半年をかけて仕上げる
黒豆は六月にまいて十二月に穫り終える、半年がかりの作物です。枝豆として十月に若採りする道と、そのまま置いて完熟の黒豆にする道があり、どちらを選ぶかで秋の作業が変わります。
作業は摘心(先を摘んで枝を増やすこと)と土寄せと草取りが中心で、毎週手をかける必要はありません。ただし花の咲く九月の水やりと、莢がふくらむ時期の虫の見回りだけは外せません。
| 月 | 主な作業 | 株の状態 |
|---|---|---|
| 5月下旬 | 石灰を入れて耕し畝を立てる | まだまかない |
| 6月 | 種まきと鳥よけ、間引き | 本葉1〜3枚 |
| 7月 | 摘心と土寄せ、草取り | 草丈30〜50センチ |
| 8月 | 見回りと水やり | 枝が広がる |
| 9月 | 開花。水を切らさない | 花から莢へ |
| 10月 | 枝豆として収穫できる | 莢がふくらむ |
| 11月〜12月 | 完熟の収穫と乾燥 | 葉が落ちて莢が茶色に |
月別のやることカレンダー
関東平野部の露地で、丹波黒のような晩生の大粒品種を作る場合の流れです。中生や早生の品種は全体に半月から一か月早く進むので、種袋の記載に合わせて読み替えてください。
前半は株を作る時間、後半は待つ時間になります。八月までに大きな株ができていれば、九月以降の収穫はほぼ約束されたようなものです。
| 月 | やること | 目安 |
|---|---|---|
| 5月下旬 | 苦土石灰を混ぜて耕す | 1平方メートルに100グラム |
| 6月中旬 | 3粒ずつまいて網をかける | 株間70〜80センチ |
| 6月下旬 | 本葉1〜2枚で間引き | 2本に減らす |
| 7月上旬 | 本葉3〜4枚で一回目の土寄せ | 株元から5センチ |
| 7月中旬 | 本葉5〜7枚で先を摘む | 指で折れる部分だけ |
| 7月下旬 | 二回目の土寄せと草取り | 株元から10センチ |
| 9月 | 開花。乾いたら朝に水をやる | 花が落ちないように |
| 10月上旬 | 枝豆として若採りできる | 莢が丸くふくらむ |
| 11月下旬〜12月 | 株ごと刈って干し、脱粒 | 莢が茶色く乾く |
七月は株を作る月
七月にやることは摘心と土寄せと草取りの三つです。この月に株の形が決まり、あとの収穫量はここでほぼ決まります。梅雨明けの晴れた日を選んで一気に済ませてしまうと楽です。
草を放っておくと株が負けて日陰になります。土寄せと同時に通路の草を削っておくと、二度手間になりません。夏の草は一週間で見違えるほど伸びるので、七月のうちに一度きれいにしておくと八月が楽です。
- 先を摘む
- 本葉が五枚から七枚になったら先端を指で摘みます。横から枝が出て、花のつく場所が増えます。
- 土を寄せる
- 摘心のあとに株元へ土を寄せます。寄せた土から新しい根が出るので、乾燥にも風にも強くなります。
- 草を削る
- 株の周りと通路の草を削り取ります。豆は草に負けやすく、放っておくと日陰になって花が減ります。
梅雨の長雨で畑が湿っているときは作業を急がず、土が乾いてから入ってください。ぬかるみで土を踏み固めると根が伸びません。
九月と十月は虫と水を見る
九月に花が咲き、十月に莢がふくらみます。この二か月は水を切らさないことと、莢を吸う虫を見つけることが仕事です。ここで手を抜くと、莢はあっても中が空という結果になります。
枝豆として食べるなら十月上旬、莢が丸くふくらんで実が触ってわかるようになったころが食べごろです。完熟まで置くならそのまま十一月まで待ちます。
| 時期 | 見えること | すること |
|---|---|---|
| 9月上旬 | 白や薄紫の花が咲く | 乾いたら朝に水をやる |
| 9月下旬 | 小さな莢がつく | 莢を吸う虫がいないか見回る |
| 10月上旬 | 莢が丸くふくらむ | 枝豆として穫るならこの時期 |
| 10月下旬 | 葉が黄色くなり始める | 完熟を待つなら手を出さない |
十一月から十二月は乾かす時間
完熟の黒豆にするなら、葉がすべて落ちて莢が茶色く乾くまで待ちます。株を振ってからからと音がするようになったら、株ごと刈って干す段階に入ります。
