個を単位にしています。号数は直径 cm を 3 で割った数です。
- 鉢(ひと回り大きいもの)探す言葉「植木鉢 8号 スリット」
- 規格の目安
- 直径で 3cm(1 号)だけ大きいもの。スリット鉢は根が鉢底で回りません。
急に大きくすると、根の届かない土が湿ったまま残り、根腐れの原因になります。1 号ずつが原則です。
- 培養土探す言葉「観葉植物 培養土 水はけ」
- 規格の目安
- 観葉植物用、または多肉・サボテン用。水はけ重視の配合。
- 数量の目安
- 8 号鉢 1 個で約 8L、6 号鉢で約 3L、10 号鉢で約 15L。
古い土は粒が潰れて水はけが落ちています。土を替えることが植え替えの目的の半分です。
- 鉢底石探す言葉「鉢底石 ネット入り」
- 規格の目安
- 軽石。ネット入りなら次の植え替えでそのまま取り出せます。
鉢底の穴が土でふさがらないようにするためです。ネット入りは繰り返し使えます。
- 根切りばさみ・割り箸探す言葉「根切りばさみ 園芸」
- 規格の目安
- 刃の厚いはさみ。根鉢をほぐすのは割り箸や竹串で足ります。
固まった根鉢は、外側を切ってほぐさないと新しい根が出ません。土をかむので、普通のはさみは傷みます。
- 同じ鉢に戻すなら、新しい鉢は要りません。根を整理して土を替えるだけで十分です。
- 鉢底ネットは、スリット鉢なら要りません。
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