苗の姿と季節で植え方を決める
クチナシは根が細く、掘り上げると回復に時間がかかる木です。園芸店ではポット苗、開花鉢、大きめの根巻き苗が出回りますが、どれも根鉢を崩さないのが原則で、時期によって扱いが変わります。
植え付けの適期は新芽が動く前の三月下旬から四月と、梅雨の湿り気を使える六月です。真夏と真冬は根が動かず、植えても水を吸えずに葉を落としやすいので、鉢のまま置いて適期を待ちます。
| 苗の種類 | 植える時期の目安 | 扱い方 |
|---|---|---|
| ポット苗 | 3月下旬〜4月、6月 | 根鉢を崩さず、底の巻き根だけ軽くほぐす |
| 開花中の鉢 | 花が終わってから | 花の間は鉢のまま楽しみ、花後に植える |
| 根巻き苗 | 3月下旬〜4月 | 麻布は外さず、上部の紐だけ切って植える |
| 庭の株の移植 | 3月下旬〜4月上旬 | 前年に根回しをし、できるだけ大きく掘る |
葉に艶があり、枝の下のほうまで葉が残っている苗を選びます。下葉が落ちて枝だけの苗は根が傷んでいることが多いです。
置き場所は半日陰で風の当たらない所
花つきには日光が要りますが、真夏の西日は葉を焼き、乾いた風は冬に葉を茶色くします。午前中に日が当たり、午後は建物や落葉樹の陰になる場所が理想です。壁際の吹きだまりのように冬の北風を避けられる所を選びます。
香りを楽しむなら玄関脇や窓の近くに植えると、六月の夕方に香りが漂います。ただし通路に近すぎると剪定で枝を詰めることになり、花芽を落としがちなので、株の幅を一メートル前後と見込んで距離を取ります。
- 日の当たり方を一日見る
- 候補の場所で朝と昼と夕方の三回、日が当たっているか確かめます。午前の日が二〜三時間あれば花は咲き、夕方の直射がなければ葉焼けを避けられます。
- 冬の風を確かめる
- 北や西から風が抜ける場所は避けます。冬に葉が乾いて茶色く縮れる株のほとんどは、寒さより風で傷んでいます。
- 水はけを見る
- 穴を掘って水を入れ、一時間で引くなら合格です。翌朝まで残るなら、腐葉土と軽石で土を入れ替えるか、盛り土をして高く植えます。
土は酸性寄りに整える
クチナシは酸性寄りの土を好み、石灰を多く入れた土やコンクリートの際では新葉が黄色くなりやすくなります。植え穴の土に苦土石灰は入れず、腐葉土かピートモスを三割ほど混ぜると、水もちと酸度の両方が整います。
鉢なら市販の花木用の土に鹿沼土を二割混ぜるか、ブルーベリー用の土をそのまま使えます。粘土質の庭では穴を広く掘り、掘り上げた土と腐葉土を半々にして戻します。
- 穴は根鉢の二倍
- 直径は根鉢の二倍、深さは根鉢と同じか少し浅めに掘ります。深く植えると幹の根元が蒸れ、株が弱ります。
- 元肥は穴の底に
- 元肥(植えるときにあらかじめ入れておく肥料)は緩効性のものを穴の底に混ぜ、上に土をかぶせて根に直接触れないようにします。
- 根鉢は崩さない
- ポットから抜いたら底の巻き根だけを軽くほぐし、側面は触りません。細い根が切れると、その分だけ葉を落として釣り合いを取ろうとします。
- 水極めで土を密着させる
- 土を半分戻したところで水をたっぷり注ぎ、泥水で根と土の隙間を埋めます。水が引いたら残りの土を戻し、株元を軽く押さえます。
鉢植えは根鉢より一回り、直径で三センチほど大きい鉢に植えます。いきなり大鉢に入れると土が乾かず根腐れの原因になります。
植え付け直後の水と日よけ
植えた年の夏までは根が張りきっておらず、乾かすと蕾を落とします。土の表面が乾いたら株元にたっぷり与え、梅雨明け後は朝夕の二回になることもあります。株元にバークチップや腐葉土を敷くと乾きが遅くなり、地温の上昇も抑えられます。
