時期と作業を分ける
サクラの剪定は、葉が落ちて花芽が見える十一月下旬から一月に行います。この時期は樹液の動きが止まっていて、切り口が腐りにくい唯一の時期です。春から秋に太い枝を切ると、切り口から菌が入って幹の空洞や胴枯れの原因になります。花後の作業は、細い枝の軽い切り戻しと花がら摘みに留めます。
| 時期 | 作業 | 目安 |
|---|---|---|
| 11月下旬〜1月 | 不要枝を付け根から抜く、太枝の整理 | 花芽を確かめながら |
| 4月 (花後) | 細い枝の軽い切り戻し、ひこばえ取り | 葉が開く前に |
| 5月〜6月 | 徒長枝の摘み取り、台木の芽取り | 柔らかいうちに指で |
| 7月〜10月 | 剪定しない | 花芽ができる時期、切り口が腐りやすい |
花芽と葉芽を見分ける
サクラの花芽は、短い枝の先や枝の途中に付く丸くふくらんだ芽で、葉芽は細く先がとがっています。花芽は夏に作られ、秋には見分けられます。冬の剪定では花芽の多い短い枝を残し、花芽の少ない長く伸びた枝や、内向きの枝を抜きます。花芽のある枝を切ると、その年の花がなくなります。
- 丸い芽が花芽
- 枝を近くで見て、丸くふっくらした芽が花芽、細くとがった芽が葉芽です。短い枝ほど花芽が多く付きます。
- 長い枝は花芽が少ない
- 一年で五十センチ以上伸びた枝は葉芽ばかりで、翌年も伸び続けます。花を増やすなら、こうした枝を冬に抜くか短く切ります。
- 迷ったら春まで待つ
- 花芽か分からない枝は、花が咲いてから判断します。花後に細い枝を切っても、切り口が小さければ問題ありません。
切る枝の選び方
切るのは、内側に向かう枝、真上に勢いよく伸びる徒長枝、交差してこすれる枝、枯れ枝、根元から出るひこばえ、接ぎ木の段差より下から出る台木の枝です。これらを付け根から抜くと、樹形が整い風通しがよくなります。健全な太い枝を途中で詰めると、切り口の下から徒長(勢いよく伸びすぎること)した枝が何本も出て姿が乱れます。
- 付け根の膨らみを残して切る
- 枝の付け根には襟のような膨らみがあります。膨らみを残してそのすぐ外で切ると、切り口が早く塞がります。膨らみごと切ると治りません。
- 太い枝は三段階で
- 直径三センチを超える枝は、付け根から二十センチ外で下から三分の一切り込み、次に上から切り落とし、最後に付け根で切り直します。樹皮の裂けを防げます。
- 切り口には必ず癒合剤
- 直径一センチを超える切り口は、その場で癒合剤を塗ります。サクラは切り口から腐りやすく、塗らないと数年後に幹が空洞になります。
- 一度に切るのは二割まで
- 一年に切る量は全体の二割までに留めます。それ以上抜くと徒長枝が乱立し、木が弱って病気が入りやすくなります。
はさみやのこぎりは、使う前にアルコールや熱湯で消毒します。テングス病や胴枯れ病は道具で他の枝に移ります。
高さを抑えたいとき
大きくなりすぎた木は、一度に低くせず、三〜五年かけて上部の枝を少しずつ減らします。主幹を途中で切ると、切り口が腐って幹が空洞になり、そこから太い徒長枝が何本も出ます。高さを抑えるなら、上部の太い枝を付け根から一〜二本ずつ抜き、低い位置の枝に勢いを移します。
- 一年に上部の枝を一〜二本
- 落葉期に、上部の太い枝を付け根から抜きます。全体の二割を超えないようにし、翌年また一〜二本と続けます。
- 低い枝を新しい上部にする
- 残したい高さにある枝を新しい上部にします。この枝に日が当たるように上の枝を減らし、勢いを移します。
- 徒長枝は夏に摘む
- 切った後に出る真上への枝は、五月から六月に長さ十センチ以内のうちに指で折り取ります。固くなってからでは切り口が残ります。
枝垂れ品種の剪定
シダレザクラは枝が垂れるので、内側で交差する枝と、地面に付く枝を冬に付け根から抜きます。台木から出る立ち性の枝は本体を追い越すので、見つけ次第切ります。若木で高さを出したいなら、支柱に幹を誘引して目標の高さまで立ててから枝を垂らします。
- 地面に付く枝を切る
- 枝先が地面に触れると病気が入り、風通しも悪くなります。地面から三十センチ以上で切り戻すか、付け根から抜きます。
- 立ち枝は付け根で
- 枝垂れの中から真上に伸びる枝は、台木由来か徒長枝です。冬に付け根から切り、癒合剤を塗ります。
切りすぎて弱ったときの立て直し
強く切った翌年に花が咲かない、徒長枝が乱立する、切り口が黒く腐ってきたといった不調は、剪定が強すぎたか時期を誤ったことが原因です。回復には二〜三年かかります。徒長枝を減らし、残った枝を自然に伸ばして花芽が付くのを待ちます。腐った切り口は削り直して癒合剤を塗ります。
| 状態 | 原因 | 戻し方 |
|---|---|---|
| 花が咲かない | 冬に花芽の多い短枝を切った | 翌年は花芽を確かめ、短枝を残す |
| 徒長枝が乱立する | 強く切りすぎた、太枝を途中で詰めた | 細いものを夏に摘み、太いものは冬に一〜二本ずつ抜く |
| 切り口が黒く腐る | 癒合剤を塗らなかった、夏に切った | 腐った部分を削り、癒合剤を塗り直す |
| 切り口の周りにきのこが出た | 内部が腐朽している | 腐朽部を削り、木が弱るなら伐採も検討 |
サクラの剪定に使うもの
剪定でいちばん多い失敗は、切れない道具で無理に切ることです。切り口が潰れると、そこから枯れ込みます。
- 剪定ばさみ探す言葉「剪定ばさみ バイパス 果樹」
- 規格の目安
- 刃渡り 5〜6cm、直径 2cm まで。バイパス式。手の大きさに合ったものを。
生きた枝を切るならバイパス式です。アンビル式は枝を潰すので、切り口がふさがるまでに時間がかかります。
- 剪定のこぎり探す言葉「剪定のこぎり 折込 24cm 生木」
- 規格の目安
- 刃渡り 24cm 前後、生木用の粗い刃。折込式は持ち運べます。
直径 2cm を超えたらのこぎりに切り替えます。太い枝は下側に受け口を入れてから切ると、樹皮が裂けません。
- 癒合剤探す言葉「癒合剤 トップジン 剪定」
- 規格の目安
- ペースト状で刷毛の付いたもの。
直径 3cm を超える切り口に塗ります。乾燥と雨から切り口を守るためで、小さい切り口には要りません。
- 消毒用アルコール探す言葉「消毒用アルコール スプレー」
- 規格の目安
- 濃度 70〜80%。スプレー式。
木を変えるたびに刃を拭きます。切り口から入る病気は、道具が運ぶことが少なくありません。
- 直径 3cm 以下の切り口には癒合剤は要りません。塗りすぎると内側が乾かないこともあります。
- 電動の剪定ばさみは、木が何本もあるようになってからで十分です。
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