挿し木の時期を枝の硬さで決める
挿し木の適期は、春に伸びた新枝が硬くなり始める六月から七月上旬の梅雨時です。枝の色が緑から茶色に変わりかけたころが目安です。この時期の枝は指で曲げてしなる程度で、発根する力が最も強く、湿度も高いので乾きにくくなります。ツバキは発根までに二か月から三か月かかるので、気長に待つ覚悟が要ります。
| 時期 | 枝の状態 | 向き不向き |
|---|---|---|
| 5月 | 新枝が柔らかい | 腐りやすい。少し待つ |
| 6月〜7月上旬 | 新枝がしなる程度に硬い | 最適。梅雨の湿度が味方 |
| 7月中旬〜8月 | 枝が硬くなる | 蒸れて腐りやすい |
| 9月 | 枝が完全に硬い | 可能だが発根が遅く冬越しが難しい |
穂木は今年の枝を使う
穂木は、その年の春に伸びた新枝を八センチから十センチに切ります。前年の古い枝は発根しにくいので使いません。花芽が付き始めている枝は避けるか、花芽を取り除きます。切った穂木は乾かさず、すぐに水に浸けます。
- 朝の涼しい時間に切る
- 枝に水が満ちている朝に切ると発根しやすくなります。切ったらすぐ水を入れたバケツに浸けて運びます。
- 下葉を落とし上葉を二枚残す
- 土に挿す部分の葉を取り、先端に葉を二枚から三枚残します。ツバキの葉は大きいので、残した葉は半分に切って蒸散を減らします。
- 切り口を斜めに切り直す
- よく切れるナイフで切り口を斜めに切り直し、一時間ほど水に浸けます。発根促進剤を切り口に付けると成功率が上がります。
清潔な土に挿して湿度を保つ
挿し床は肥料の入っていない清潔な赤玉土の小粒か鹿沼土の小粒を使います。深さは穂木の三分の一ほどで、割り箸で穴を開けてから挿し、周りを軽く押さえて固定します。使い回しの土は菌が残り、切り口を腐らせます。
挿した後は明るい日陰に置き、土が乾かないよう水を保ちます。発根までの二か月から三か月は、透明な袋をかぶせて湿度を保つと成功率が上がります。梅雨明け後に日なたに出したままにすると、一日で穂木が枯れることがあります。
- 深さは三分の一
- 穂木の長さの三分の一ほどを土に挿します。浅いと倒れ、深いと蒸れて腐ります。株元を軽く押さえて動かないようにします。
- 明るい日陰で乾かさない
- 直射日光の当たらない明るい場所に置き、土の表面が乾く前に水を与えます。梅雨明け後は特に朝夕確かめます。
- 袋で湿度を保つ
- 鉢ごと透明なビニール袋に入れて口を軽く閉じると湿度が保たれます。一日一回は袋を開けて空気を入れ替えます。
- 二か月半で軽く引く
- 二か月半ほどして穂木を軽く引き、抵抗があれば発根しています。葉が落ちず緑を保っているのも目安です。
発根後の鉢上げと育て方
発根したら、翌年の三月に一本ずつ三号鉢に鉢上げします。ツバキは根が少なく移植を嫌うので、挿した年の秋は動かさず、挿し床のまま軒下で越冬させます。土は赤玉土七に腐葉土三の配合です。花が咲くまで三年から四年かかります。
- 挿した年は動かさない
- 秋に発根していても、そのまま挿し床で冬を越させます。土が凍らない軒下に置き、乾いたら暖かい日に水を与えます。
- 翌春に根を崩さず移す
- 三月に挿し床から土ごと掘り上げ、根を触らずに三号鉢へ移します。鉢上げ後すぐに水を与え、一週間は日陰に置きます。
- 二年目から薄い肥料
- 鉢上げの翌年から、春と秋に緩効性肥料を少量置きます。三年目に五号鉢へ移し、四年目ごろに最初の花が付きます。
取り木と実生も選べる
大きな株の低い枝を土に伏せる取り木や、幹の途中の皮をはいで水ごけを巻く高取り木でも増やせます。挿し木の管理に自信がないときは、まず取り木から試すと確実です。挿し木より大きな苗が得られ、失敗も少ない方法です。秋に落ちた実から種をまく実生は、親と同じ花にはなりませんが、新しい花が出る楽しみがあります。実が割れて茶色い種が見えたら採りごろです。
| 目的 | 向いている方法 | 花が咲くまで |
|---|---|---|
| 同じ花を多く作る | 挿し木 | 三年から四年 |
| 確実に一株欲しい | 取り木 | 二年から三年 |
| 新しい花を作る | 実生 | 五年から十年 |
| 品種を確実に残す | 接ぎ木 | 二年から三年。技術が要る |
実生は秋に熟した実から種を取り、乾かさずにすぐまきます。乾くと発芽しなくなります。
挿し木がうまくいかないときの原因
挿し木の失敗は、穂木の乾燥、蒸れによる腐り、枝の選び違い、待ちきれずに動かしたのどれかです。穂木の状態を見れば原因が分かるので、次の梅雨に直して挿し直します。
| 状態 | 原因 | 直し方 |
|---|---|---|
| 葉が茶色く枯れた | 乾燥、直射日光 | 袋で湿度を保ち、明るい日陰に |
| 株元が黒く腐った | 水のやりすぎ、古い土 | 新しい土で水はけを確保 |
| 三か月たっても根が出ない | 古い枝を使った、時期が遅い | 葉が緑なら待つ。翌年六月に新枝で |
| 根は出たが移植後に枯れた | 秋に動かして根を切った | 翌春まで挿し床で待つ |
ツバキの挿し芽・株分けに使うもの
挿し芽は、肥料分のない清潔な土に挿すのが基本です。培養土に挿すとうまくいかないのはそのためです。
- 挿し芽用土(赤玉土小粒・鹿沼土)探す言葉「挿し芽 用土 赤玉土 小粒」
- 規格の目安
- 赤玉土の小粒か鹿沼土の単用、または「挿し芽・種まき用」と書かれた土。
- 数量の目安
- 3 号ポット 1 個で 0.2L、育苗箱 1 枚で 2L 前後。
肥料分があると、根が出る前に切り口が傷みます。清潔で肥料のない土であることが条件です。
- 発根促進剤探す言葉「発根促進剤 挿し木」
- 規格の目安
- 粉末を切り口に付けるタイプか、液に浸すタイプ。
根の出にくい種類で成功率が変わります。出やすい草花なら無くても十分です。
- よく切れるはさみ・カッター探す言葉「園芸ばさみ 切れ味 ステンレス」
- 規格の目安
- 刃渡り 3〜5cm。使う前にアルコールで拭きます。
切り口が潰れると水を吸えません。斜めに一度で切るのが基本です。
- 3 号ポット・育苗箱探す言葉「ポリポット 3号 育苗」
- 規格の目安
- 直径 9cm(3 号)のポットか、浅い育苗箱。
根が出るまでは小さい容器のほうが管理しやすく、乾き具合も見えます。
- 発根しやすい草花なら、発根促進剤は要りません。水に挿すだけで根が出るものもあります。
- 密閉できる容器があれば、挿し芽用の温室は要りません。
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