苗の種類で植え方が変わる
園芸店で売られているボタンの苗は、ほとんどがシャクヤクの根に接いだ接ぎ木苗です。接ぎ木苗は数年かけてボタン自身の根を出させる必要があり、その前提で植える深さが決まります。まず自分の苗がどの種類かを確かめてから植えます。
秋に出回るポット苗や根巻き苗のほか、春に開花株として鉢で売られることもあります。開花株は根が動いている時期なので、花が終わるまで鉢のまま楽しみ、秋になってから植え付けます。
| 種類 | 見分け方 | 植え方の要点 |
|---|---|---|
| 接ぎ木苗(一〜二年生) | 根元に太い一本の根。接いだ跡がある | 接ぎ口を五センチ土に埋め、ボタン自身の根を出させる |
| 接ぎ木苗(三年生以上) | 接ぎ口の上から細い根が出ている | 接ぎ口が土に隠れる深さ。深植えしすぎない |
| 実生苗・挿し木苗 | 根が細く数本に分かれる | 根の付け根が地面と同じ高さ。開花まで五年ほど |
| 春の開花株 | つぼみか花が付いた鉢 | 花後まで鉢のまま。秋に植え付け |
接ぎ口は幹の根元にある膨らんだ部分で、上下で樹皮の色が変わっています。分からないときは店で聞いてから買います。
適期は九月下旬から十月
ボタンの根は秋から冬にかけて伸びる性質があり、九月下旬から十月に植えると、冬の間に根が張って春の芽出しが揃います。春に植えると根より先に芽が動き、その年は弱ったまま夏を迎えて枯れやすくなります。植え替えや株の移動も同じ時期に行います。
| 地域 | 植え付けの適期 | 目印 |
|---|---|---|
| 寒冷地 | 9月中旬〜10月上旬 | 葉が黄ばみ始めたころ。霜の一か月前まで |
| 中間地(関東平野部) | 9月下旬〜10月下旬 | 彼岸を過ぎて朝が涼しくなったころ |
| 暖地 | 10月〜11月上旬 | 日中の気温が二十五度を切ったころ |
場所は日当たりと水はけ、夏の西日を避ける
ボタンは午前中によく日が当たり、午後は木陰になるような場所を好みます。真夏の西日で葉が焼け、水はけの悪い場所では根が腐ります。一度植えたら十年以上同じ場所で育つ花木なので、周囲に将来伸びる樹木がないかも考えて選びます。株は幅一メートルほどに広がります。
- 午前の日が当たる場所を選ぶ
- 建物や落葉樹の東側が理想です。一日中日が当たる場所なら、夏だけよしずで西日を遮ります。日陰では花芽が付きません。
- 水はけを確かめる
- 植える場所に三十センチの穴を掘って水を入れ、一時間で引かないなら水はけが悪い土です。腐葉土と軽石を混ぜるか、二十センチ盛り土して植えます。
- 株間は一メートル
- 成木は幅も高さも一メートルを超えます。隣の株や壁からは一メートル以上離し、風が通るようにします。
植え穴と土づくり
植え穴は直径と深さがそれぞれ五十センチほどと大きめに掘ります。ボタンは根が深く伸びるので、下の土も柔らかくしておくと根の張りが違います。掘り上げた土に腐葉土を三割と、元肥(植えるときに土へ混ぜておく肥料)として油かすや骨粉をひと握り混ぜ、根に直接触れないよう穴の底に入れて土をかぶせます。
- 穴は五十センチ角
- 直径と深さを五十センチ掘り、底の土もほぐします。粘土質なら底に軽石を五センチ敷いて水が抜ける層を作ります。
- 元肥は根に触れさせない
- 掘り上げた土に腐葉土三割と油かす・骨粉をひと握り混ぜ、穴の底に十センチ戻します。その上に肥料の入っていない土を五センチかぶせ、根が直接肥料に当たらないようにします。
- 根を広げて置く
- 苗の根を放射状に広げて穴の中央に置きます。折れた根や黒くなった根は切り落とし、長すぎる根は二十センチほどで切り詰めます。
- 接ぎ口を五センチ埋める
- 若い接ぎ木苗なら、接ぎ口が地面から五センチ下になる深さに土を戻します。この部分からボタン自身の根が出て、シャクヤクの台木から自立します。
- 水を注いで土を落ち着かせる
