切っていい時期と切ってはいけない時期
ライラックは花が終わった直後の六月から七月に、翌年咲く花芽を枝先に作ります。そのため剪定は花後すぐ、遅くとも六月中に済ませるのが原則です。秋や冬に枝先を切ると、せっかく付いた花芽を落として翌春に花が咲かなくなります。冬にできるのは枯れ枝や根元のひこばえを取る程度です。
剪定の量も控えめにします。ライラックはもともと自然な樹形で咲く花木で、強く刈り込むほど花が減ります。混み合った枝と内側に向かう枝を抜く程度にとどめ、樹の高さを詰めたいときは数年かけて少しずつ下げます。
| 時期 | できる剪定 | 注意 |
|---|---|---|
| 5月下旬〜6月中旬(花後) | 花がら切り、混み枝の間引き、高さの調整 | 本剪定はここだけ。七月に入る前に済ませる |
| 7月〜9月 | 枯れ枝、ひこばえの除去のみ | 枝先を切ると花芽が落ちる |
| 10月〜11月 | ひこばえ、病気の枝の除去 | 枝先には触らない |
| 12月〜2月 | 枯れ枝、絡み枝の整理 | 花芽の付いた枝先は残す |
枝先の丸くふくらんだ芽が花芽、細く尖った芽が葉芽です。秋に見分けておくと冬に誤って花芽を切らずに済みます。
花後の花がら切り
花が色あせて茶色くなってきたら、花房のすぐ下で切り取ります。放っておくと種を作るのに養分を使い、翌年の花芽が減ります。切る位置は花房の付け根で、そのすぐ下に出ている二枚の葉の付け根の芽を残します。この芽が伸びて翌年の花を付ける枝になります。
花房の下の芽まで切ってしまうと翌年の花が減るので、はさみを入れる前に芽の位置を確かめてから切ります。高い枝の花がらは無理に取らなくてもかまいません。手が届く範囲だけで十分効果があります。
- 花房の付け根を探す
- 茶色くなった花房をたどって、二枚の葉が向かい合って出ている節を見つけます。その節のすぐ上が切る位置です。
- 葉の付け根の芽を残して切る
- 節の上一センチほどで切ります。節の下まで切ると芽を失い、翌年その枝には花が付きません。
- 六月中旬までに終える
- 花後二週間以内が理想です。遅れるほど新しい枝の伸びが遅れ、夏の花芽作りに間に合わなくなります。
混み枝の間引きと高さの調整
花がら切りと同時に、株の内側に向かって伸びる枝、交差して擦れる枝、細くて弱い枝を付け根から抜きます。枝を透かすと風が通り、関東の蒸し暑い夏に病気が出にくくなります。目安は、幹を見上げたときに空が見える程度です。
高くなりすぎた木を低くしたいときは、一年に全体の三分の一までを目安に、太い枝を分岐点まで切り戻します。一度に半分以下まで切ると、翌年は花がほとんど咲かず、切り口から徒長(勢いだけ強く伸びて花の付かないこと)した枝が何本も出て樹形が乱れます。
- 内向きの枝を付け根で切る
- 幹の方へ向いて伸びる枝と、ほかの枝と交差する枝を、分かれ目のところで切ります。途中で切ると、そこから細い枝が何本も出て混みます。
- 古い太枝は分岐点で切り戻す
- 高さを詰めるときは、若い枝が出ている分岐点まで戻して切ります。その若い枝が新しい主枝になります。
- 太い切り口には癒合剤を塗る
- 直径二センチを超える切り口は乾いて枯れ込みやすいので、市販の癒合剤か木工用の接着剤を薄く塗って保護します。
台木のひこばえは見つけ次第切る
接ぎ木苗のライラックは、根元や幹の接ぎ口より下から、台木のイボタノキの芽が出ます。イボタノキの枝はライラックより細く、葉が小さくてつやがあり、伸びる勢いが非常に強いのが特徴です。放っておくと一年で一メートル以上伸び、養分を奪って本体を弱らせます。季節を問わず、見つけたらすぐに地際で切り取ります。
切るときは根元の土を少し掘り、できるだけ付け根に近いところで切ります。地上部だけ切っても同じところから何度も出るので、付け根から手でかき取るとより効果があります。接ぎ口を五センチほど土で覆っておくと発生が減ります。