干す場所は雨のかからない風通しのよいところです。雨に当てると豆にしみが出たり、かびが生えたりして、せっかくの黒い光沢が失われます。
- 音で確かめる
- 株を軽く振り、莢の中で豆が動く音がしたら刈りどきです。まだ音がしなければもう少し畑に置きます。
- 株ごと刈る
- 地際で刈り取り、数株を束ねて軒下や小屋に逆さに吊るします。雨に当てないことがいちばん大切です。
- 一週間から二週間干す
- 莢を押すと簡単に割れるようになるまで干します。乾きが甘いと保存中にかびが出ます。
- 干し場所を先に決める
- 刈ってから慌てないよう、雨のかからない風通しのよい場所を秋のうちに決めておきます。軒下や物置の一角で足ります。
予定が狂ったときの立て直し
まくのが遅れた、長雨で作業ができなかった、収穫の前に雨が続いたという場面は毎年あります。どこまで取り返せるかを知っておくと落ち着いて判断できます。
| 場面 | 起きること | 立て直し方 |
|---|---|---|
| まくのが半月遅れた | 完熟まで届かない | 枝豆として10月に若採りする |
| 摘心の時期を逃した | 背が高く倒れやすい | 支柱を立てて支える。摘まずに育てる |
| 収穫前に雨が続く | 莢が乾かずかびる | 株ごと刈って屋根の下で干す |
| 乾燥が間に合わない | 保存中にかびが出る | 莢から出して広げ、風通しよく干し直す |
黒豆の栽培に一年を通して使うもの
作業のたびに買い足すより、季節の前にまとめて用意しておくほうが結局は安く済みます。一年を通して使うのは、次の 4 つです。
数量は幅 60cm × 長さ 3m の畝 1 本(約 1.8 ㎡)で計算しています。
- 完熟堆肥探す言葉「完熟堆肥 牛ふん」
- 規格の目安
- 牛ふん堆肥かバーク堆肥。40L 前後の袋で売られています。
- 数量の目安
- 1 ㎡あたり 2〜3kg(およそ 5〜8L)。畝 1 本で 10〜15L。
土の粒をつなぐのは微生物の働きで、その餌になるのが堆肥です。未熟なものは根を傷めるので「完熟」と書かれたものを選びます。
- 苦土石灰探す言葉「苦土石灰 粒状」
- 規格の目安
- 粒状のものが扱いやすく、風のある日でも舞いません。1〜20kg 袋。
- 数量の目安
- 1 ㎡あたり 100〜150g、畝 1 本で 200〜300g。1kg 袋で数畝ぶん。
日本の土は雨で酸性に傾きます。**必要な量は土質で 3 倍ほど違い**、黒ボク土は砂質土よりずっと多く要ります。入れすぎると今度はアルカリ性に寄りすぎるので、pH を測ってから決めます。
- 化成肥料(8-8-8 など)探す言葉「化成肥料 8-8-8」
- 規格の目安
- 窒素・リン酸・カリが同じ比率の粒状。まず 1 袋あればほとんどの野菜に使えます。
- 数量の目安
- 元肥は 1 ㎡あたり 100g、畝 1 本で 150〜200g。追肥は 1 回 1 ㎡あたり 30〜50g。
種類を増やすより、切らさないほうが効きます。作物ごとの正確な量は都道府県が施肥基準として公表しているので、量を詰めたくなったらそちらを見てください。
出典: 農林水産省「都道府県施肥基準等」
- 黒マルチ探す言葉「黒マルチ 95cm」
- 規格の目安
- 幅 95cm、厚さ 0.02mm。株間の決まっている作物は穴あき(株間 30cm・45cm)が楽です。
- 数量の目安
- 畝 1 本(3m)で 4m。50m 巻きなら 10 畝以上。
地温を上げ、雨のはね返りと雑草を抑えます。夏の高温期だけは、地温が上がりすぎるので白黒マルチに替える手もあります。
- 土壌改良材のセット買いは要りません。堆肥と石灰と元肥の 3 つで足ります。
- 連作していない畑なら、土壌消毒剤は要りません。
黒豆の収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方は黒豆の育て方にまとめています。
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