結論
- 石灰は種まき・植えつけの 2 週間前にまいて耕す。堆肥と元肥はその 1 週間後。同じ日に全部混ぜるのは避ける
- 量は苦土石灰で 1 平方メートルあたり 100〜150g (ひとつかみ強)。毎作まく必要はなく、pH を測って 6.0 未満のときだけ
- 関東の露地なら 9 月上旬に石灰、中旬に堆肥、下旬に種まきが目安。前作の片づけと同時に進める
秋の土づくりの順番 (逆算カレンダー)
秋野菜は夏野菜と違って生育期間が短く、種まきの適期も 2〜3 週間しかありません。土づくりに時間をかけすぎると適期を逃すので、まく日を先に決めて逆算します。関東の露地で 9 月下旬に小松菜や大根をまくなら、9 月上旬には石灰を入れておく計算です。
| 時期 | 作業 | ポイント |
|---|---|---|
| 種まき 3 週間前 | 前作の片づけ・残渣の除去 | 根も抜く。病気の株は畑の外へ |
| 種まき 2 週間前 | 石灰をまいて 20cm 耕す | pH 6.0 未満のときだけ。100〜150g/平方メートル |
| 種まき 1 週間前 | 堆肥と元肥を入れて耕す | 完熟堆肥 2〜3kg/平方メートル。畝を立てる |
| 種まき当日 | 畝の表面をならして水をやる | 土が乾いていれば前日に水をやっておく |
石灰を入れる理由と、入れなくてよい場合
石灰の目的は酸性に傾いた土を中和することと、カルシウム・マグネシウムを補うことです。日本の畑は雨で石灰分が流れて酸性に傾きやすく、ほうれん草のように酸性に弱い野菜は pH 6.0 を下回ると葉が黄色くなって育ちません。
ただし毎作まき続けると逆にアルカリに傾き、ジャガイモのそうか病や微量要素の欠乏が出ます。前作で石灰を入れていて、雑草のスギナやオオバコが目立たない畑なら、今回は省いて構いません。市販の簡易 pH 測定器で 6.0〜6.5 なら入れません。
pH を測る道具がなくても、去年ほうれん草が黄色くなって育たなかった畑は酸性に傾いている可能性が高いので、今年は石灰を入れる目安になります。
石灰の種類と量
家庭菜園なら苦土石灰が扱いやすく、効きが穏やかでマグネシウムも補えます。消石灰は効きが早い代わりに強く、手についたり肥料と反応したりするので、初心者は避けた方が無難です。有機石灰 (カキ殻など) は効きが遅く、種まき 2 週間前では間に合わないため、秋よりも冬の土づくり向きです。
- 苦土石灰: 100〜150g/平方メートル。種まき 2 週間前。秋の基本
- 消石灰: 50〜100g/平方メートル。種まき 3 週間前。強いので量を控える
- 有機石灰: 100〜200g/平方メートル。効きが遅い。種まき直前でも肥料と混ぜて問題は出にくい
- レイズドベッド (培養土主体) は pH が整っていることが多く、入れないか半量にする
なぜ石灰と肥料を同時に混ぜないのか
石灰と化成肥料や鶏ふんを同時に混ぜると、肥料の窒素分がアンモニアガスになって逃げてしまい、肥料の効きが落ちます。また石灰を入れた直後は土の中で pH が急に変わり、種の発芽や根の伸びに影響が出ることがあります。1 週間あければ土がなじみ、この問題は避けられます。
どうしても時間がない場合は、石灰を苦土石灰にして量を半分にし、堆肥だけ同時に入れて、化成肥料は種まき時に条間へ入れる方法があります。順番を守るより多少効きは落ちますが、まく適期を逃すよりは良い選択です。
消石灰と鶏ふん・化成肥料を同じ日に混ぜると、窒素が抜けるだけでなく強いアルカリで根が傷むことがあります。消石灰を使うときは 2〜3 週間あけます。
堆肥と元肥の入れ方 (石灰の 1 週間後)
堆肥は完熟のものを 1 平方メートルあたり 2〜3kg。未熟な堆肥は土の中で発酵して根を傷め、大根では又根の原因にもなります。袋を開けて土のにおいなら完熟、アンモニア臭や酸っぱいにおいなら未熟です。秋野菜は生育期間が短いので、元肥は化成肥料で 1 平方メートル 100g ほどを堆肥と一緒に混ぜます。
- 堆肥は完熟 (土のにおい、手で握ってサラサラ)
- 石灰から 1 週間以上あいている
- 20cm の深さまで耕し、土のかたまりを砕いている
- 畝は高さ 10〜15cm。水はけの悪い畑は 20cm
- 耕したあとに 1 回水をやり、土を落ち着かせている
地域と時期による違い
上の日程は関東の露地が基準です。東北や高冷地では秋野菜のまき時が 2〜3 週間早いので、8 月中旬には石灰を入れます。逆に西日本の平野部では 10 月上旬まきも可能で、土づくりも 2 週間後ろにずらせます。雨の多い地域ほど石灰が流れやすく、年 1 回の補給が目安になります。
失敗と戻し方
「石灰を入れ忘れて種をまいた」なら、そのまま育てて構いません。ほうれん草以外の秋野菜は pH 5.5 でもそれなりに育ちます。ほうれん草で葉が黄色くなったら、株元に苦土石灰をひとつまみまいて水をやると、2 週間ほどで持ち直すことがあります。
「石灰と肥料を同時に入れてしまった」なら、1 週間待ってから種をまきます。窒素が抜けた分は、本葉 3〜4 枚のときに追肥で補います。「入れすぎた」なら、その畝は石灰を好む野菜 (ほうれん草・えんどう) に回し、翌年は入れません。
今日やること
- 種をまく日を決め、2 週間前に石灰、1 週間前に堆肥の日を逆算する
- 簡易 pH 測定器か前作の様子で、石灰を入れるかどうかを決める
- 石灰と堆肥を入れた日をアプリに記録し、種まき予定日を通知に入れる
よくある質問
- 石灰をまいたあと雨が降っても大丈夫ですか?
- 問題ありません。むしろ水分があると土になじみやすくなります。ただし大雨で表面が流れると効きにムラが出るので、まいた直後に軽く耕して土と混ぜておきます。
- レイズドベッドやプランターにも石灰は必要ですか?
- 市販の培養土は pH が調整されているので、初年度は不要です。2 年目以降に古い土を使い回すなら、苦土石灰を 10 リットルあたり 10g ほど混ぜて 2 週間おくと安定します。
- 草木灰で代用できますか?
- できますが効きが強くカリウムも多いので、苦土石灰の半量を目安にし、肥料と同時にまかないようにします。焚き火の灰は塩分や不純物を含むことがあるので、量を控えます。