目的に合わせて品種を選ぶ
山椒は雄の木と雌の木が別々で、実がなるのは雌の木だけです。ただし朝倉山椒は一本でも実がなり、とげも少ないので家庭では最も扱いやすい品種です。木の芽や葉を使うだけなら雌雄はどちらでも構いません。
苗には種から育てた実生苗と、丈夫な台木に接いだ接ぎ木苗があります。山椒は根が弱く暑さと乾燥で急に枯れることがあるので、少し高くても接ぎ木苗を選ぶと失敗が減ります。下の表で目的に合う行を選んでください。
| 目的 | 選ぶ品種と苗 | 気をつける点 |
|---|---|---|
| 木の芽を料理に使いたい | どの品種でもよい。接ぎ木苗 | 一本で足りる。半日陰で育てる |
| 実山椒を採って佃煮や粉にしたい | 朝倉山椒の接ぎ木苗 | 一本で実がなる。とげが少ない |
| 花山椒を楽しみたい | 雄の木か朝倉山椒 | 花は四月に短期間だけ |
| 在来種で実を採りたい | 雌の木と雄の木を一本ずつ | 雌雄の表示がある苗を選ぶ。とげが多い |
山椒は葉を食べる木で、ぶどう山椒など実の大きい品種もあります。苗のラベルに品種名と雌雄が書かれていない株は避けます。
良い苗の見分け方
苗は二〜三月と十〜十一月に出回ります。山椒は根が細く傷みやすいので、根の状態が見えるポット苗が安心です。幹がまっすぐで根元がしっかりしており、接ぎ木苗なら接ぎ口が固まっている株を選びます。
- 接ぎ口を触って確かめる
- 接ぎ木苗は根元近くに接ぎ口のふくらみがあります。テープが外れて接ぎ口が固まっている株を選びます。ぐらつく苗は活着が不十分です。
- 枝と芽の状態を見る
- 枝が細く節が間延びしている株は光不足です。芽が大きくふくらみ、枝の先まで張りのある株を選びます。
- 根鉢の乾きを見る
- 店先でポットの土がからからに乾いている苗は、細い根が傷んでいる可能性があります。土が適度に湿っている株を選びます。
植え場所は半日陰で乾かない場所
山椒は山の木陰に生える木で、真夏の直射日光と乾燥に弱い性質です。午前中だけ日が当たり、午後は日陰になる場所が最も向きます。水はけが良く、それでいて乾き切らない、落葉樹の足元のような場所を選びます。
根が浅く横に広がるので、他の木の根と競合する場所や、踏み固められた場所は避けます。一度植えたら動かせない木なので、場所選びに時間をかけるだけの価値があります。
| 場面 | 向き不向き | 工夫 |
|---|---|---|
| 建物の東側で午後は日陰 | 最も向く | そのまま植える |
| 一日中日が当たる南側 | 夏に葉が焼けて弱る | 西側に日よけを立てるか鉢植えで移動 |
| 一日中日陰の北側 | 育つが実付きが悪い | 木の芽用なら問題ない |
| ベランダの鉢植え | 可能。夏の管理が要 | 八号以上の深い鉢。夏は日陰へ移す |
植え付けの手順
植え付けの適期は芽が動く前の二〜三月と、葉が落ちたあとの十〜十一月です。根鉢は崩さず、細い根を切らないように扱います。土は腐葉土を多めに混ぜ、水はけと保水を両立させます。
- 根鉢の二倍の穴を掘る
- 根鉢の二倍の幅と深さの穴を掘り、掘り上げた土に腐葉土を三〜四割混ぜて戻します。粘土質なら軽石か川砂も一割加えます。
- 根鉢を崩さず浅めに植える
- ポットから抜いた根鉢はほぐさず、根鉢の表面が地面よりやや高くなるように置きます。深植えは根腐れの原因です。
- 支柱を立てて株元を覆う
- 支柱を一本立ててひもで八の字に結び、株元にわらか腐葉土を敷きます。根が浅いので乾燥と地温の変化から守ります。
- たっぷり水を与える
- 植え穴に水がたまるまで与え、その後は土の表面が乾いたら与えます。根付くまで二か月ほどかかるので、その間は乾かしません。
鉢植えは八号以上の深鉢に、赤玉土六に腐葉土四の配合で植えます。市販の培養土なら腐葉土を二割足します。
根付いたあとの一年目
春に植えた苗は四月に芽が動き、五月から枝が伸び始めます。一年目は木を作る年と考え、木の芽の収穫は数枚にとどめます。夏の乾燥が最大の山場で、株元を覆って水切れを防ぎます。
- 芽の動きで根付きを判断する
- 四月に芽がふくらみ、明るい緑の葉が開いたら根付いています。五月になっても動かないなら、枝を少し折って中が緑か確かめます。
- 夏は株元を厚く覆う
- 六月までに株元にわらか腐葉土を五センチ以上敷きます。真夏に一週間雨がなければ朝にたっぷり与えます。
- 一年目の収穫は控える
- 木の芽を採るなら枝先から数枚だけにします。葉を採りすぎると光合成が減り、夏の暑さに耐える力が落ちます。
植え付けで失敗したときの見分け方
山椒は植え付け後に急に枯れることがあり、原因は根の傷みか乾燥がほとんどです。葉の状態と土の湿り具合を見て原因を切り分けます。
| 症状 | 考えられる原因 | 手当て |
|---|---|---|
| 葉が縮れて茶色くなり落ちる | 夏の乾燥と直射日光 | 日よけをして株元を覆い、朝に水を与える |
| 葉が黄色くなって次々落ちる | 根腐れか深植え | 水を控え、株元の土を少し取り除く |
| 芽が動かないまま枝が枯れる | 植え付け時に根を傷めた | 枝を折って緑の部分まで切り戻し、株元から出る芽を待つ |
| 葉が穴だらけになる | アゲハチョウの幼虫 | 幼虫を見つけて取り除く。小さい苗ほど早く |
一度枯れた山椒を同じ場所に植え直すと、また枯れることが多いものです。場所を変えるか、土を入れ替えて植えます。
山椒の苗づくりに使うもの
本葉が出てからポットに移し、根が回ってから花壇や鉢へ。この 2 段階に必要なものです。
- ポリポット(9cm)探す言葉「ポリポット 9cm 園芸」
- 規格の目安
- 直径 9cm が標準。生育の早いものは 10.5cm。
セルトレイのまま育てると根が回りきって傷みます。本葉 2〜3 枚でポットへ移します。
- 育苗用の受け皿トレイ探す言葉「育苗トレイ 受け皿 底面給水」
- 規格の目安
- ポットが並ぶ大きさで、水を張れる深さのあるもの。
上から水をやると小さな苗が倒れます。下から吸わせると茎が締まります。
- 液体肥料探す言葉「液体肥料 苗 薄め」
- 規格の目安
- 1000 倍希釈の原液。苗には規定より薄めて使います。
種まき用土には肥料分がほとんどありません。本葉が出たら薄い液肥で足します。
- 苗を買って植えるなら、育苗の資材は要りません。
- 育苗箱の加温は、春まきの一部を除けば要りません。
山椒の収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方は山椒の育て方にまとめています。
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