花が付く枝と付かない枝
かんきつ類は春(三から五月)、夏(六から七月)、秋(八から九月)に枝を伸ばしますが、翌年に花を付けるのは充実した春枝です。夏枝と秋枝は太くとげが多く、実が付きにくい上に樹形を乱すので、剪定ではこの二つを整理します。
枝を見て、伸びた時期を判断するのが剪定の第一歩です。細くて節間が短く、葉が小さめなら春枝、太く長く伸びてとげが目立つなら夏枝か秋枝と見分けます。迷ったら葉の大きさを比べると分かりやすいです。
| 枝の姿 | 伸びた時期 | 扱い |
|---|---|---|
| 細めで節間が短い | 春枝 | 残す。翌年の花が付く |
| 太く長くとげが大きい | 夏枝 | 半分に詰めるか付け根から抜く |
| 秋に伸びて葉が柔らかい | 秋枝 | 冬までに固まらないので抜く |
| 株元や接ぎ木の下から出る | 台芽 | 見つけ次第切る |
シトロンのとげは長さ三センチを超えることがあり、実や葉を傷付けます。剪定のときに実に触れそうなとげは根元から切っておきます。
剪定は三月
かんきつ類は冬に切ると寒さで切り口から枯れ込みます。芽が動く直前の三月上旬から中旬に行い、寒冷地では四月に入ってからにします。切る量は全体の一から二割にとどめ、強く切り過ぎないのが原則です。
若木のうちは切らずに枝を増やすことを優先します。三年目までは枯れ枝と混み枝を抜く程度で、樹形作りは四年目からと考えると、花が付く時期が早まります。
- 枯れ枝と内向きの枝を抜く
- 枯れた枝、内側に向かう枝、交差する枝を付け根から切ります。中に光が入ると春枝が充実します。
- 夏枝と秋枝を整理する
- 太く伸びた夏枝は半分の長さに詰め、秋枝は付け根から抜きます。骨格として使いたい夏枝だけ残します。
- 混み合った春枝を間引く
- 同じ場所から三本以上出ている春枝は、いちばん充実したものを残して間引きます。残した枝の先は切りません。
- 太い切り口に癒合剤を塗る
- 直径一センチ以上の切り口は乾きと病気の入り口になります。癒合剤を塗って保護します。
とげが刺さると化膿することがあります。厚手の革手袋と長袖で作業し、切った枝は放置せずすぐに片付けます。
鉢植えは高さを抑える仕立て
鉢植えは高さ一メートル二十センチから一メートル五十センチに保つと、冬の取り込みと収穫が楽になります。主枝を三本ほどに決めて横に広げる開心形(幹の中心を空けて杯のように広げる形)にすると、低くても日が全体に入ります。
主枝を決めるのは植えて三から四年目、幹の太さが親指ほどになったころが目安です。それより早く決めると、主枝候補が細くて実の重さに耐えられません。三本の主枝が同じ勢いになるよう、強い枝ほど横に寝かせ、弱い枝は立て気味に誘引して揃えます。
- 主枝を三本選ぶ
- 幹の高さ四十センチ前後から出ている太い枝を三方向に一本ずつ選び、それ以外の太い枝は付け根から切ります。
- 主枝の先を軽く止める
- 主枝が伸び過ぎたら先端を一割ほど詰めます。そこから出る枝が次の年の結果枝になります。
- 上に伸びる枝を横に誘引
- 真上に伸びる枝はひもで軽く横に引いて固定します。横向きになると勢いが落ち着き、花が付きやすくなります。
鉢植えで一メートル五十センチを超えたら、三月に主枝の先を横向きの枝のところで切り戻します。一度に低くせず、二年に分けて下げると花の付きが落ちません。
夏の管理は夏枝を止めるだけ
六月から七月に伸びる夏枝は、放っておくと一メートル近くになり、実に養分が回らなくなります。長さ二十センチほど伸びた時点で先を摘む程度にとどめ、大きく切るのは避けます。実に触れるとげも同時に切ります。
- 六月に夏枝の先を摘む
- 勢いよく伸びた枝の先を指で摘みます。摘心(伸びる先端を摘んで枝を止めること)で養分が実に回ります。
- 台芽を抜く
- 接ぎ木部分より下から出る芽は、養分を奪うだけなので夏の間も見つけ次第かき取ります。
樹齢で切り方を変える
若木と成木では狙いが違います。若木で切り過ぎると花が数年遅れ、成木で放任すると内側が枯れ上がって実が外側だけになります。自分の樹がどの段階かを確かめてから切ります。
| 樹齢 | 剪定の狙い | 切る量の目安 |
|---|---|---|
| 一から三年 | 枝を増やして樹を作る | 枯れ枝と台芽だけ |
| 四から六年 | 主枝を決め結果枝を増やす | 夏枝の整理と混み枝の間引き |
| 七年以上 | 内側の枝を更新する | 古い枝を毎年一から二本抜く |
樹齢が分からない中古の鉢や譲り受けた株は、幹の太さと枝の混み具合で判断します。幹が親指より細ければ若木の扱い、内側に枯れ枝が目立てば成木の更新剪定に入ります。
切った後にうまくいかないときの手当て
切った翌年に花が減ったり枝が枯れたりしたら、切った時期と量を疑います。かんきつは回復に時間がかかるので、翌年は切る量を減らして様子を見るのが立て直しの基本です。
| 症状 | 考えられる原因 | 戻し方 |
|---|---|---|
| 切り口から枝が枯れ下がる | 冬に切った、癒合剤を塗らなかった | 生きた部分まで切り戻し癒合剤を塗る |
| 花が減った | 春枝の先を詰めた | 翌年は春枝に触らない |
| 太い枝ばかり伸びる | 強く切り過ぎた | 夏枝を摘んで抜く剪定に戻す |
| 内側の葉が落ちる | 枝が混んで光が入らない | 三月に内向きの枝を抜く |
シトロンの剪定に使うもの
剪定でいちばん多い失敗は、切れない道具で無理に切ることです。切り口が潰れると、そこから枯れ込みます。
- 剪定ばさみ探す言葉「剪定ばさみ バイパス 果樹」
- 規格の目安
- 刃渡り 5〜6cm、直径 2cm まで。バイパス式。手の大きさに合ったものを。
生きた枝を切るならバイパス式です。アンビル式は枝を潰すので、切り口がふさがるまでに時間がかかります。
- 剪定のこぎり探す言葉「剪定のこぎり 折込 24cm 生木」
- 規格の目安
- 刃渡り 24cm 前後、生木用の粗い刃。折込式は持ち運べます。
直径 2cm を超えたらのこぎりに切り替えます。太い枝は下側に受け口を入れてから切ると、樹皮が裂けません。
- 癒合剤探す言葉「癒合剤 トップジン 剪定」
- 規格の目安
- ペースト状で刷毛の付いたもの。
直径 3cm を超える切り口に塗ります。乾燥と雨から切り口を守るためで、小さい切り口には要りません。
- 消毒用アルコール探す言葉「消毒用アルコール スプレー」
- 規格の目安
- 濃度 70〜80%。スプレー式。
木を変えるたびに刃を拭きます。切り口から入る病気は、道具が運ぶことが少なくありません。
- 直径 3cm 以下の切り口には癒合剤は要りません。塗りすぎると内側が乾かないこともあります。
- 電動の剪定ばさみは、木が何本もあるようになってからで十分です。
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