一年に二回まける根菜
食用ビーツは春と秋の二回まけます。関東平野部の露地では、春まきは三月下旬から五月上旬、秋まきは八月下旬から九月中旬が適期です。どちらも六十日から八十日で穫れます。
春まきは暑さが来る前に、秋まきは本格的な寒さが来る前に穫り切るのが基本です。まき時が半月ずれると収穫の姿がはっきり変わるので、時期は守ってください。
| 作型 | まき時 | 収穫までの日数 |
|---|---|---|
| 春まき | 3月下旬〜5月上旬 | 60〜70日 |
| 秋まき | 8月下旬〜9月中旬 | 70〜80日 |
| 秋の遅まき | 9月下旬 | 90日以上。小さいまま |
月別のやることカレンダー
関東平野部の露地を前提にした流れです。寒冷地は春を半月遅く、秋を半月早く。暖地はその逆に読み替えると、だいたい合います。
作業そのものは間引きと追肥(育ちの途中で足す肥料)と土寄せだけです。数は多くありませんが、時期を外すと丸い根にならないので、株の姿を見ながら進めてください。
| 月 | やること | 目安 |
|---|---|---|
| 3月中旬 | 石灰を混ぜて深く耕す | 1平方メートルに150グラム |
| 3月下旬〜5月上旬 | 浸けた種を10センチ間隔でまく | 深さ1センチ |
| 4月〜5月 | 一本に間引き、株間を広げて追肥 | 本葉2枚と4〜5枚 |
| 6月〜7月上旬 | 春まきの収穫 | 直径5〜8センチ |
| 8月下旬〜9月中旬 | 秋まきの種まき | 深さ1センチ |
| 9月〜10月 | 間引き、追肥、土寄せ | 株間10〜12センチ |
| 10月下旬〜12月 | 秋まきの収穫 | 霜に当てると甘い |
まいてから一か月が勝負
まいてから一か月の間に、発芽、一本立ち、株間の確保がすべて済みます。ここを丁寧にやれば、あとは追肥と水やりだけで穫れる時期まで進みます。
逆にこの一か月で間引きを飛ばすと、どれだけ待っても丸い根にはなりません。日にちではなく本葉の枚数を見て、次の作業に移ってください。
- 本葉二枚で一本に
- 一か所に群れて出た芽を、はさみで切って一本だけ残します。抜くと残す株の根まで動くので、切るほうが確実です。
- 本葉四枚で株間を作る
- 葉が触れ合ってきたら株間を十センチから十二センチに広げます。同時に追肥を入れると手間が一度で済みます。
- 水を切らさない
- 発芽から本葉四枚までは根が浅く、乾くと止まります。表面が乾いたらたっぷり与えて、湿りを保ってください。
- 欠けたところにまき足す
- 芽が出なかった場所は、気づいた時点で種をまき足します。二週間以内なら収穫の時期がそれほどずれません。
間引き菜は根も葉も食べられます。赤い葉柄が彩りになるので、サラダやスープに使うと最初の収穫として楽しめます。
秋まきは霜まで置ける
秋まきの株は十月下旬から穫り始められますが、霜に当たると甘みが増すので、少し置いてから穫るという選び方もできます。畑に置いたまま少しずつ使えるのが秋の利点です。
ただし直径が十センチを超えると内側に固い筋が入りやすくなります。大きさを見て、育ちすぎる前に順に抜いていってください。畑に置ける期間が長いからといって、全部を年末まで待たせると使いにくい大きさになります。
| 時期 | 根の大きさ | 判断 |
|---|---|---|
| 10月下旬 | 直径4〜5センチ | 小さめだがやわらかい。使い始める |
| 11月 | 直径5〜8センチ | いちばんよい大きさ。順に穫る |
| 12月 | 直径8〜10センチ | 霜で甘い。筋が入る前に穫り切る |
| 1月以降 | 凍害が出る | 藁をかけるか掘り上げて保存する |
少しずつ長く穫る段取り
食用ビーツは一度に大量に穫っても使い切れないことが多い野菜です。二週間ずらして二回三回にまくと、収穫の時期が分かれて食卓に回しやすくなります。
秋まきの場合は、まくのが遅くなるほど収穫が寒い時期に寄っていきます。九月中旬を過ぎるとはっきり小さくなるので、遅らせるのは半月までにしてください。
