苗を買う前に場所を決める
ライラックは北海道や東北ではよく見る花木ですが、関東平野部では夏の蒸し暑さと西日で弱りやすく、植える場所を間違えると数年で枯れ込みます。午前中に日が当たり、午後は建物や落葉樹の影になる東向きの場所が理想です。一日中日が当たる南向きの壁際や、コンクリートの照り返しが強い場所は避けます。
土は水はけが良く、少し乾き気味の場所を好みます。雨のあとに水たまりが残る低地や、粘土質で固く締まる土は根腐れの原因になるので、盛り土にするか植え場所を変えます。庭に条件の合う場所がなければ、鉢植えにして夏だけ移動させる方が確実です。
| 場所のタイプ | 向き不向き | 理由 |
|---|---|---|
| 東向き、午後は日陰 | 最適 | 朝日で花芽が付き、夕方の暑さを避けられる |
| 南向きの開けた庭 | 可、夏に注意 | 西日と地温の上昇で葉焼けしやすい |
| 西向きの壁際 | 不向き | 西日と照り返しで葉が焼け、株が弱る |
| 北向き、日陰 | 不向き | 花芽が付かず、枝が間延びする |
| 鉢植えで移動 | 可 | 夏は半日陰へ動かせるので関東では有利 |
落葉樹の東側に植えると、夏は葉陰で守られ、冬は葉が落ちて日が当たる理想の環境になります。
苗の選び方と台木の見分け
園芸店で売られるライラックの多くは、イボタノキという別の木を台木にした接ぎ木苗です。イボタノキは暑さに強い一方で、根元からひこばえ(根元や地中から出る勢いの強い芽)を盛んに出し、放っておくと台木に養分を取られてライラック本体が枯れることがあります。苗を選ぶときは接ぎ口の位置を確かめ、接ぎ口より下から芽が出ていないものを選びます。
挿し木苗や実生苗は自分の根で育つので台木の問題はありませんが、暑さにやや弱く成長もゆっくりです。関東で育てるなら、接ぎ木苗を買って接ぎ口を深めに埋めるか、自根苗を鉢で慎重に育てるかのどちらかになります。
- 接ぎ口を確かめる
- 幹の根元近くに、太さが急に変わる段差やこぶがあれば接ぎ口です。その下から出ている芽は台木のもので、買う前に付いていないものを選びます。
- 枝先の芽を見る
- 秋から冬に買うなら、枝先に丸くふくらんだ芽が付いているものは翌春に咲きます。先が細く尖った芽ばかりの苗は葉芽で、花は翌々年になります。
- 根鉢の状態を触って確かめる
- 鉢から少し抜いて根を見て、白い根が回っていれば健全です。黒く湿ってにおうものは根腐れが始まっているので避けます。
- 品種は早咲きを優先
- 関東では梅雨前に咲き終わる早咲きの品種が育てやすく、遅咲きは開花と高温が重なって花持ちが悪くなります。
植え付けの時期と手順
植え付けの適期は葉を落として休眠している十一月から三月上旬です。関東なら十一月〜十二月に植えると、冬の間に根が土になじんで春の芽出しが順調になります。三月以降に芽が動いてから植えると、根が水を吸えないまま葉が開いて、その年の夏に弱ります。真夏の植え付けは避けます。
植え穴は根鉢の二倍の幅と深さに掘り、掘り上げた土に腐葉土を三割ほど混ぜて戻します。ライラックは弱アルカリ性の土を好むので、苦土石灰をひとつかみ混ぜておくと、日本の酸性に傾いた土でも育ちやすくなります。
- 植え穴を広く深く掘る
- 直径と深さがそれぞれ五十〜六十センチの穴を掘ります。底に腐葉土と苦土石灰を混ぜた土を戻し、水はけの悪い土なら底に軽石を五センチほど敷きます。
- 接ぎ口を五センチ埋める
- 接ぎ木苗は、接ぎ口が地表から五センチほど下になる深さに植えます。接ぎ口の上のライラック本体から根が出て、将来台木に頼らずに育つようになります。
- 根鉢は崩さずに置く
- ポット苗は根鉢を崩さず、根が固く回っているときだけ底を軽くほぐします。穴の中央に置いて、幹がまっすぐ立つように土を戻します。
- 水ぎめして支柱を添える
- 土を半分戻したところでたっぷり水を注ぎ、泥水で根と土をなじませてから残りの土を戻します。細い苗は支柱を一本添えて風で揺れないようにします。
植え付け直後の一年は乾いたら水を与えますが、常に湿った状態にすると根が張らず、翌夏に枯れやすくなります。
鉢植えで育てるときの容器と土
関東でいちばん確実なのは鉢植えです。夏だけ半日陰に移動でき、水はけも自分で管理できるからです。八号から十号の深めの鉢に、赤玉土の中粒六割、腐葉土三割、軽石一割の配合で植えます。市販の花木用培養土でもかまいませんが、水持ちの良すぎる土は避けます。
