育てる場所を先に決める
カシスは冷涼な気候を好み、寒さにはマイナス二十度まで耐える一方で、関東の夏の高温と強い日差しに弱いです。植える場所は午前中だけ日が当たり、午後は日陰になる東側か、落葉樹の下のような半日陰が向きます。一日中日が当たる南向きの庭に植えると、七月から八月に葉が焼けて落ち、株が弱るのがもっとも多い失敗です。
| 場所 | 向き不向き | 理由 |
|---|---|---|
| 東向きで午後は日陰 | 最適 | 午前の日で実が育ち、午後の暑さを避けられる |
| 落葉樹の下の半日陰 | 向く | 夏は木陰、冬は落葉して日が当たる |
| 南向きの一日中日なた | 不向き | 夏に葉焼けと落葉を起こす |
| 北向きの日陰 | やや不向き | 実がつかず、株が間延びする |
| ベランダの鉢植え | 向く | 夏だけ日陰に動かせる |
寒冷地では一日中日なたでも問題ありません。関東以西の暖地ほど、夏の午後の日陰が重要になります。
苗の見方と品種
苗は秋から早春に、二年生の落葉した株が出回ります。枝が三本以上あり、根元が太く、枝の色が濃い茶色で張りのあるものを選びます。枝が一本しかない苗や、根が黒く細いものは活着が遅れます。カシスは一株で実がつくので受粉樹はいりませんが、二株あると実つきがよくなります。
品種は海外の育成品種が中心で、耐病性と実の大きさに差があります。関東で育てるなら、うどんこ病に強いとされる品種を選ぶと管理が楽になります。品種名が明記されていない苗は性質がわからないので、できるだけ品種名つきを選びます。
- 枝の数と太さを見る
- 根元から三本以上の枝が出ていて、鉛筆より太いものが理想です。枝一本の苗は植えた後に根元で切り戻して枝を増やします。
- 根の色を確かめる
- ポットから抜ける苗なら根を見ます。白から薄茶色で細かい根が多いものがよく、黒くて太い根ばかりのものは避けます。
- 病気の跡を見る
- 枝の先が白く粉を吹いたようになっていたらうどんこ病の跡です。持ち込むと庭に広がるので避けます。
地植えの手順
植え付けは落葉している十一月から三月で、関東なら根が動き出す前の二月から三月上旬が確実です。カシスは根が浅く広がるので、植え穴は深さより幅を優先し、直径五十センチ、深さ四十センチほど掘ります。土は水はけと保水を両立させるため、腐葉土を多めに混ぜます。酸性を好むので石灰は入れません。
- 植え穴に腐葉土を混ぜる
- 掘り上げた土に腐葉土をバケツ二杯と元肥(植え付け前に土へ混ぜておく肥料)として緩効性の化成肥料を一握り混ぜ戻します。石灰は入れません。
- 苗を少し深めに植える
- ポットの土の高さより二〜三センチ深く植えます。埋まった部分から新しい枝が出て、株が広がりやすくなります。ブルーベリーとは逆なので注意します。
- 枝を切り戻す
- 植え付け直後に各枝を地上二〜三芽の位置で切ります。切らないと根に対して枝が多すぎ、活着が遅れます。
- 敷きわらで根を守る
- 株元の半径三十センチを敷きわらか腐葉土で五センチほど覆います。浅い根の乾きと夏の地温上昇を抑えます。
株間は一・二〜一・五メートルが目安です。数年で幅一メートルほどの株になります。
鉢植えの手順
関東でカシスを確実に育てるなら鉢植えのほうが失敗が少なく、夏に日陰へ動かせるのが最大の利点です。八号鉢から始め、二年ごとに一回り大きくして最終的に十二号鉢ほどにします。用土は赤玉土五、腐葉土三、鹿沼土二の水はけと保水のよい配合が目安です。鉢植えは乾きやすいので、春から秋は表面が乾いたらたっぷり与えます。
| 鉢の大きさ | 株の目安 | 管理 |
|---|---|---|
| 八号鉢 | 二年生苗の一年目 | 枝を三〜四本に整え、実はならせない |
| 十号鉢 | 二〜三年目、枝が六本前後 | 実をならせ始める、夏は日陰へ |
| 十二号鉢以上 | 四年目以降、枝が十本前後 | 二〜三年ごとに古い根を切って植え直す |
植え付け後に元気がないときの原因と手当て
植え付けた年の初夏に葉が黄色くなる、夏に葉が縁から茶色くなって落ちる、芽が動かない、といった不調は、ほとんどが乾燥か暑さか深植え不足によるものです。まず株元の土の湿り気と、午後の日当たりを確かめます。カシスは落葉しても枝が生きていれば翌春に芽を出すので、慌てて抜かないことが大切です。
| 症状 | 考えられる原因 | 手当て |
|---|---|---|
| 春に芽が動かない | 根の乾燥、活着前の水切れ | 株元に水を注ぎ、敷きわらを厚くする |
| 初夏に葉が黄色くなる | 土がアルカリ寄り、肥料切れ | 鹿沼土や酸度未調整ピートモスを株元に混ぜ、少量の追肥 |
| 夏に葉が縁から茶色くなり落ちる | 西日と高温 | 遮光ネットか鉢を日陰へ、落葉しても水やりを続ける |
| 枝が細く間延びする | 日照不足 | 午前中に日が当たる場所へ |
夏に葉を落としても、枝を軽く曲げて折れずに緑色の内皮が見えれば生きています。秋に涼しくなると新しい葉が出ることもあります。
カシスの植え付けに使うもの
木は一度植えたら動かせません。植え穴と支柱をきちんと作るかどうかで、その後の何年かが決まります。
数量は苗木 1 本を単位にしています。
- 完熟堆肥・腐葉土探す言葉「完熟堆肥 バーク 40L」
- 規格の目安
- バーク堆肥か腐葉土。40L 前後の袋。
- 数量の目安
- 植え穴 1 つ(直径 60cm × 深さ 50cm)に 20〜30L を掘り上げた土と混ぜます。
穴を大きく掘って土を入れ替えるのが植え付けの本体です。ここを手抜きすると、根が広がらないまま何年も伸び悩みます。
- 支柱(添え木)探す言葉「園芸支柱 太い 180cm」
- 規格の目安
- 直径 25〜30mm × 長さ 180cm。1 本の添え木か、2 本の二脚(鳥居型)。
根が張るまでの 1〜2 年、風で株元が動くと細い根が切れ続けます。細い支柱では木の重さを支えられません。
- 樹木用の結束テープ探す言葉「樹木 誘引 テープ 幅広」
- 規格の目安
- 幅 20mm 前後の伸びる素材か、麻ひもと当て布。
幹は太ります。細いひもで縛ると食い込み、そこで水の通り道を締めてしまいます。幅の広いもので 8 の字に留めます。
- 緩効性肥料(元肥)探す言葉「緩効性肥料 元肥 樹木」
- 規格の目安
- 粒状で長く効くタイプ。
- 数量の目安
- 植え穴 1 つに 50〜100g。根に直接触れないよう、土を一枚かぶせてから植えます。
植え付け直後は根が傷んでいます。濃い肥料が触れると、そこから傷みが広がります。
- 鉢で育てるなら支柱は短いもので足ります。180cm の添え木は地植え用です。
- 植え穴に石を入れる必要はありません。水はけが悪いなら、盛り土にして高く植えるほうが効きます。
カシスの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はカシスの育て方にまとめています。
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