一年の流れを表で見る
カシスの一年は、冬の剪定と寒肥、春の開花、六月から七月の収穫、夏の暑さ対策、秋の落葉という流れです。作業が集中するのは二月と六月から七月で、七月から九月は暑さから株を守ることが仕事になります。表は関東平野部の露地を基準にしており、寒冷地は春の作業を二〜三週間遅らせ、夏の対策は不要なことが多いです。
| 月 | 作業 | 目安 |
|---|---|---|
| 1月 | 剪定 | 落葉した枝の姿を見て古い枝を根元から切る |
| 2月 | 剪定の仕上げ、寒肥、植え付け | 堆肥と油かすを埋める、苗の植え付け適期 |
| 3月 | 植え付け、芽の確認 | 芽がふくらむ、三月上旬までに剪定を終える |
| 4月 | 開花、水やり | 黄緑色の小さな花が咲く、乾いたら株元へ |
| 5月 | 追肥、実の肥大 | 化成肥料を一握り、実が緑色でふくらむ |
| 6月 | 敷きわら、収穫開始、鳥よけ | 梅雨入り前に株元を覆う、下旬から黒く熟す |
| 7月 | 収穫、お礼肥、遮光 | 房が黒くなったら順次収穫、収穫後に肥料と遮光 |
| 8月 | 水やり、遮光 | 三〜四日おきに水、鉢は日陰へ |
| 9月 | 遮光の終了、水やり | 中旬に遮光を外す、涼しくなったら水を減らす |
| 10月 | 落ち葉の掃除 | 落ち葉を集めて処分、うどんこ病の持ち越しを防ぐ |
| 11月 | 落葉、腐葉土の追加 | 株元に腐葉土を足す、植え付けの準備 |
| 12月 | 剪定開始 | 落葉が終わったら剪定に入る |
冬から春の作業
十二月から二月は剪定と寒肥の季節です。落葉して枝の年齢が見えるうちに、黒っぽい古い枝を根元から二〜三本切り、若い枝を八〜十二本残します。寒肥は二月に株の周りに溝を掘り、堆肥と油かすを埋めます。植え付けと鉢の植え替えも二月から三月上旬に済ませます。三月に芽がふくらんだら剪定は終わりにし、それ以降は切りません。
- 剪定は落葉を待ってから
- 葉が残っていると枝の年齢と混み具合がわかりにくいので、完全に落葉する十二月中旬以降に始め、二月末までに終えます。
- 寒肥は枝先の真下に埋める
- 根の先端は枝の広がりの外側にあります。株元にまくより、枝先の真下に深さ二十センチの溝を掘って埋めるほうが効きます。
- 芽の動きを見て作業を切り替える
- 芽の先が緑色にふくらんできたら、剪定と植え替えは終わりです。以降は水やりと開花の見守りに移ります。
春から初夏の作業
四月に黄緑色の小さな花が房になって咲きます。目立ちませんが、この時期に乾かすと花が落ちるので、雨が二週間ないときは水を与えます。五月に実が緑色でふくらみ始めたら追肥(育ちの途中で足す肥料)を一握りまきます。六月上旬、梅雨入り前に株元を敷きわらで覆い、鳥よけのネットを準備します。下旬から房の実が黒く色づき、収穫が始まります。
| 時期 | 株の姿 | やること |
|---|---|---|
| 4月上旬 | 房状の小さな花が咲く | 乾かさない、殺虫剤をまかない |
| 4月下旬 | 花が終わり小さな実がつく | 実が落ちても少量なら正常 |
| 5月 | 実が緑色で大きくなる | 追肥、水やり |
| 6月上旬 | 実が赤みを帯びる | 敷きわら、鳥よけネット |
| 6月下旬 | 房の実が黒くなる | 収穫開始 |
四月に霜が降りると花が傷みます。遅霜の予報が出た夜は、不織布をかけるか鉢を軒下に入れます。
初夏から夏の作業
六月下旬から七月中旬が収穫の本番です。房の実がすべて黒くなり、軽く引くと取れるようになったら房ごと採ります。収穫が終わったらお礼肥を与え、古い枝を一〜二本根元から切って風を通します。七月下旬以降は暑さとの戦いで、遮光ネットを張るか鉢を日陰に移し、三〜四日おきに朝の水やりを続けます。八月は何もしないのが正解で、肥料も剪定も控えます。
- 房が黒くなったら朝に採る
- 朝の涼しい時間に房ごとはさみで切ります。日中に採ると実が柔らかく、つぶれやすくなります。
- 収穫後に肥料と枝の整理
- 七月中旬に化成肥料を一握り与え、実を採り終えた古い枝を根元から切ります。混んだ部分の風通しをよくします。