- 二週間ずらしてまく
- 同じ畝の別の列に二週間ずらしてまきます。収穫の時期が分かれるので、大きくなりすぎて余ることがありません。
- 記録を残す
- まいた日を畝ごとに書いておくと、次の年のまき時を決める材料になります。日数と実際の姿を照らせるのが強みです。
- 早採りも使う
- 直径三センチほどの若い根も、丸ごと使えばやわらかくておいしく食べられます。間引きを兼ねて早めに抜くのも手です。
- 使い道を先に決める
- 漬けるのか、煮るのか、生で使うのかで穫る大きさが変わります。まく前に用途を決めておくと、収穫の判断で迷いません。
予定が狂ったときの立て直し
まくのが遅れた、間引きを忘れた、収穫が遅れたといった場面は必ず起きます。どこまでなら取り返せるかを知っておくと、慌てずに判断できます。
| 場面 | 起きること | 立て直し方 |
|---|---|---|
| まくのが半月遅れた | 根が小さいまま止まる | 小さい根と葉を早採りで使う |
| 間引きを忘れた | 細長い根が数本できる | 今からでも一本に切る。形は戻らない |
| 収穫が遅れた | 筋が入って固い | 薄く切って加熱調理に回す |
| 春に暑さが早く来た | 急に育ちが止まる | その時点の大きさで全部穫り切る |
食用ビーツの栽培に一年を通して使うもの
作業のたびに買い足すより、季節の前にまとめて用意しておくほうが結局は安く済みます。一年を通して使うのは、次の 4 つです。
数量は幅 60cm × 長さ 3m の畝 1 本(約 1.8 ㎡)で計算しています。
- 完熟堆肥探す言葉「完熟堆肥 牛ふん」
- 規格の目安
- 牛ふん堆肥かバーク堆肥。40L 前後の袋で売られています。
- 数量の目安
- 1 ㎡あたり 2〜3kg(およそ 5〜8L)。畝 1 本で 10〜15L。
土の粒をつなぐのは微生物の働きで、その餌になるのが堆肥です。未熟なものは根を傷めるので「完熟」と書かれたものを選びます。
- 苦土石灰探す言葉「苦土石灰 粒状」
- 規格の目安
- 粒状のものが扱いやすく、風のある日でも舞いません。1〜20kg 袋。
- 数量の目安
- 1 ㎡あたり 100〜150g、畝 1 本で 200〜300g。1kg 袋で数畝ぶん。
日本の土は雨で酸性に傾きます。**必要な量は土質で 3 倍ほど違い**、黒ボク土は砂質土よりずっと多く要ります。入れすぎると今度はアルカリ性に寄りすぎるので、pH を測ってから決めます。
- 化成肥料(8-8-8 など)探す言葉「化成肥料 8-8-8」
- 規格の目安
- 窒素・リン酸・カリが同じ比率の粒状。まず 1 袋あればほとんどの野菜に使えます。
- 数量の目安
- 元肥は 1 ㎡あたり 100g、畝 1 本で 150〜200g。追肥は 1 回 1 ㎡あたり 30〜50g。
種類を増やすより、切らさないほうが効きます。作物ごとの正確な量は都道府県が施肥基準として公表しているので、量を詰めたくなったらそちらを見てください。
出典: 農林水産省「都道府県施肥基準等」
- 黒マルチ探す言葉「黒マルチ 95cm」
- 規格の目安
- 幅 95cm、厚さ 0.02mm。株間の決まっている作物は穴あき(株間 30cm・45cm)が楽です。
- 数量の目安
- 畝 1 本(3m)で 4m。50m 巻きなら 10 畝以上。
地温を上げ、雨のはね返りと雑草を抑えます。夏の高温期だけは、地温が上がりすぎるので白黒マルチに替える手もあります。
- 土壌改良材のセット買いは要りません。堆肥と石灰と元肥の 3 つで足ります。
- 連作していない畑なら、土壌消毒剤は要りません。
食用ビーツの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方は食用ビーツの育て方にまとめています。
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