- 土を半分戻したところで水をたっぷり注ぎ、根の間の空気を抜きます。水が引いたら残りの土を戻し、軽く踏んで固めます。
深植えは芽の腐りの原因になります。三年生以上の苗は、接ぎ口がぎりぎり隠れる深さにとどめます。
鉢植えの植え付け
ボタンは根が深く伸びるので、鉢植えなら八号以上の深鉢を使います。土は赤玉土中粒五、腐葉土三、軽石二を目安に水はけを良くします。鉢植えは乾きやすく夏に根が傷みやすいため、地植えより管理の手間がかかりますが、置き場所を変えられる利点があります。
- 八号以上の深鉢
- 深さ三十センチ以上の鉢に鉢底石を五センチ敷きます。素焼き鉢は乾きが速いので、駄温鉢かプラスチック鉢が扱いやすくなります。
- 接ぎ口を隠す深さで植える
- 接ぎ口が土に三センチほど隠れる深さに植え、鉢の縁から三センチ下を土の面にします。植えたら鉢底から流れるまで水を与えます。
- 二年に一回植え替える
- 根が回ったら九月下旬から十月に一回り大きな鉢へ植え替えます。根鉢を崩さず、外側の古い根だけを軽くほぐします。
台木のシャクヤクの芽が出てきたときの見分けと直し方
接ぎ木苗で最も多い失敗は、台木のシャクヤクの芽が伸びてボタンを弱らせることです。ボタンの芽は幹から出て木のように硬い枝になりますが、シャクヤクの芽は地面から直接出て柔らかい草の茎になります。春に地面から赤い芽が出てきたら、それはシャクヤクなので根元から取り除きます。
| 姿 | 正体 | 手当て |
|---|---|---|
| 地面から赤紫の柔らかい芽が伸びる | 台木のシャクヤク | 土を少し掘って付け根から切り取る。毎年見る |
| 幹の途中から芽が出て枝になる | ボタン本体 | そのまま育てる |
| 植えた年の春に芽が動かない | 根の活着待ち | 五月まで待つ。幹を軽く削って緑なら生きている |
| 幹の根元が黒く柔らかい | 深植え・過湿による腐り | 掘り上げて腐った部分を切り、浅く植え直す |
ボタンの植え付けに使うもの
苗も球根も、植えたあとに動かすと根が傷みます。植える日にそろえておくものだけを挙げます。
- 草花用の培養土探す言葉「草花 培養土 元肥入り」
- 規格の目安
- 元肥入り、水はけ重視の配合。14〜25L の袋。
- 数量の目安
- 8 号鉢 1 個で約 8L、65cm プランターで 12〜15L、花壇なら 1 ㎡ あたり 20〜30L。
花壇でも、土が固いところは掘り上げて培養土を混ぜたほうが根が張ります。
- 腐葉土探す言葉「腐葉土 園芸」
- 規格の目安
- 葉の形が残っている完熟のもの。40L 前後の袋。
- 数量の目安
- 花壇 1 ㎡ あたり 5〜10L を掘り上げた土に混ぜます。
土をふかふかにして、水もちと水はけを同時に良くします。花壇の土づくりの基本です。
- 緩効性肥料(元肥)探す言葉「緩効性肥料 元肥 マグァンプ」
- 規格の目安
- 粒状で 1 年ほど効くタイプ。植え穴の底に入れて使います。
- 数量の目安
- 8 号鉢 1 個に 5〜10g、花壇 1 ㎡ あたり 50g 前後。
根に直接触れないよう、土を一枚かぶせてから植えます。触れると濃さで傷みます。量は袋の表示に従ってください。
出典: 農林水産省「都道府県施肥基準等」
- 移植ごて探す言葉「移植ごて ステンレス 目盛り」
- 規格の目安
- 幅 6〜8cm。目盛り付きなら球根の深さを測れます。
球根は「球の高さの 2〜3 倍の深さ」に植えるのが基本で、目分量だと浅くなりがちです。
- 球根植え器は、球根をまとめて植えるようになってからで十分です。移植ごてで足ります。
- 鉢を毎回買い替えなくても、古い鉢を洗って日に当てれば使えます。
ボタンの長く咲かせるコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はボタンの育て方にまとめています。
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