鉢植えは二〜三年に一度、二月ごろに一回り大きな鉢に植え替えます。根詰まりすると花芽が付きにくくなり、夏の水切れも早まります。植え替えのときは古い土を三分の一ほど落とし、黒く傷んだ根を切り戻します。
| 鉢の大きさ | 苗の目安 | 植え替えの頻度 |
|---|---|---|
| 八号(直径二十四センチ) | 高さ五十センチまでの若い苗 | 二年に一度 |
| 十号(直径三十センチ) | 高さ一メートル前後 | 二〜三年に一度 |
| 十二号以上 | 高さ一・五メートル以上 | 三年に一度、土の入れ替えのみでも可 |
植え付け後に根付いたか確かめる
植え付けから半年ほどたった初夏に、新しい枝が二十センチ以上伸びて葉の色が濃ければ根付いています。葉が小さく黄色っぽく、枝がほとんど伸びないときは、根が動いていないか、水のやりすぎで根が傷んでいるかのどちらかです。株元の土を指で掘って、湿りすぎていないか確かめます。
一年目は花が咲かなくても心配ありません。ライラックは根が落ち着いてから花芽を付けるため、植え付けから二〜三年目に本格的に咲き始めます。一年目につぼみが付いていても、株を育てるためにいくつか摘み取る方が翌年以降の花付きが良くなります。
- 新梢の長さを測る
- 初夏に新しい枝の伸びを見て、二十センチを超えていれば順調です。十センチに満たないなら水と日当たりを見直します。
- 株元の湿り気を触って確かめる
- 表土から五センチ下を指で触り、常に湿っているなら水を減らします。乾いてさらさらなら朝にたっぷり与えます。
植え付けで失敗するときの原因
植えて一年以内に枯れる原因のほとんどは、夏の暑さと過湿の組み合わせです。西日の当たる場所に植え、しかも毎日水をやると、地温が上がって根が蒸れ、八月に急にしおれて枯れます。次に多いのが台木のひこばえに気付かず、いつのまにか本体が負けて枯れる失敗です。どちらも植え付けの時点で防げます。
| 症状 | 原因 | 立て直し方 |
|---|---|---|
| 八月に急にしおれる | 西日と過湿で根が蒸れた | 遮光し、水を朝だけに減らす。鉢なら半日陰へ |
| 春に芽が動かない | 冬の植え付けで根が乾いた | 枝を削って緑なら生きている。水を続けて六月まで待つ |
| 根元から勢いの良い枝だけ伸びる | 台木のひこばえ | 地際で切り取り、接ぎ口を土で覆う |
| 葉が小さく黄色い | 土の酸性が強い、根詰まり | 苦土石灰をまく。鉢なら植え替え |
| 数年たっても咲かない | 日陰、窒素過多、強い剪定 | 場所か肥料を見直し、剪定を控える |
ライラックの植え付けに使うもの
苗も球根も、植えたあとに動かすと根が傷みます。植える日にそろえておくものだけを挙げます。
- 草花用の培養土探す言葉「草花 培養土 元肥入り」
- 規格の目安
- 元肥入り、水はけ重視の配合。14〜25L の袋。
- 数量の目安
- 8 号鉢 1 個で約 8L、65cm プランターで 12〜15L、花壇なら 1 ㎡ あたり 20〜30L。
花壇でも、土が固いところは掘り上げて培養土を混ぜたほうが根が張ります。
- 腐葉土探す言葉「腐葉土 園芸」
- 規格の目安
- 葉の形が残っている完熟のもの。40L 前後の袋。
- 数量の目安
- 花壇 1 ㎡ あたり 5〜10L を掘り上げた土に混ぜます。
土をふかふかにして、水もちと水はけを同時に良くします。花壇の土づくりの基本です。
- 緩効性肥料(元肥)探す言葉「緩効性肥料 元肥 マグァンプ」
- 規格の目安
- 粒状で 1 年ほど効くタイプ。植え穴の底に入れて使います。
- 数量の目安
- 8 号鉢 1 個に 5〜10g、花壇 1 ㎡ あたり 50g 前後。
根に直接触れないよう、土を一枚かぶせてから植えます。触れると濃さで傷みます。量は袋の表示に従ってください。
出典: 農林水産省「都道府県施肥基準等」
- 移植ごて探す言葉「移植ごて ステンレス 目盛り」
- 規格の目安
- 幅 6〜8cm。目盛り付きなら球根の深さを測れます。
球根は「球の高さの 2〜3 倍の深さ」に植えるのが基本で、目分量だと浅くなりがちです。
- 球根植え器は、球根をまとめて植えるようになってからで十分です。移植ごてで足ります。
- 鉢を毎回買い替えなくても、古い鉢を洗って日に当てれば使えます。
ライラックの長く咲かせるコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はライラックの育て方にまとめています。
iPhone 対応(Android 版は準備中)。無料で使えます。
この記事は広告を含みます。