枝の年齢で扱いを変える
カシスの実は、前年に伸びた一年枝と、二〜三年目の枝の短い側枝によくつきます。四年を超えた枝は実が小さく数も減るので、根元から切って若い枝に入れ替えます。枝の年齢は色と太さで見分けられ、一年枝は明るい茶色でつやがあり、古い枝ほど黒っぽくざらつきます。株全体で常に若い枝が七割を占めるのが目安です。
枝の年齢に迷ったら、枝の根元にある節の数と枝分かれの段数を数えます。枝分かれが一段なら二年枝、二段なら三年枝と見当がつきます。太さだけで判断すると、日当たりのよい側の枝を若いと誤ることがあります。
| 枝の姿 | 年齢 | 実のつき方 | 剪定の扱い |
|---|---|---|---|
| 明るい茶色でつやがある | 一年枝 | 翌年によくつく | 残す、先端は切らない |
| やや濃い茶色で側枝が出ている | 二〜三年枝 | 側枝によくつく | 残す、混んだ側枝を間引く |
| 黒っぽくざらつき、側枝が細い | 四年以上 | 小さく少ない | 根元から切る |
| 地面に垂れて土についている | どの年齢でも | 実が土で汚れる | 根元から切るか、垂れた部分を切る |
冬の剪定の手順
剪定の適期は落葉後の十二月から二月で、芽が動く三月上旬までに終えます。株全体を見て、古い枝、細い枝、内側に向かう枝、地面に垂れた枝を根元から切り、残す枝を八〜十二本にします。切り口は地際ぎりぎりにし、切り株を残すとそこから細い芽が多数出て株が混みます。一年枝の先端は切りません。
- 古い枝を根元から切る
- 黒っぽくざらついた四年以上の枝を、地際で切ります。毎年二〜三本ずつ入れ替えると株の若さが保てます。
- 細い枝と内向きの枝を抜く
- 鉛筆より細い枝、株の中心に向かって伸びる枝、ほかの枝と交差する枝を根元から切ります。
- 残す本数を決める
- 一年枝三〜四本、二年枝三〜四本、三年枝二〜三本の合わせて八〜十二本が目安です。若い株は本数が少なくても構いません。
- 一年枝の先は切らない
- 一年枝の先端には翌年の花芽がついています。長すぎて邪魔なときだけ三分の一まで切り、原則は残します。
切った枝の中に白い虫の食い跡があれば、幹に入る虫の被害です。その枝は処分し、株元に木くずが出ていないか確かめます。
植え付けからの株づくり
植え付け一年目は、枝を地上二〜三芽で切り戻して根を育てます。春に出る新しい枝はすべて伸ばし、実はならせません。二年目の冬は、伸びた枝のうち太い四〜六本を残して細い枝を抜き、三年目から実をならせ始めます。四年目以降は毎年古い枝を二〜三本ずつ根元から切る更新剪定に移り、この繰り返しで十年以上収穫できます。
| 時期 | 株の姿 | 剪定の内容 |
|---|---|---|
| 植え付け時 | 枝が一〜三本 | 地上二〜三芽で切り戻す |
| 二年目の冬 | 新しい枝が五〜八本 | 太い四〜六本を残し、細い枝を抜く |
| 三年目の冬 | 枝が八本前後、初収穫の翌冬 | 混んだ枝を間引き、先端は残す |
| 四年目以降の冬 | 枝が十本以上 | 古い枝を二〜三本根元から切り、若い枝と入れ替える |
夏の軽い整理
夏は基本的に切りませんが、収穫が終わった七月に混み合った部分を軽く整理すると、風通しがよくなってうどんこ病を防げます。実を採り終えた古い枝を根元から切るのもこの時期にできます。九月以降は切ると寒さで傷むので、冬まで待ちます。株元から出るひこばえ(根元から出る新しい芽)はカシスでは次の若い枝になるので、抜かずに残します。
- 収穫後に古い枝を抜く
- 七月に実を採り終えたら、黒っぽい古い枝を一〜二本根元から切ります。冬の剪定の一部を前倒しし、風通しをよくします。
- うどんこ病の枝先を摘む
- 枝先が白く粉を吹いていたら、その部分を十センチほど切って処分します。放置すると翌年の花芽に病気が残ります。
- ひこばえは残す
- 株元から出る新しい枝は翌年の実をつける大切な枝です。倒れないよう軽く支柱に結び、冬まで育てます。
剪定で失敗したときの直し方
一年枝の先端を切って翌年の実が減った、古い枝を残しすぎて実が小さくなった、株を地際で全部切ってしまった、というのがよくある失敗です。カシスは根が生きていれば地際から勢いよく枝を出すので、全部切っても一年で枝は戻り、二年で実がつきます。実が減った年は株を育てる年と割り切り、翌冬に正しく更新すれば戻ります。
| 失敗 | 起こること | 戻し方 |
|---|---|---|
| 一年枝の先を切った | 翌年の実が減る | その年は側枝を育て、翌冬は先端を残す |
| 古い枝を残しすぎた | 実が小さく数が減る、株が混む | 翌冬に古い枝を三〜四本まとめて根元から切る |
| 株を全部地際で切った | その年は実がない | 出てきた枝を六〜八本に間引き、翌年から実をならせる |
| 切り株を残した | 細い芽が多数出て混む | 細い芽を根元で欠き、太い二本だけ残す |
老木で実が減ってきたら、思い切って全部の枝を地際で切る更新も有効です。三月上旬までに行い、その年は肥料と水を切らさず新しい枝を育てます。
カシスの剪定に使うもの
剪定でいちばん多い失敗は、切れない道具で無理に切ることです。切り口が潰れると、そこから枯れ込みます。
- 剪定ばさみ探す言葉「剪定ばさみ バイパス 果樹」
- 規格の目安
- 刃渡り 5〜6cm、直径 2cm まで。バイパス式。手の大きさに合ったものを。
生きた枝を切るならバイパス式です。アンビル式は枝を潰すので、切り口がふさがるまでに時間がかかります。
- 剪定のこぎり探す言葉「剪定のこぎり 折込 24cm 生木」
- 規格の目安
- 刃渡り 24cm 前後、生木用の粗い刃。折込式は持ち運べます。
直径 2cm を超えたらのこぎりに切り替えます。太い枝は下側に受け口を入れてから切ると、樹皮が裂けません。
- 癒合剤探す言葉「癒合剤 トップジン 剪定」
- 規格の目安
- ペースト状で刷毛の付いたもの。
直径 3cm を超える切り口に塗ります。乾燥と雨から切り口を守るためで、小さい切り口には要りません。
- 消毒用アルコール探す言葉「消毒用アルコール スプレー」
- 規格の目安
- 濃度 70〜80%。スプレー式。
木を変えるたびに刃を拭きます。切り口から入る病気は、道具が運ぶことが少なくありません。
- 直径 3cm 以下の切り口には癒合剤は要りません。塗りすぎると内側が乾かないこともあります。
- 電動の剪定ばさみは、木が何本もあるようになってからで十分です。
カシスの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はカシスの育て方にまとめています。
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