半年以上かけて育てる豆
秋にまいたひよこ豆は、冬を小さな姿で越し、春に一気に枝を伸ばして五月に莢をつけます。まいてから穫るまで七か月ほどかかりますが、冬の間はほとんど何もしないので、実際に手を動かす月は限られます。
作業の山は種まきの十一月、防寒の十二月、支柱と雨よけの四月から五月、そして収穫の六月上旬です。この四つを押さえておけば、あとは見回るだけで形になります。
| 作型 | 種まき | 収穫 | 要点 |
|---|---|---|---|
| 秋まき | 10月下旬〜11月中旬 | 5月下旬〜6月上旬 | 株が大きく収量が多い |
| 早春まき | 2月下旬〜3月中旬 | 6月上旬 | 越冬の手間がない |
| プランター | 10月下旬か3月 | 5月下旬〜6月 | 雨よけに動かせるのが強み |
月別のやることカレンダー
関東平野の露地を目安にした一覧です。梅雨入り前に収穫を終えるという一点から逆算して組んであります。まく時期が二週間ずれると、収穫が梅雨にかかって結果が大きく変わります。
まいた日、開花した日、穫った日を残しておくと、翌年に何日早めればよいかがはっきりします。ひよこ豆は日本ではまだ作例が少ないので、自分の記録がいちばん頼りになります。
| 月 | 主な作業 | ねらい |
|---|---|---|
| 10月上旬 | 苦土石灰と畝立て | 酸度を直し水はけを作る |
| 10月下旬〜11月中旬 | 種まき、防鳥ネット | 小さい姿で冬を迎える |
| 12月 | 不織布と敷きわら | 霜と霜柱から守る |
| 1月〜2月 | 見回りのみ | 浮いた株を押さえる |
| 3月 | 不織布を外す、土寄せ | 枝の伸びを支える |
| 4月 | 支柱と紐、アブラムシの確認 | 倒伏と虫を防ぐ |
| 5月 | 開花と着莢、雨よけの準備 | 莢を濡らさない |
| 6月上旬 | 株ごと刈って乾燥、脱穀 | 梅雨に入る前に終える |
四月と五月が勝負どころ
四月から五月は、枝が伸びて花が咲き、莢がつくまでが一気に進みます。この二か月で倒伏を防ぎ、アブラムシを抑え、雨から守れば収穫にたどり着けます。逆にここを放っておくと、莢がついても収穫前に傷みます。
花は白か薄紫の小さなもので、咲いてから莢が熟すまで約一か月です。開花した日を控えておくと、収穫日の見当がつき、雨よけを掛ける時期も判断しやすくなります。
- 四月に支柱を立てる
- 草丈四十センチになったころ、株の周りに支柱を立てて紐で囲います。倒れてからでは枝が折れます。
- 新芽のアブラムシを見る
- 週に一度、枝先を見ます。群がっていたら手でこすり落とすか水で流し、増える前に抑えます。
- 開花日を記録する
- 最初の花が咲いた日を控えます。そこから一か月ほどで莢が熟すので、雨よけの準備の目安になります。
六月上旬までに終える
関東の梅雨入りは六月上旬から中旬です。莢が茶色く乾いていれば、少し早くても株ごと刈って軒下で乾かす方が確実です。畑で完全に乾かそうとして雨に当てるのが、いちばんもったいない失敗です。
刈るのは晴れが二日続いたあとの午前中にします。株を逆さに吊るして一週間ほど乾かすと、莢がぱりっとして脱穀しやすくなります。梅雨の湿気の中でも、軒下なら乾かせます。
| 時期 | 株の状態 | すること |
|---|---|---|
| 5月下旬 | 莢が緑から黄色へ | 雨よけを掛ける準備 |
| 6月上旬 | 莢が茶色く乾く | 晴れた日に株ごと刈る |
| 6月中旬 | 梅雨入り | 軒下で乾燥と脱穀 |
莢が茶色くなる前に梅雨が来そうなら、緑の莢を若採りして枝豆のようにゆでて食べる手もあります。
遅れたときの立て直し
ひよこ豆で取り返しがつかないのは、まく時期の遅れだけです。十二月に入ってからまいた株は冬を越せず、四月にまいた株は梅雨に間に合いません。この二つはその年をあきらめる判断が要ります。
