水は株元へ、球根の頭には落とさない
シクラメンの水やりで最初に決まるのは量ではなく落とす場所です。球根の頂部には成長点と次のつぼみが集まっており、そこに水がたまると灰色かび病や腐りの入り口になります。鉢の縁から静かに注ぎ、球根には触れさせません。
葉と花に水をかけないのも同じ理由です。葉柄と花茎が球根の上で密集していて風が抜けにくく、濡れたまま夜を迎えると株の内側が乾きません。冬の室内は空気が動かないので、朝のうちに与えて日中に表面を乾かします。
本文に入る前に、自分の鉢がどれかを決めてください。底面給水鉢か、受け皿つきの普通の鉢か、外側にもう一枚かぶせた贈答鉢かで、水を落とす場所も見るところも変わります。
| 鉢のタイプ | 水の与え方 | まず見るところ |
|---|---|---|
| 底面給水鉢 | 受け皿の水位を八分目に保つ | 水位計の下限と上鉢の湿り |
| 受け皿つきの普通鉢 | 株元へ与え、余りは必ず捨てる | 鉢の重さと表土の乾き |
| 外鉢に入った贈答鉢 | 外鉢から出して株元へ与える | 外鉢の底にたまった水 |
上から水をかけてしまったときは、紙で球根の頭に触れて吸い取り、その日は窓辺に置いて風を当てておきます。
底面給水鉢の正しい使い方
- 受け皿の水位を見る
- 給水部の水は八分目までにとどめ、常に満水にしません。水位計が付いている鉢では、下限を割ってから足すほうが根が水を探して深く張ります。
- 上鉢と水の間を切らさない
- 底面給水鉢は不織布の芯や底の突起で水を吸い上げます。内鉢を持ち上げて芯が水に届いているか確かめ、届いていなければ水位を上げます。
- 月に一度は上から流す
- 底面給水だけを続けると、肥料の塩類が土の表面に白く浮きます。月に一度は株元からたっぷり与えて鉢底から流し、たまった分を洗い出します。
- 受け皿の水を入れ替える
- ため水は数日で濁り、藻や雑菌の温床になります。週に一度は残りを捨ててから新しい水を入れ、受け皿の内側のぬめりも洗い落とします。
買った鉢が底面給水かどうかは、持ち上げて内鉢と外鉢の二重になっているかで判断できます。
底面給水鉢が向かないとき
| 状況 | 起きること | 対処 |
|---|---|---|
| 室温が10℃を下回る | 水温が下がり根が吸わない | 受け皿を空にして株元給水へ |
| 株が小さく葉が少ない | 吸い上げが追いつかず常時過湿 | 水位を下限で管理し乾く間をつくる |
| 夏の非休眠管理 | ため水が高温になり根が傷む | 受け皿は使わず乾いたら株元へ |
| 植え替えの直後 | 新しい根が届かず表土だけ湿る | 二週間は株元からの水やりに戻す |
底面給水は手を抜くための仕組みではなく、球根と葉を濡らさないための仕組みだと考えると判断がぶれません。
回数の目安は温度で決まる
回数を暦で決めないでください。同じ十二月でも、暖房の効いた居間と締め切った玄関では乾き方が三倍近く違います。鉢を持ち上げて重さを覚え、軽くなってから与えるほうが確実です。
| 置き場所の温度 | 水やりの間隔 | 見るところ |
|---|---|---|
| 15〜20℃の室内 | 三日から四日に一度 | 鉢が軽く土の表面が白い |
| 10〜15℃の窓辺 | 五日から一週間に一度 | 朝でも葉が張っているか |
| 5〜10℃の玄関や軒下 | 一週間から十日に一度 | 指を挿して中の湿りを確認 |
| 夏の非休眠管理 | 土が乾いてから | 葉の色と鉢の重さ |
過湿になった株の立て直し
- 症状を見分ける