| 見た目 | ライラック本体 | 台木(イボタノキ) |
|---|---|---|
| 葉の大きさと形 | ハート形で大きい | 小さく細長い楕円 |
| 葉のつや | つや消しで厚みがある | つやがあって薄い |
| 枝の出る位置 | 接ぎ口より上の幹 | 根元や地中、接ぎ口より下 |
| 伸びる勢い | 年に二十〜四十センチ | 年に一メートル以上 |
ライラックの花が急に減り、細い枝ばかり茂ってきたら、台木に乗っ取られている疑いがあります。根元を確かめます。
若木の仕立て方
植え付けから三年ほどの若木は、剪定より樹形の骨組み作りを優先します。主幹を一本にするか、株立ちにするかを最初に決めます。関東の狭い庭なら主幹一本で高さ二メートルほどにまとめると管理しやすく、広い庭なら三〜四本の株立ちにして自然な姿を楽しめます。
若木のうちは、決めた骨組みの枝以外は付け根で切り、残す枝は切らずに伸ばします。枝先を切らないことで早く花芽が付きます。つぼみが付いたら、株を育てるために半分ほど摘んでおくと、三年目以降の花数が増えます。
- 一年目、骨組みの枝を選ぶ
- 主幹一本仕立てなら、まっすぐな幹を一本残して根元の枝を切ります。株立ちなら、勢いのそろった三〜四本を残します。
- 二〜三年目、枝先は切らない
- 残した枝は伸ばし放題にして、花芽が付くのを待ちます。混み枝だけを付け根から抜きます。
- つぼみは半分摘む
- 若木に付いたつぼみは半分ほど摘み取り、残りは咲かせて楽しみます。株の充実を優先すると翌年以降の花が増えます。
剪定で失敗したときの立て直し
冬に枝先を切ってしまって春に花が咲かなかったときは、その年の六月まで何もせず、新しく伸びた枝を大事にします。夏にその枝先に花芽が付けば翌年は咲きます。強く刈り込んで徒長枝だらけになった場合は、翌年の花後に勢いの弱い枝を残して強い枝を間引き、二〜三年かけて樹形を整えます。
| 状態 | 原因 | 戻し方 |
|---|---|---|
| 春に花が咲かない | 秋冬に枝先を切った | 六月まで放置し、新梢に花芽を付けさせる |
| 長い枝が何本も立ち上がる | 強く刈り込んだ | 翌年の花後に間引き、数年かけて整える |
| 切り口から枯れ込む | 太枝を保護せず切った | 枯れた部分を健全なところまで切り、癒合剤を塗る |
| 細い枝ばかりで花が減る | 台木のひこばえに負けた | ひこばえを全て地際で切り、接ぎ口を土で覆う |
ライラックの剪定・切り戻しに使うもの
切り戻しは株を若返らせる作業です。切る位置と、切り口を乾かすことに関わるものだけで足ります。
- 剪定ばさみ探す言葉「剪定ばさみ 園芸 ステンレス」
- 規格の目安
- 刃渡り 5cm 前後。バイパス式(刃が交差するもの)は切り口がきれいです。
アンビル式(刃が台に当たるもの)は茎を潰します。生きた枝を切るならバイパス式を選びます。
- 消毒用アルコール探す言葉「消毒用アルコール スプレー」
- 規格の目安
- 濃度 70〜80%。スプレー式。
株を変えるたびに刃を拭きます。病気の株から健全な株へ、はさみが運んでしまうのを防げます。
- 園芸用手袋探す言葉「園芸手袋 背抜き」
- 規格の目安
- 手のひらにゴムを張った背抜きタイプ。細かい作業ができる薄手のもの。
茎の汁でかぶれる植物があります。厚い革手袋だと、切る位置を指で確かめられません。
- 柔らかい茎の草花は、指で摘めばはさみは要りません。
- 癒合剤は木の太い枝を切るときのもので、草花には要りません。
ライラックの長く咲かせるコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はライラックの育て方にまとめています。
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