どちらを選ぶかを先に決める
休眠法は球根だけにして夏を乗り切る方法で、失敗が少ない代わりに秋の立ち上がりが遅く、花数も落ちます。非休眠法は葉を残したまま越すので株が充実し秋に早く咲きますが、暑さで腐らせる危険があります。
判断の基準は温度です。夏に三十度を超える場所しか用意できないなら休眠法、風の通る北側の日陰や半日陰を確保できるなら非休眠法が向きます。途中での方針変更はたいていうまくいきません。
| 夏の場面 | 向く方法 | 夏の管理 |
|---|---|---|
| 置き場所が暑い、手をかけられない | 休眠法 | 水も肥料も断ち日陰に置く |
| 涼しい日陰がある、株を大きくしたい | 非休眠法 | 土が乾いたら水を与え続ける |
休眠法の手順
- 四月下旬から水を減らす
- 花数が減ったら水やりの間隔を少しずつ空け、肥料を止めます。急に断つのではなく、一か月ほどかけて乾いた状態へ移していきます。
- 六月に葉を枯らす
- 葉が黄色くなって倒れたら、ねじってすべて抜きます。球根だけになった鉢を、雨の当たらない風通しのよい日陰へ移します。
- 七月と八月は放置する
- 水も肥料も一切与えません。鉢を横に倒しておくと雨が入らず確実です。球根が少ししぼんで軽くなるのは正常な反応です。
- 八月下旬に起こす
- 球根を掘り上げ、古い土を落として根を半分ほど切り詰め、新しい土へ植え直します。ここから水やりを再開します。
休眠中に水を与えると球根が腐ります。心配になって足すのが最大の失敗なので、目の届かない場所に置きます。
非休眠法の手順
- 花が終わっても水を続ける
- 五月以降も土が乾いたら株元にたっぷり与えます。受け皿のため水は高温になって根を傷めるので、この時期は底面給水をやめます。
- 涼しい日陰へ移す
- 直射の当たらない北側の軒下や、風が抜ける木陰に置きます。地面に直接置かず棚やれんがの上に上げると、鉢の中の温度が下がります。
- 薄い液肥を続ける
- 二週間に一度、開花期より薄めた液体肥料を与えます。濃い肥料は暑さで弱った根に効きすぎて、かえって株を傷めます。
- 八月下旬に植え替える
- 根鉢を大きく崩さず、一回り大きな鉢へ移します。葉が残っているぶん根も生きているので、切るのは黒く傷んだ根だけにします。
途中で葉が全部枯れたら、そこで休眠法に切り替えます。水を止めて球根を乾かし、九月の植え替えを待ちます。
秋の再開でつまずかない
- 九月上旬に植え替える
- 休眠株も非休眠株も、植え替えの適期は九月上旬から中旬です。気温が下がり始めるこの時期に根を作らせると、十一月に花茎が上がります。
- 球根を浅く植える
- 球根の三分の一から半分を土の上に出して植えます。埋めると新芽が出られず、頂部に水がたまって腐りの入口になります。
- 芽が動くまで半日陰
- 植え替えの直後は半日陰に置き、新芽が見えてから日なたへ移します。いきなり直射に当てると、根がまだ働かず球根が焼けます。
- 肥料は芽を見てから
- 新しい葉が数枚展開してから液体肥料を再開します。根が動く前に与えると土の中の濃度が上がり、傷んだ根をさらに痛めます。
秋の植え替えを一度飛ばしても枯れはしませんが、根が古い土で回りきって花数が半分ほどに落ちます。
用土と鉢の選び方
市販の草花用の培養土でも育ちますが、夏を越した球根には水はけを優先した配合が向きます。鉢は素焼きなど乾きやすい材質を選び、深さのあるものより横に広いものが根の張り方に合います。
| 材料 | 割合 | 狙い |
|---|---|---|
| 赤玉土の小粒 | 四 | 保水と保肥 |
| 腐葉土 | 四 | 通気と有機分 |
| 日向土の細粒 | 二 | 過湿を逃がす |
鉢の大きさは球根の直径の三倍ほどが目安です。大きすぎる鉢は土が乾かず、夏に根を傷める原因になります。
夏越しに失敗する典型
- 涼しい場所の勘違い
- 締め切った室内は夜も温度が下がらず、屋外の日陰より高温になります。日陰でも風の通る屋外のほうが、株にとっては安全です。
- 休眠株に水をやる
- しぼんだ球根を見て水を与えると、吸う根がないため鉢の中に残ります。滞った水がそのまま球根を腐らせる引き金になります。
- 植え替えが遅れる
- 十月以降の植え替えは、根が張る前に寒さが来ます。その年の冬はほとんど咲かないので、九月のうちに済ませます。
- 球根が柔らかい
- 押して弾力がなく指が沈むようなら、中まで腐っています。この状態からの回復は望めないので、次の株に切り替える判断をします。
夏に葉が減るのは異常ではありません。球根が硬く締まっていれば、そのまま秋に立ち上がってきます。
植え替えの実際の手順
- 鉢から静かに抜く
- 球根の縁を両手で支え、鉢を傾けて抜きます。葉柄をつかんで引くと付け根が裂けるので、必ず球根そのものを持って外します。
- 古い土を落とす
- 休眠株は土をすべて落とし、根を半分ほどの長さに切り詰めます。非休眠株は根鉢の外側を軽くほぐす程度にとどめ、細い根を残します。
- 新しい土を入れる
- 鉢底に大粒の軽石を敷き、その上に配合した土を入れます。球根を置いてから隙間に土を落とし、棒でつつきながら空洞をなくします。
- 深さを確かめる
- 球根の三分の一から半分が土の上に出る高さにします。植えた直後に水を与えると土が沈むので、翌日にもう一度高さを見て土を足します。
植え替えに使う鉢と土は新しいものにします。前の株の根や病原が残った土は、腐りの再発につながります。
シクラメンの冬越しに使うもの
寒さそのものより、凍って溶けるのを繰り返すことで傷みます。土を凍らせないことが目的です。
- バーク堆肥・腐葉土(マルチング用)探す言葉「バーク堆肥 マルチング」
- 規格の目安
- 40L 前後の袋。株元に 3〜5cm の厚さで敷きます。
- 数量の目安
- 株元の直径 40cm 分で 5L 前後。
土に布団をかけるのと同じです。春には鋤き込めば土壌改良材にもなり、片付けが要りません。
- 不織布(べたがけ用)探す言葉「不織布 防寒 べたがけ」
- 規格の目安
- 目付 20〜30g/㎡。厚いほど保温しますが、光も遮ります。
かけたまま水をやれて、日中の光も通します。ビニールと違い、内側が蒸れません。
- 鉢用の断熱材探す言葉「発泡スチロール 鉢 保温」
- 規格の目安
- 発泡スチロールの箱か、鉢を包むプチプチ。
鉢は地面より先に凍ります。地面に直に置くか、鉢ごと包むかで越冬できるかが変わります。
- 球根の保存ネット探す言葉「球根 保存 ネット袋」
- 規格の目安
- 目の粗いネット袋。
寒さに弱い球根は掘り上げて越冬させます。風の通るところに吊るし、密閉しません。
- 耐寒性のある宿根草は、地上部が枯れても根は生きています。掘り上げずに株元を覆うだけで足ります。
- ビニールで覆いっぱなしにすると、晴れた日に蒸れます。不織布のほうが失敗しません。
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