症状から原因を切り分ける
サクラの不調は、枝の形の異常ならテングス病、幹の木くずや樹液ならコスカシバかテッポウムシ、葉の食害なら毛虫、葉の斑点なら病気と、場所でおおよそ分かれます。まず枝、幹、葉のどこに変化があるかを見て、下の表で当たりを付けます。急ぐのは幹に入る虫と、木全体に広がるテングス病です。
| 症状 | 考えられる原因 | 急ぎ度 |
|---|---|---|
| 枝の一部が細かく密生しほうき状 | テングス病 | 冬に必ず切り取る |
| 幹に木くず混じりの樹液のにじみ | コスカシバの幼虫 | 最優先、放置すると幹が枯れる |
| 根元に穴と木くず | テッポウムシ (カミキリムシの幼虫) | 最優先 |
| 葉が白い糸で覆われ集団で食われる | アメリカシロヒトリ | 六月と八月に枝ごと切る |
| 葉に小さな穴が多数、早く落葉 | せん孔褐斑病 | 落ち葉を処分 |
| 枝に貝殻状の塊、葉が黒ずむ | カイガラムシとすす病 | 冬にマシン油 |
| 新芽が縮れ、葉裏に虫 | アブラムシ | 早めに流す |
| 幹が黒くへこみ樹皮がはがれる | 胴枯れ病、腐朽 | 患部を削り癒合剤 |
テングス病
枝の一部から細い枝が無数に出て、ほうきや鳥の巣のように密生する病気です。かびの一種が原因で、感染した枝には花が咲かず、放置すると木全体に広がって数年で弱ります。ソメイヨシノが特にかかりやすく、街のサクラにもよく見られます。治療薬はなく、感染した枝を切り取って処分するのが唯一の対策です。
- 冬に見つけて切る
- 落葉するとほうき状の枝が目立ちます。密生部の付け根から二十センチ以上下で切り、切り口に癒合剤を塗ります。切った枝は袋に入れて処分します。
- 道具を消毒する
- 切った後のはさみやのこぎりは、アルコールか熱湯で消毒してから他の枝に使います。道具で菌が移ります。
- 春に葉の出方で確かめる
- 感染枝は他より早く葉が出て、花が咲きません。春に葉だけ早く出る部分があれば、翌冬に切る目印を付けておきます。
コスカシバとテッポウムシ
コスカシバは蜂に似た蛾で、夏から秋に幹の傷や割れ目に産卵し、幼虫が樹皮の下を食い進みます。幹に木くずの混じった樹液のにじみが出ていたら幼虫がいます。テッポウムシは根元に穴を開けて幹の中を食い、木くずを出します。どちらも放置すると幹が枯れるので、見つけ次第、幼虫を取り出します。
- 樹液のにじみを削る
- 木くずが混じった樹液の周りの樹皮を小刀で薄く削り、中にいる幼虫を取り出します。削った傷には癒合剤を塗ります。
- 穴には針金か薬剤
- 根元の穴に細い針金を差し込んで幼虫を刺殺します。届かないなら幼虫用の殺虫剤を穴に注入し、粘土で塞ぎます。
- 幹の傷を作らない
- コスカシバは傷から産卵します。草刈り機で幹を傷めない、剪定の切り口に癒合剤を塗る、の二つで産卵場所を減らせます。
九月から十月に幹に殺虫剤を塗布すると、ふ化したばかりの幼虫を防げます。庭木用の製品を規定通りに使います。
アメリカシロヒトリと毛虫類
アメリカシロヒトリは六月と八月の二回発生し、若い幼虫は枝先の葉を白い糸で覆って集団で食べます。糸の巣が小さいうちに枝ごと切れば簡単に退治できますが、分散した後は木全体に広がって葉を食い尽くします。モンクロシャチホコやイラガなどの毛虫も付くので、五月から九月は週に一度、葉の食害を見ます。
- 糸の巣を枝ごと切る
- 白い糸で覆われた葉を見つけたら、幼虫が分散する前に枝ごと切り取り、袋に入れて踏み潰して処分します。
- 分散後は殺虫剤
- 幼虫が木全体に散ったら、庭木用の殺虫剤を葉の表と裏に散布します。幼虫が小さいほど効きます。
- 毒毛に注意
- イラガは触ると強く痛みます。素手で触らず、割り箸や火ばさみで取ります。作業は長袖で行います。
せん孔褐斑病とその他の病気
梅雨ごろに葉に褐色の小さな斑点が出て、やがて斑点が抜けて穴が開き、夏に早々と落葉するのがせん孔褐斑病です。落ち葉に菌が残って翌年の感染源になります。幹が黒くへこんで樹皮がはがれる胴枯れ病は、切り口や傷から入ります。どちらも落ち葉の処分と、傷を作らないことが予防の中心です。
- 落ち葉は必ず処分
- 病気の葉を根元に残さず、袋に入れて可燃ごみとして処分します。堆肥にすると菌が残り、翌年また同じ病気が出ます。
- 毎年出るなら殺菌剤
- 落葉後と葉が開いた直後に、庭木用の殺菌剤を散布します。同じ薬を続けず、種類を替えます。
- 胴枯れは患部を削る
- 幹の黒いへこみは、健全な部分まで小刀で削り取り、癒合剤を塗ります。広がっているなら枝ごと切り落とします。
病気ではない障害
虫も病気も見つからないのに弱る場合は、根の環境が原因のことが多いです。深植え、根元の踏み固め、水はけの悪さ、舗装による根の圧迫、移植による根の傷みなどです。サクラは根の傷みからの回復が特に遅いので、根元を守ることが最大の予防になります。
| 状態 | 考えられる原因 | 手当て |
|---|---|---|
| 根元の樹皮が黒く腐る | 深植え、根元への盛り土 | 根元の土を取り、接ぎ木の段差を出す |
| 根元がいつも踏まれている | 土が固く根が呼吸できない | 囲いを作り、根元を耕さず覆う |
| 土が湿ったまま葉が黄ばむ | 根腐れ、水はけ不良 | 周囲を高くし、排水を作る |
| 舗装の横で年々弱る | 根の圧迫、水と空気の不足 | 舗装を剥がして根元を土に戻す |
| 幹に縦の割れ | 冬の凍裂、夏の日焼け | 割れに癒合剤、幹に麻布を巻く |
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