四月に植えた株が六月に蕾を持ったら、最初の年は数を減らすと株の消耗を防げます。全部咲かせても構いませんが、花後の伸びが弱いようなら翌年からの咲き方に響きます。
- 一週間は毎日水
- 植え付けから一週間は雨がなければ毎日、株元に水を与えます。葉が昼にしおれ夕方に戻るなら足りており、夕方も戻らないなら量を増やします。
- 真夏は寒冷紗で覆う
- 植えた年の七月と八月は、西日側に寒冷紗を張ると葉焼けと乾きが減ります。九月に入って暑さが緩んだころに外します。
- 肥料は一か月後から
- 植え付け直後の追肥(育ちの途中で足す肥料)は根を傷めます。新芽が伸び始めるのを確かめてから、緩効性肥料を株の周りに置きます。
植え付けで失敗したときの立て直し
植えてから葉が黄色くなったり落ちたりするのは珍しくなく、原因は水切れ、根鉢の崩し過ぎ、土の酸度のどれかにたいてい絞れます。落ち方の順番と葉の色を見て切り分けます。
枝が緑で枝先の芽が固くしまっていれば株は生きています。葉を落としても慌てて肥料を与えず、水だけを保って新芽を待つのが基本です。
| 症状 | 疑う原因 | 手当て |
|---|---|---|
| 下葉から黄色く落ちる | 根鉢を崩した、水切れ | 日よけをして水を保ち、新芽を待つ |
| 新葉が葉脈を残して黄色い | 土がアルカリ寄り | 鹿沼土やピートモスで表土を替える |
| 葉が黒ずんでしおれる | 水のやり過ぎ、水はけ不良 | 水を控え、鉢なら土を替えて植え直す |
| 蕾が黄色くなって落ちる | 乾き、根が動いていない | 蕾を減らし、朝夕の水で乗り切る |
移植した大株が一年葉を落とし続けても、春に新芽が出れば回復します。二年目の初夏まで判断を待ちます。
クチナシの植え付けに使うもの
苗も球根も、植えたあとに動かすと根が傷みます。植える日にそろえておくものだけを挙げます。
- 草花用の培養土探す言葉「草花 培養土 元肥入り」
- 規格の目安
- 元肥入り、水はけ重視の配合。14〜25L の袋。
- 数量の目安
- 8 号鉢 1 個で約 8L、65cm プランターで 12〜15L、花壇なら 1 ㎡ あたり 20〜30L。
花壇でも、土が固いところは掘り上げて培養土を混ぜたほうが根が張ります。
- 腐葉土探す言葉「腐葉土 園芸」
- 規格の目安
- 葉の形が残っている完熟のもの。40L 前後の袋。
- 数量の目安
- 花壇 1 ㎡ あたり 5〜10L を掘り上げた土に混ぜます。
土をふかふかにして、水もちと水はけを同時に良くします。花壇の土づくりの基本です。
- 緩効性肥料(元肥)探す言葉「緩効性肥料 元肥 マグァンプ」
- 規格の目安
- 粒状で 1 年ほど効くタイプ。植え穴の底に入れて使います。
- 数量の目安
- 8 号鉢 1 個に 5〜10g、花壇 1 ㎡ あたり 50g 前後。
根に直接触れないよう、土を一枚かぶせてから植えます。触れると濃さで傷みます。量は袋の表示に従ってください。
出典: 農林水産省「都道府県施肥基準等」
- 移植ごて探す言葉「移植ごて ステンレス 目盛り」
- 規格の目安
- 幅 6〜8cm。目盛り付きなら球根の深さを測れます。
球根は「球の高さの 2〜3 倍の深さ」に植えるのが基本で、目分量だと浅くなりがちです。
- 球根植え器は、球根をまとめて植えるようになってからで十分です。移植ごてで足ります。
- 鉢を毎回買い替えなくても、古い鉢を洗って日に当てれば使えます。
クチナシの長く咲かせるコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はクチナシの育て方にまとめています。
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