剪定は三つの場面だけ
ボタンはバラのように毎年強く切り戻す木ではありません。枝を短く切ると翌年の花芽を失い、切り口から枯れ込むこともあります。手を入れるのは、花が終わった直後の花がら切り、秋の芽かき(不要な芽を取り除くこと)、そして冬の枯れ枝や込み枝の間引きの三つの場面だけです。
| 時期 | 作業 | 切る量の目安 |
|---|---|---|
| 4月下旬〜5月(花後すぐ) | 花がら切り | 花の下の葉二〜三枚を残して花だけ切る |
| 9月下旬〜10月 | 芽かきと整枝 | 一枝に芽を一〜二つ残し、残りをかき取る |
| 11〜2月(落葉後) | 枯れ枝・込み枝の間引き | 全体の一〜二割まで |
| 3〜4月 | 切らない | つぼみと葉が動いている |
花後すぐに花がらを切る
花が終わったら種を作らせないよう、すぐに花がらを切ります。ボタンは花後に翌年の花芽を作り始めるので、種に養分を使わせると翌年の花が減ります。切る位置は花のすぐ下ではなく、花の下の葉を二〜三枚残した位置です。葉を残すのは、そこから来年の芽が出るためです。
切るはさみは清潔なものを使います。灰色かび病が出た株の花がらを切ったはさみでそのまま他の株を切ると、病気を移すことがあります。
- 花びらが散り始めたら切る
- 花びらが落ち始めたら、その日のうちに切ります。完全に散ってさやが膨らむまで待つと養分が種に回ります。
- 葉を二〜三枚残す
- 花の下の大きな葉を二〜三枚残し、その上で切ります。残した葉の付け根に来年の花芽が作られます。
- 枝先の葉は切らない
- 花がらを切るついでに葉を減らすのは禁物です。葉は夏の間に来年の花芽を育てるので、枯れるまで残します。
種を採りたい花は一〜二輪だけ残し、残りはすべて切ります。
秋の芽かきで花を大きくする
九月下旬から十月にかけて、枝の先や途中に来年の芽がはっきり膨らんできます。すべて残すと花が小さく枝が混み合うので、一枝に充実した芽を一〜二つ残して、残りは指でかき取ります。花芽は丸く太く、葉芽は細く尖っているので見分けられます。
- 芽の形で花芽を見分ける
- 丸くふっくらした芽が花芽、細く尖った芽が葉芽です。枝先の一番大きな芽はたいてい花芽なので残します。
- 一枝に一〜二芽残す
- 先端の花芽と、その下の充実した芽を一つ残し、それより下の小さな芽は付け根から指でかき取ります。
- 幹の根元の芽は取る
- 株元や幹の低い位置から出る芽は、樹形を乱すので取ります。ただし古い幹を更新したいときは一本だけ残します。
冬の間引きで風を通す
葉が落ちた十一月から二月に、枯れた枝、内側に向かう枝、交差する枝を付け根から間引きます。切る量は全体の一〜二割までにとどめ、枝を短く切り詰めることはしません。太い枝を切ったときは切り口に癒合剤を塗り、枯れ込みを防ぎます。
間引く枝を迷ったら、その枝を手で隠してみて株の形が整うかで判断します。整うなら切り、隙間が目立つなら残します。一度に迷った枝を全部切るより、一年に数本ずつ様子を見ながら進めるほうが失敗がありません。
- 枯れ枝を確かめて切る
- 枝先を軽く曲げて折れるなら枯れています。緑の部分まで戻って、生きた芽の上で切ります。
- 内向きと交差枝を付け根で
- 株の内側へ向かう枝、他の枝と交差する枝は付け根から切ります。途中で切ると切り口の下から細い枝が多く出て混みます。
- 切り口に癒合剤
- 鉛筆より太い切り口には市販の癒合剤を塗ります。ボタンは切り口から枯れ込みやすい木です。
古い株の若返り
十年以上たった株は幹が太く古くなり、先端ばかりに花が付いて下が寂しくなります。株元から出た若い芽を一本残して育て、二〜三年かけて古い幹と入れ替えると、株全体が若返ります。一度に古い幹を全部切ると株が弱るので、毎年一本ずつ更新します。
- 株元の若い芽を一本残す
- 秋の芽かきのとき、株元から出た元気な芽を一本だけ残して育てます。二年で花が咲く枝になります。
- 古い幹を毎年一本切る
- 若い枝が育ったら、冬に最も古い幹を地際で一本切ります。切り口には必ず癒合剤を塗ります。
切りすぎたときや枯れ込んだときの立て直し
枝を短く切り詰めてしまった、切り口から枯れ込んだという失敗は、一年から二年で立て直せます。ボタンは古い枝からも新しい芽を出す力があるので、株が生きていれば翌年に芽が動きます。慌てて追加で切らず、芽の出方を見てから次を決めます。
| 状態 | 起きること | 戻し方 |
|---|---|---|
| 枝を半分以下に切り詰めた | 翌年は花が咲かない | 何もせず一年育て、秋の芽かきから通常に戻す |
| 切り口から枝が茶色く枯れ込む | 枯れ込みが下へ進む | 緑の部分まで切り戻し癒合剤を塗る |
| 花がらと一緒に葉を落とした | 花芽が作れず翌年減る | 残った葉を大切に。八月末に薄い液肥 |
| 春に枝を切ってつぼみを落とした | 今年の花がない | 今年は諦める。切った枝は挿しても付かない |
ボタンの剪定・切り戻しに使うもの
切り戻しは株を若返らせる作業です。切る位置と、切り口を乾かすことに関わるものだけで足ります。
- 剪定ばさみ探す言葉「剪定ばさみ 園芸 ステンレス」
- 規格の目安
- 刃渡り 5cm 前後。バイパス式(刃が交差するもの)は切り口がきれいです。
アンビル式(刃が台に当たるもの)は茎を潰します。生きた枝を切るならバイパス式を選びます。
- 消毒用アルコール探す言葉「消毒用アルコール スプレー」
- 規格の目安
- 濃度 70〜80%。スプレー式。
株を変えるたびに刃を拭きます。病気の株から健全な株へ、はさみが運んでしまうのを防げます。
- 園芸用手袋探す言葉「園芸手袋 背抜き」
- 規格の目安
- 手のひらにゴムを張った背抜きタイプ。細かい作業ができる薄手のもの。
茎の汁でかぶれる植物があります。厚い革手袋だと、切る位置を指で確かめられません。
- 柔らかい茎の草花は、指で摘めばはさみは要りません。
- 癒合剤は木の太い枝を切るときのもので、草花には要りません。
ボタンの長く咲かせるコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はボタンの育て方にまとめています。
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