- 梅雨明けと同時に遮光
- 梅雨明けの発表を目安に遮光ネットを張るか、鉢を午後日陰になる場所へ移します。九月中旬まで続けます。
秋の作業
九月中旬に遮光を外し、涼しくなったら水やりを減らします。十月から十一月に葉が黄色くなって落ちるのは正常で、落ち葉は集めて処分します。落ち葉を株元に残すとうどんこ病や虫が越冬します。十一月に腐葉土を株元に足して冬の乾燥と寒さから根を守ります。秋に肥料を与えると枝が軟弱になり花芽が減るので、与えません。
| 月 | 株の様子 | 作業 |
|---|---|---|
| 9月 | 暑さが和らぎ新しい葉が出ることもある | 遮光を外す、水を減らす |
| 10月 | 葉が黄色くなり始める | 落ち葉を集めて処分、肥料は与えない |
| 11月 | 落葉 | 腐葉土を株元に足す、苗の植え付け準備 |
| 12月 | 休眠 | 剪定を始める |
作業が遅れたときの戻し方
剪定を三月に持ち越したときは、芽が動いていても古い枝を根元から切るだけなら問題ありません。一年枝の先端は切らないようにします。遮光が遅れて葉が落ちたときは、すぐ遮光と水やりを整え、九月に少量の肥料で回復させます。収穫が遅れて実が落ちたときは、落ちた実を集めて処分し、翌年は六月下旬から毎朝房を確かめる習慣にします。一年の遅れで株が枯れることはまれで、翌年に立て直す前提で構いません。
- 剪定が遅れたら根元切りだけ
- 芽が動いた後は古い枝を根元から切ることだけ行い、枝先の切り戻しはしません。切り口から樹液が出ても、根元切りなら株への影響は小さいです。
- 遮光が遅れたら水を続ける
- 落葉しても水やりを続ければ枝は生きています。九月に涼しくなってから肥料を半握り与え、翌年は実を少なめにします。
- 収穫が遅れたら処分して備える
- 落ちた実や枝に残った干からびた実を集めて処分します。放置すると病気と虫の温床になります。
カシスの栽培に一年を通して使うもの
木の作業は冬と夏に固まります。冬に剪定と寒肥、生育期に袋かけと防鳥。この 4 つを季節の前にそろえておきます。
数量は植えて数年たった木 1 本を単位にしています。
- 剪定ばさみ探す言葉「剪定ばさみ 果樹」
- 規格の目安
- 刃渡り 5〜6cm、直径 2cm 程度まで切れるもの。バイパス式(刃が交差するもの)。
アンビル式は枝を潰します。生きた枝を切るならバイパス式で、切り口が滑らかなほど早くふさがります。
- 剪定のこぎり探す言葉「剪定のこぎり 折込 24cm」
- 規格の目安
- 刃渡り 24cm 前後の折込式。生木用の刃(目の粗いもの)を選びます。
直径 2cm を超える枝は、はさみで切ろうとすると枝も刃も傷めます。工作用ののこぎりは生木で目が詰まります。
- 有機質肥料(寒肥用)探す言葉「油かす 骨粉 有機質肥料」
- 規格の目安
- 油かすと骨粉の配合肥料。5〜10kg 袋。
- 数量の目安
- 成木 1 本に 1〜2kg。樹冠(枝の広がり)の外周に沿って埋めます。
冬に入れて、春に効き始めるのを狙う肥料です。ゆっくり分解するので、休眠期のうちに入れておきます。樹種と樹齢で必要な量は変わるので、詰めたいときは施肥基準を見てください。
出典: 農林水産省「施肥基準 — 果樹」
- 防鳥ネット探す言葉「防鳥ネット 目合い25mm」
- 規格の目安
- 目合い 20〜25mm。小鳥まで防ぐなら 15mm。
- 数量の目安
- 高さ 2m の木 1 本を覆うのに 4m × 4m 程度。
色づく直前にかけます。目合いが大きすぎると小鳥が入り、細かすぎると風で煽られて枝を傷めます。
- 高枝切りばさみは、木が背を越してからで十分です。低く仕立てるならずっと不要です。
- チェーンソーは家庭の果樹には要りません。剪定のこぎりで足ります。
カシスの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はカシスの育て方にまとめています。
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