- 葉が黄色くなって垂れ、土がいつまでも湿っているなら過湿です。水切れの萎れは水をやれば数時間で戻りますが、根の傷みによる萎れは戻りません。
- まず受け皿を空にする
- ため水をすべて捨て、鉢を風の通る明るい場所へ移します。表土が乾くまで水を足さず、株元の湿り気を指の先で確かめながら待ちます。
- 傷んだ葉柄を抜く
- 付け根が茶色く柔らかい葉柄は残さずねじって抜きます。腐りは葉柄をつたって球根へ進むため、迷ったら早めに抜くほうが被害が小さく済みます。
- 戻らなければ植え替える
- 一週間たっても葉が起きないときは鉢から抜き、黒く崩れた根を切って新しい土へ浅く植えます。球根が柔らかければ回復は望めません。
冬の植え替えは株に負担がかかります。見込みの薄い株だけに限り、健全な株は九月まで待ちます。
水の温度と与える時間帯
- 朝のうちに与える
- 夜の水やりは鉢の中の温度を下げ、濡れた株元が朝まで乾きません。午前中に与えれば日中の光と空気で表面が乾き、病気の入る余地が減ります。
- 冷たい水を避ける
- 真冬に蛇口から出したままの水を与えると、根が締まって吸水が止まります。室内にくんで半日置き、部屋の温度になじませてから使います。
- 液体肥料は水やりと兼ねる
- 開花期の液体肥料は千倍から二千倍に薄め、週に一度の水やりに替えて与えます。乾ききった土に濃い液を入れると根が傷むので順序に注意します。
受け皿に肥料入りの水をためたままにすると濃度が上がります。液体肥料は株元から与え、余りは捨てます。
鉢と用土で乾き方が変わる
- 素焼き鉢は早く乾く
- 側面から水が抜けるため、同じ土でもプラスチック鉢より一日から二日早く乾きます。過湿を嫌うシクラメンには向きますが、間隔は短めに見ます。
- 化粧鉢は乾きにくい
- 贈答用の鉢は外側にもう一枚かぶせてあることが多く、内側に水がたまります。受け皿にたまった水は必ず捨て、内鉢を持ち上げて底を確かめます。
- 用土に軽石を混ぜる
- 赤玉土と腐葉土だけでは冬に乾きにくくなります。日向土などの細粒を二割ほど混ぜると、たっぷり与えても鉢の中に水が残りません。
- 鉢が大きすぎないか
- 球根の直径の三倍を超える鉢では、根の届かない部分の土がいつまでも湿ります。植え替えのときに鉢を上げすぎないことが、過湿の予防になります。
土の表面にこけが生えていたら乾きが遅すぎる合図です。鉢か用土か置き場所のどれかを見直します。
シクラメンの水やりに使うもの
水やりの失敗は、回数ではなく「乾いていないのに与えた」ことで起きます。判断する道具と、与える道具に分けて考えます。
- ジョウロ(ハス口付き)探す言葉「ジョウロ 5L ハス口 外せる」
- 規格の目安
- 容量 4〜5L。ハス口の外せるものを選びます。
外して株元に注ぐと、葉や花を濡らさずに土だけへ届きます。病気の広がり方が変わります。
- 水分計(土壌水分計)探す言葉「土壌水分計 鉢植え」
- 規格の目安
- 土に挿して読む針式。乾き・適・湿の 3 段階が読めれば十分です。
表面が乾いていても中は湿っていることがあります。何日おきと決めるより、測って決めるほうが確実です。
- 底面給水鉢・受け皿探す言葉「底面給水 プランター」
- 規格の目安
- 水をためる部分が下にある鉢か、深めの受け皿。
留守にする日があるとき、乾きの速い夏の鉢を持たせられます。ただし常時ためたままにはしません。
- 自動潅水装置は、鉢の数が増えてからで十分です。
- 受け皿に水をためたままにするのは、根を傷める原因になります。屋外では受け皿を使わない選択もあります。
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