症状から原因を切り分ける
花菖蒲のトラブルは、葉の症状と株元の状態を見ればおおよそ切り分けられます。まず葉の色と斑点の形を確かめ、次に株元を触って硬さを見ます。下の表で近い症状を探してから、それぞれの節を読みます。
| 症状 | 考えられる原因 | 先に読む節 |
|---|---|---|
| 葉に茶色の縦長の斑点 | 葉枯れ病 | 葉枯れ病 |
| 新芽やつぼみに小さな虫 | アブラムシ | アブラムシ |
| 葉に白いかすり模様 | ハダニ | アブラムシ |
| 株元が黒く柔らかい | 根茎の腐り | 根茎の腐りと立て直し |
| 葉は元気だが咲かない | 日照不足か株の老化 | 咲かないとき |
葉枯れ病
葉枯れ病は花菖蒲で最も多い病気で、葉に茶色の細長い斑点が出て、やがて葉全体が枯れ上がります。梅雨から夏の多湿な時期に広がり、株が混み合って風が通らないと被害が大きくなります。病気の葉を放置すると翌年に持ち越します。
斑点の見た目で他の病気と見分けます。葉枯れ病は葉脈に沿った細長い茶色の斑点で、周りが黄色くにじみます。丸い斑点が散らばるなら別の斑点病で、対処は同じく病葉の除去です。
- 病気の葉を取り除く
- 斑点の出た葉は早めに地際から切り取り、庭に残さず捨てます。落ち葉も集めて処分し、株元を清潔に保ちます。
- 株間を空けて風を通す
- 株が混んでいるなら花後に株分けして、株間を三十センチほど空けます。鉢植えは鉢どうしを離して置きます。
- 薬剤を使うなら早めに
- 毎年ひどく出る場合は、草花用の殺菌剤を新芽が伸びる四月から予防的に使います。広がってからでは効きにくいです。
秋に枯れた葉をきれいに取り除くだけでも翌年の発生がかなり減ります。
アブラムシとハダニ
アブラムシは葉の裏や花茎の付け根に群がり、放置するとつぼみが変形して開かなくなります。ハダニは乾燥した夏に発生し、葉の色が白っぽくかすれてきたら葉の裏を確かめます。
- アブラムシは五月に見回る
- つぼみが上がる五月に、新芽やつぼみの根元に群がります。少なければ指でつぶすか水で流し、多ければ草花用の殺虫剤を使います。
- ハダニは葉水で防ぐ
- 乾燥する夏に葉の裏に付き、葉が白くかすれます。葉の裏に霧吹きで水をかける習慣をつけると発生を抑えられます。
- ヨトウムシは夜に探す
- 葉が大きくかじられていたら、夜に懐中電灯で株元を照らして探します。見つけたら捕まえて処分します。
根茎の腐りと立て直し
株元が黒くなり、触るとぶよぶよと柔らかいときは根茎が腐っています。夏の高温期に腰水が温まったり、深植えで根茎が土に埋もれて蒸れたりすると起きます。腐りは周囲に広がるので、見つけたらすぐに掘り上げます。
- 掘り上げて腐った部分を切る
- 株を掘り上げ、根茎の黒く柔らかい部分を清潔なナイフで白く硬い部分まで切り落とします。切り口は数時間乾かします。
- 新しい土に浅く植える
- 古い土は使わず、新しい土に根茎が薄く隠れる深さで植え直します。二週間ほどは腰水にせず、土が乾いたら与える程度にします。
- 夏の腰水を見直す
- 腐りが出た株は、腰水を朝に替え、午後は鉢を日陰に置きます。鉢の温度が上がらないだけで再発はかなり減ります。
腐りが株の一部なら、健全な芽だけを切り分けて植え直せば助かります。全体が柔らかい株は諦めて処分します。
咲かないとき
咲かない原因は一つとは限りません。株の姿と前年の管理を照らし合わせて判断します。二年以上同じ場所で咲かない場合は、掘り上げて根茎の状態を確かめると分かることが多いです。
| 株の姿 | 考えられる原因 | 対処 |
|---|---|---|
| 葉が細く短い | 日照不足か肥料不足 | 日当たりの良い場所へ。三月に肥料を置く |
| 葉は立派だが花茎が上がらない | 肥料の与えすぎ | 翌年の三月の肥料を半分に減らす |
| 株の中央に葉がない | 株の老化 | 花後に株分けして若い根茎を植え直す |
| 前年の夏に葉が枯れた | 夏の水切れで花芽ができなかった | 今年の夏は水を切らさず秋まで葉を保つ |
植え付けや株分けをした翌年は花が少なめでも普通です。二年目からの花数で判断します。
花の形や色がおかしいとき
花弁が小さく開ききらない、花色が薄いといったときは、開花期の水切れか肥料切れが多いです。つぼみが黄色くなってしぼむのは、五月の高温乾燥でつぼみが傷んだ場合と、アブラムシの吸汁による場合があります。
花色が薄いのは日照不足でも起きます。つぼみが色づく五月に日当たりが足りないと、本来の濃さが出ません。鉢植えなら五月だけでも日当たりの良い場所へ動かします。
- つぼみの根元を見る
- つぼみがしぼんだら根元にアブラムシがいないか確かめます。いなければ乾燥が原因なので、開花期は水を切らさないようにします。
- 咲き分けの品種は年で変わる
- 絞りや覆輪の品種は、年によって色の出方が変わることがあります。株の異常ではないので、そのまま育てて構いません。
花菖蒲の長く咲かせるコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方は花菖蒲の育て方にまとめています。
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