一年の全体像
シトロンの一年は、三月の剪定と植え替えから始まり、五月の開花、七月の摘果、十一月の収穫と取り込みで終わります。寒さ対策が他の果樹より重く、十一月から三月の置き場所が翌年の収穫を決めます。
寒冷地では春の作業を二から三週間遅らせ、秋の取り込みを二週間早めます。暖地では逆に、地植えなら取り込みが不要になることもあります。
| 月 | 主な作業 | 目安 |
|---|---|---|
| 1月 | 室内で管理 | 水は十日に一回、霧吹き |
| 2月 | 室内で管理 | 葉が落ちても枝が緑なら待つ |
| 3月 | 剪定・植え替え・春肥 | 芽が動く直前に済ませる |
| 4月 | 屋外へ出す | 霜の心配がなくなってから |
| 5月 | 開花・受粉 | 白い花が咲く、筆で受粉 |
| 6月 | 追肥・夏枝を摘む | 生理落果は待つ |
| 7月 | 摘果・敷き材 | 葉三十枚に実一つ |
| 8月 | 水やり | 朝夕二回、水切れ厳禁 |
| 9月 | 実の肥大 | 台風前に鉢を避難 |
| 10月 | 色づき始め | お礼肥を少量 |
| 11月 | 収穫・取り込み | 最低気温五度を切る前に |
| 12月 | 室内で管理 | 南の窓辺で日に当てる |
冬 十二月から二月
室内の南向きの窓辺で日に当て、水は控えめにします。暖房の風が直接当たると葉が乾いて落ちるので、置き場所を選び、週に二から三回は葉に霧吹きをします。肥料と剪定はしません。
- 日中は窓辺、夜は窓から離す
- 窓際は夜に冷えます。夜だけ部屋の中央へ寄せるか、窓との間に段ボールを立てて冷気を遮ります。
- 葉の様子で水を決める
- 葉がわずかに丸まってきたら水が足りない合図です。土が乾いてから数日後に、鉢底から流れるまで与えます。
一月から二月に葉が数枚ずつ落ちるのは、室内の乾燥と光不足によるもので、枝が緑なら心配ありません。落ちた葉を放置するとカイガラムシが隠れるので、鉢の上の落ち葉はこまめに取り除きます。
春 三月から五月
三月に剪定と植え替え、春肥を済ませ、霜の心配がなくなる四月に屋外へ出します。急に直射日光に当てると葉が焼けるので、一週間ほど明るい日陰で慣らします。五月に白い花が咲き、強い香りが漂います。
花はたくさん咲きますが、鉢植えでは全部を実にする必要はありません。五月の開花中に筆で花の中心を軽くなでて受粉を助け、六月の生理落果を待ってから残す実を決めます。開花中は水切れさせると花が落ちるので、この時期の水やりは特に気を付けます。
| 月 | 確認すること | 対応 |
|---|---|---|
| 3月 | 芽の動き、根詰まり | 剪定と植え替え、春肥 |
| 4月 | 最低気温が五度以上か | 屋外へ出し一週間慣らす |
| 5月 | つぼみと花 | 筆で受粉、アブラムシを見る |
初夏から夏 六月から八月
実が付いて大きくなる時期です。六月の生理落果が落ち着いたら七月に摘果し、敷き材で乾きを抑えます。夏枝は伸び始めに先を摘みます。八月は水切れが最大の失敗なので朝夕の水やりを欠かしません。
- 六月に追肥(育ちの途中で足す肥料)
- 実が付き始めたら少量の肥料を鉢の縁に置きます。同時に伸び始めた夏枝の先を摘みます。
- 七月に摘果
- 葉三十枚に実一つを目安に残します。傷のある実、枝の内側で日が当たらない実、二つ並んで付いた実の小さいほうから落とし、若木は全部落として樹を育てます。
- 八月は水を切らさない
- 朝夕に鉢底から流れるまで与えます。留守にするときは日陰に移し、受け皿に浅く水を張ります。
七月から八月に葉が丸まって垂れていたら水切れの合図です。鉢を日陰へ移し、鉢底から流れるまで水を与えると半日で戻ります。戻らないときは根が傷んでいるので、水を減らして様子を見ます。
秋 九月から十一月