それ以外の遅れはたいてい追いつきます。防寒を忘れて葉が傷んでも春に新芽が出ますし、支柱が遅れて倒れても起こして支えれば莢はつきます。まいた時期さえ合っていれば、あとは融通が利きます。
| 場面 | 起きること | 立て直し方 |
|---|---|---|
| まきそびれて12月に | 越冬できず枯れる | 2月下旬の早春まきに切り替える |
| 防寒を忘れた | 葉が傷んで赤くなる | 3月の新芽を待つ。多くは回復する |
| 支柱が遅れて倒れた | 莢が土で汚れる | 起こして紐で囲い、土を寄せる |
| 収穫が梅雨にかかった | 莢の中で豆が傷む | 株ごと刈って軒下で乾かす |
地域でずれる時期の目安
上の表は関東平野の露地が基準です。暖地では秋まきが十一月下旬まででき、収穫も五月中旬から始まるので梅雨に余裕を持って間に合います。寒冷地は越冬が難しく、早春まきの一択になります。
寒冷地は逆に梅雨の影響が小さいので、三月下旬から四月にまいて七月に穫る形も取れます。自分の地域の梅雨入りと初霜の日から逆算するのが、いちばん確かな決め方です。
| 地域 | 種まき | 収穫 |
|---|---|---|
| 暖地(九州・四国南部) | 11月〜11月下旬 | 5月中旬〜6月上旬 |
| 中間地(関東・近畿) | 10月下旬〜11月中旬 | 5月下旬〜6月上旬 |
| 寒冷地(東北・北海道) | 3月下旬〜4月 | 7月〜8月上旬 |
ひよこ豆の栽培に一年を通して使うもの
作業のたびに買い足すより、季節の前にまとめて用意しておくほうが結局は安く済みます。一年を通して使うのは、次の 4 つです。
数量は幅 60cm × 長さ 3m の畝 1 本(約 1.8 ㎡)で計算しています。
- 完熟堆肥探す言葉「完熟堆肥 牛ふん」
- 規格の目安
- 牛ふん堆肥かバーク堆肥。40L 前後の袋で売られています。
- 数量の目安
- 1 ㎡あたり 2〜3kg(およそ 5〜8L)。畝 1 本で 10〜15L。
土の粒をつなぐのは微生物の働きで、その餌になるのが堆肥です。未熟なものは根を傷めるので「完熟」と書かれたものを選びます。
- 苦土石灰探す言葉「苦土石灰 粒状」
- 規格の目安
- 粒状のものが扱いやすく、風のある日でも舞いません。1〜20kg 袋。
- 数量の目安
- 1 ㎡あたり 100〜150g、畝 1 本で 200〜300g。1kg 袋で数畝ぶん。
日本の土は雨で酸性に傾きます。**必要な量は土質で 3 倍ほど違い**、黒ボク土は砂質土よりずっと多く要ります。入れすぎると今度はアルカリ性に寄りすぎるので、pH を測ってから決めます。
- 化成肥料(8-8-8 など)探す言葉「化成肥料 8-8-8」
- 規格の目安
- 窒素・リン酸・カリが同じ比率の粒状。まず 1 袋あればほとんどの野菜に使えます。
- 数量の目安
- 元肥は 1 ㎡あたり 100g、畝 1 本で 150〜200g。追肥は 1 回 1 ㎡あたり 30〜50g。
種類を増やすより、切らさないほうが効きます。作物ごとの正確な量は都道府県が施肥基準として公表しているので、量を詰めたくなったらそちらを見てください。
出典: 農林水産省「都道府県施肥基準等」
- 黒マルチ探す言葉「黒マルチ 95cm」
- 規格の目安
- 幅 95cm、厚さ 0.02mm。株間の決まっている作物は穴あき(株間 30cm・45cm)が楽です。
- 数量の目安
- 畝 1 本(3m)で 4m。50m 巻きなら 10 畝以上。
地温を上げ、雨のはね返りと雑草を抑えます。夏の高温期だけは、地温が上がりすぎるので白黒マルチに替える手もあります。
- 土壌改良材のセット買いは要りません。堆肥と石灰と元肥の 3 つで足ります。
- 連作していない畑なら、土壌消毒剤は要りません。
ひよこ豆の収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はひよこ豆の育て方にまとめています。
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