警戒する時期を先に知る
シクラメンの被害は、害虫よりも環境から始まるものが大半です。空気が動かない、枯れた花や葉が株の中に残る、球根の頭が濡れる。この三つが重なった鉢では、ほぼ必ず何かが出ます。
| 時期 | 警戒するもの | 引き金 |
|---|---|---|
| 11月〜2月 | 灰色かび病 | 低温多湿と枯れ物の放置 |
| 12月〜3月 | ハダニ | 暖房による乾燥 |
| 3月〜5月 | アザミウマ | 気温の上昇と花への侵入 |
| 6月〜8月 | 球根の腐り、軟腐病 | 高温と過湿 |
灰色かび病
- 見つけ方
- 花びらに水がしみたような小さな斑点が出て、やがて灰色のかびに覆われます。葉柄の付け根が茶色く柔らかくなるのも同じ病気です。
- 出やすい条件
- 気温十五度前後で湿度が高く、風が通らない状態です。冬の締め切った室内は条件がそろいやすく、日中に一度換気するだけで発生が減ります。
- 出たときの処置
- 傷んだ花と葉を根元からねじって抜き、鉢の外へ持ち出します。株の中で切ると胞子が飛ぶので、そっとつまんで運び出します。
- 広げない工夫
- 枯れ物を土の上に落とさない、水を上からかけない、鉢と鉢を離す。この三つを守るだけで、再発の多くは止まります。
花に水がかかったまま夜を越すのが最も危険です。水やりは午前中に、株元だけを狙って行います。
球根と株元の腐り
- 見分ける
- 葉が一斉に垂れ、球根の際が黒く柔らかくなります。指で押して弾力がなければ内部まで進んでおり、においが出ることもあります。
- 原因は深植えと過湿
- 球根を土に埋める、受け皿の水を切らさない、上から水をかける。この三つが重なると、頂部から腐りが入っていきます。
- 進行を止める
- 傷んだ葉柄をすべて抜き、鉢から抜いて黒い根を切り、乾いた新しい土へ浅く植え直します。植え直して数日は水を控えます。
- 助からない場合
- 球根の半分以上が柔らかいときは回復しません。使った土と鉢は洗って日に当てて乾かし、同じ土を次の株に回さないようにします。
球根の頂部は常に土の上に出しておきます。それだけで、腐りの入り口が大きく減ります。
ハダニとアザミウマ
- ハダニの兆候
- 葉の裏に細かい点が集まり、葉色が白くかすれます。暖房で乾いた室内に出やすく、葉の裏へ霧吹きで水をかけるだけでも増殖を抑えられます。
- アザミウマの兆候
- 花びらに細い白い筋やかすり傷が入り、つぼみが開かずに傷みます。花の内側に潜むので、傷んだ花ごと抜いて鉢の外で処分します。
- ホコリダニの兆候
- 新葉が縮れて硬くなり、つぼみが変形します。肉眼では見えず薬もかかりにくいため、被害が広がった株は処分するほうが確実です。
- 早く見つける
- 週に一度、花がら摘みのついでに葉の裏と新芽を見ます。数が少ないうちなら、洗い流すか摘み取るだけで収まります。
新しい鉢を買ったら、一、二週間は手持ちの株と離して置きます。持ち込みを断つのが最も効く予防です。
生理障害から原因を切り分ける
- 土の湿りを先に見る
- 下葉の黄変は過湿でも肥料切れでも起きます。指を土に入れて湿っていれば過湿、乾いていれば肥料切れと切り分けます。
- 置き場所の温度を測る
- 昼が二十度を超え、夜も十五度を下回らない場所ではつぼみが止まります。温度計を鉢のそばに置いて確かめます。
- 一鉢か全部かを数える
- 同じ室内の株がそろって同じ症状なら、原因は環境です。一鉢だけなら、その鉢の水のやり方か植え方に理由があります。
- 直したら二週間待つ
- 環境を直しても、いま開いている花や葉は戻りません。次に上がるつぼみの姿を見て、手当てが効いたかを判断します。
| 症状 | 主な原因 | 打つ手 |
|---|---|---|
| 葉ばかり茂って咲かない | 高温と窒素過多 | 涼しい場所へ移し肥料を薄める |
| 花茎が伸びて倒れる | 光不足 | 明るい窓辺へ、葉組みで光を入れる |
| 葉の縁が茶色く縮れる | 暖房の風と乾燥 | 吹き出しの正面から外す |
| 下葉から黄変が進む | 過湿または肥料切れ | 土の湿りを確かめてから判断する |
症状が出てから直しても、その花は戻りません。次に上がるつぼみで判断するため、二、三週間は待ちます。
予防の設計
- 風の通る場所に置く
- 病気の大半は空気が止まることで起きます。窓辺に置き、昼のうちに一度は室内の空気を入れ替える習慣をつけます。
- 枯れ物を残さない
- 花がら、黄葉、抜いた茎の切れ端を株の中や土の上に残しません。週に二、三回の見回りで十分に間に合います。
- 上から水をかけない
- 球根と葉と花を濡らさないだけで、灰色かび病と腐りに必要な条件がそろわなくなります。水は株元へ静かに注ぎます。
- 鉢を詰め込まない
- 鉢を並べるときは、葉が触れ合わない間隔を空けます。触れ合った葉の間は乾かず、そこから傷みが広がります。
薬に頼る前に、置き場所と枯れ物の始末を直します。この二つで防げる被害が全体の大半を占めます。
薬に頼る前と後
- まず環境を直す
- 風が通らない、枯れ物が残る、上から水がかかる。この三つを直さずに薬だけ使っても、同じ被害が数週間で戻ってきます。
- 対象を確かめる
- 病気か害虫か、害虫ならどれかで使うものが変わります。葉の裏の点はハダニ、花の筋はアザミウマ、灰色のかびは病気と切り分けてから選びます。
- 花にかけない
- 薬液が花びらにかかるとしみが残り、そのまま傷みます。散布は花の少ない時期を選び、葉の裏と株元を中心にかけます。
- 効かない相手を知る
- ホコリダニは新葉の奥に潜むため、表面への散布ではほとんど届きません。変形した新葉が続くときは、株ごと処分する判断が要ります。
室内で使うものは、屋内での使用が想定されたものに限ります。使用の可否と間隔は容器の表示に従います。
シクラメンの長く咲かせるコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はシクラメンの育て方にまとめています。
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