実が大きくなり、十月から黄色く色づきます。台風の前に鉢を壁際へ移し、倒れないよう固定します。収穫は十一月から十二月ですが、最低気温が五度を切る前に室内へ取り込む必要があり、実を付けたまま取り込んで室内で熟させることもできます。
- 九月に台風対策
- 鉢を壁際に寄せて支柱を立て、幹をひもで固定します。実が枝に当たって傷まないよう周りのとげを切っておき、風が強い日は鉢ごと横に寝かせても構いません。
- 十月にお礼肥
- 緩効性の肥料を少量、鉢の縁に沿って施します。実の色づきと来年の花芽の充実を助けます。量が多いと秋枝が伸びて冬に傷むので、春肥の半分ほどにとどめます。
- 十一月に取り込み
- 最低気温が五度を切る予報が出たら室内へ。実が緑でも取り込み、室内で黄色くなるのを待てます。
やり損ねた月の立て直し方
作業を逃しても、樹の状態を見て今できることを選べば取り返せます。無理に時期外れに行うより翌年に回したほうが樹は傷みません。
特に取り込みの遅れはその年の実だけでなく翌年の花にも響きます。一度霜に当てて葉を落とした株は、春の芽出しが一か月ほど遅れると考えて、翌年は最低気温七度を目安に早めに取り込みます。
| 逃した作業 | 今からできること | 諦める判断 |
|---|---|---|
| 三月の剪定 | 五月までなら枯れ枝と混み枝だけ抜く | 六月以降は翌春まで待つ |
| 春肥 | 五月中なら液肥で補う | 六月の追肥に合流 |
| 摘果 | 八月中なら小さい実を落とす | 色づき始めたらそのまま |
| 取り込み | 霜に当たったら室内で様子を見る | 枝が黒く枯れたら春に切り戻す |
シトロンの栽培に一年を通して使うもの
木の作業は冬と夏に固まります。冬に剪定と寒肥、生育期に袋かけと防鳥。この 4 つを季節の前にそろえておきます。
数量は植えて数年たった木 1 本を単位にしています。
- 剪定ばさみ探す言葉「剪定ばさみ 果樹」
- 規格の目安
- 刃渡り 5〜6cm、直径 2cm 程度まで切れるもの。バイパス式(刃が交差するもの)。
アンビル式は枝を潰します。生きた枝を切るならバイパス式で、切り口が滑らかなほど早くふさがります。
- 剪定のこぎり探す言葉「剪定のこぎり 折込 24cm」
- 規格の目安
- 刃渡り 24cm 前後の折込式。生木用の刃(目の粗いもの)を選びます。
直径 2cm を超える枝は、はさみで切ろうとすると枝も刃も傷めます。工作用ののこぎりは生木で目が詰まります。
- 有機質肥料(寒肥用)探す言葉「油かす 骨粉 有機質肥料」
- 規格の目安
- 油かすと骨粉の配合肥料。5〜10kg 袋。
- 数量の目安
- 成木 1 本に 1〜2kg。樹冠(枝の広がり)の外周に沿って埋めます。
冬に入れて、春に効き始めるのを狙う肥料です。ゆっくり分解するので、休眠期のうちに入れておきます。樹種と樹齢で必要な量は変わるので、詰めたいときは施肥基準を見てください。
出典: 農林水産省「施肥基準 — 果樹」
- 防鳥ネット探す言葉「防鳥ネット 目合い25mm」
- 規格の目安
- 目合い 20〜25mm。小鳥まで防ぐなら 15mm。
- 数量の目安
- 高さ 2m の木 1 本を覆うのに 4m × 4m 程度。
色づく直前にかけます。目合いが大きすぎると小鳥が入り、細かすぎると風で煽られて枝を傷めます。
- 高枝切りばさみは、木が背を越してからで十分です。低く仕立てるならずっと不要です。
- チェーンソーは家庭の果樹には要りません。剪定のこぎりで足ります。
シトロンの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はシトロンの育て方にまとめています。
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