株分けか種かを選ぶ
花菖蒲を増やす方法は株分けと種まきの二つです。品種の花をそのまま増やしたいなら株分けの一択で、翌年から花が見られます。種は同じ花色になる保証がなく開花まで二〜三年かかりますが、新しい花が出る楽しみがあります。
どちらの方法でも、親株を弱らせないことが前提です。株分けは大株から、種採りは一〜二輪だけにとどめると、翌年の花を減らさずに増やせます。
| 目的 | 方法 | 花が咲くまで |
|---|---|---|
| 同じ品種の株を増やしたい | 株分け | 翌年の六月 |
| 古くなった株を若返らせたい | 株分け | 翌年の六月 |
| 新しい花色を作りたい | 種まき | 二〜三年後 |
| たくさんの苗を安く作りたい | 種まき | 二〜三年後 |
株分けの適期
株分けは花が終わった直後の六月下旬から七月が最適です。この時期は新しい根が伸び始めるので、切り分けても回復が早いです。九月下旬から十月にも行えますが、冬までに根が張りきらないことがあります。
三月の芽出し前にも分けられますが、当年の花は小さくなります。一株から取れる苗の数は、三年育てた株で三〜五株が目安です。大株を一度に全部分けると翌年の花が減るので、半分だけ分けるのも手です。
- 前日にたっぷり水を与える
- 掘り上げる前日に水を与えておくと、根が切れにくく、作業後の水切れも起きにくくなります。
- 曇りの日か夕方に行う
- 真夏の日中に行うと、根を露出させた株がすぐに傷みます。曇りの日か夕方の涼しい時間に作業します。
株分けの手順
分けた株は一芽だけでも育ちますが、翌年に咲かせたいなら二〜三芽の組にします。芽の数が多いほど翌年の花茎が太くなり、花も大きく咲きます。
- 株を掘り上げて土を落とす
- 株の周りを広めに掘り、根を持ち上げます。バケツの水で土を洗い流すと根茎の分かれ目が見えます。
- 二〜三芽ずつに分ける
- 新しい芽の付いた根茎を、二〜三芽が一組になるよう手で割ります。硬い部分は清潔なナイフで切ります。古く黒い根茎は捨てます。
- 葉と根を切り詰める
- 葉は長さの半分に切り、長すぎる根は十センチほどに切りそろえます。蒸散と根の傷みを減らして活着を早めます。
- 浅く植えて乾かさない
- 根茎の上に二〜三センチ土がかかる深さに植え、たっぷり水を与えます。二週間は土を乾かさず、直射日光の強い日は日よけをします。
植え付け直後の肥料は不要です。新しい葉が伸び始めたら固形肥料を少量置きます。夏に分けた株は日よけをして、葉が立ち上がるまで直射を避けます。
種から育てる
種を採るなら、花後に一〜二輪だけ花の付け根の膨らみを残します。秋に膨らみが茶色くなって割れ始めたら採り、すぐにまくか冷蔵庫で保管して春にまきます。種からの株は親と花色が異なり、多くは紫系の単色になります。
種の保存は乾かしすぎないことが大切です。採った種を紙袋に入れ、湿らせたキッチンペーパーと一緒に密閉袋で冷蔵庫に入れておくと、春まで発芽力が保てます。
| 時期 | 作業 | 目安 |
|---|---|---|
| 9月〜10月 | 種を採る | 膨らみが茶色くなり割れ始めたら |
| 10月(採りまき) | 鉢にまく | 一センチの深さ。冬は軒下で腰水 |
| 3月(春まき) | 冷蔵保存した種をまく | 一晩水に浸けてからまく |
| 翌年の6月 | 苗を植え替える | 葉が十センチほどになったら一本ずつ |
| 二〜三年目の6月 | 初めての開花 | 花を見て残す株を選ぶ |
種まきの手順
実生の苗は一年目は葉が細く、他の草に負けやすいです。鉢のまま日当たりの良い場所で育て、二年目の六月に一本ずつ鉢上げすると管理が楽です。
- 一晩水に浸ける
- 花菖蒲の種は皮が硬いので、まく前に一晩水に浸けます。浮いた種は中身が入っていないので捨てます。
- 一センチの深さにまく
- 小粒の赤玉土を入れた鉢に、種を二センチ間隔で置いて一センチほど土をかぶせます。受け皿に水を張って乾かさないようにします。
- 発芽までは屋外の日なたで
- 採りまきなら冬の寒さに当てて春に芽が出ます。春まきは一〜二か月で発芽します。芽が出るまで腰水を切らさないようにします。
うまく増えないときの原因と直し方
株分け後の株は、翌年の花で成功を判断します。花茎が太く上がれば成功、細くて花が小さければ株が小さすぎたか、夏の水が足りなかった可能性があります。
| 場面 | 考えられる原因 | 直し方 |
|---|---|---|
| 分けた株が枯れた | 植え付け後の乾燥か、真夏の作業 | 曇りの日に行い、二週間は水を切らさない |
| 分けた株が翌年咲かない | 一芽だけの小さな株にした | 二〜三芽の組で分け、当年は葉を育てる |
| 種が発芽しない | 乾燥させた種を春に直まきした | 一晩水に浸け、腰水で乾かさない |
| 実生の花色が親と違う | 種は親と同じ色にならない | 気に入った株だけ株分けで増やす |
株分けは多少失敗しても親株が残ります。初めてなら株の半分だけ分けて試すのが安全です。
花菖蒲の挿し芽・株分けに使うもの
挿し芽は、肥料分のない清潔な土に挿すのが基本です。培養土に挿すとうまくいかないのはそのためです。
- 挿し芽用土(赤玉土小粒・鹿沼土)探す言葉「挿し芽 用土 赤玉土 小粒」
- 規格の目安
- 赤玉土の小粒か鹿沼土の単用、または「挿し芽・種まき用」と書かれた土。
- 数量の目安
- 3 号ポット 1 個で 0.2L、育苗箱 1 枚で 2L 前後。
肥料分があると、根が出る前に切り口が傷みます。清潔で肥料のない土であることが条件です。
- 発根促進剤探す言葉「発根促進剤 挿し木」
- 規格の目安
- 粉末を切り口に付けるタイプか、液に浸すタイプ。
根の出にくい種類で成功率が変わります。出やすい草花なら無くても十分です。
- よく切れるはさみ・カッター探す言葉「園芸ばさみ 切れ味 ステンレス」
- 規格の目安
- 刃渡り 3〜5cm。使う前にアルコールで拭きます。
切り口が潰れると水を吸えません。斜めに一度で切るのが基本です。
- 3 号ポット・育苗箱探す言葉「ポリポット 3号 育苗」
- 規格の目安
- 直径 9cm(3 号)のポットか、浅い育苗箱。
根が出るまでは小さい容器のほうが管理しやすく、乾き具合も見えます。
- 発根しやすい草花なら、発根促進剤は要りません。水に挿すだけで根が出るものもあります。
- 密閉できる容器があれば、挿し芽用の温室は要りません。
花菖蒲の長く咲かせるコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方は花菖蒲の育て方にまとめています。
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