一年の流れ
花菖蒲の一年は、三月の芽出しに始まり、六月の開花で一つの山を迎え、花後の七月に株分けと植え替えを行い、秋に葉が枯れて休眠に入ります。作業が集中するのは三月と六月から七月で、それ以外の月は水やりと観察が中心です。
| 月 | 主な作業 | 株の様子 |
|---|---|---|
| 1月〜2月 | 何もしない。鉢は霜の当たらない軒下へ | 休眠。地上部は枯れている |
| 3月 | 肥料を置く。枯れ葉の整理 | 芽が動き出す |
| 4月 | 液体肥料。水を切らさない | 葉が伸びる |
| 5月 | 水やりを増やす。害虫の見回り | 花茎が上がりつぼみが見える |
| 6月 | 開花。花がら摘み | 品種により上旬から下旬に咲く |
| 7月 | 花茎を切る。株分けと植え替え。花後の肥料 | 新しい根が伸び始める |
| 8月 | 水切れに注意。腰水の水替え | 葉を保ちながら花芽を作る |
| 9月〜10月 | 水やりを減らす。秋植えも可 | 葉の勢いが落ちる |
| 11月〜12月 | 枯れ葉を地際で切る。腰水をやめる | 葉が枯れて休眠に入る |
三月から五月の作業
三月の作業は芽の動き出しを見て決めます。株元に緑の芽先が見えたら肥料を置く目安で、まだ見えないなら一〜二週間待ちます。暖地では二月下旬から動き出すことがあります。
- 三月の肥料と枯れ葉整理
- 芽が動き出す前に、残っていた枯れ葉を取り除き、緩効性の固形肥料を株元から離して置きます。鉢植えは受け皿に水を張り始めます。
- 四月は水を切らさない
- 葉が伸びる時期で水の要求が増えます。鉢植えは腰水を保ち、庭植えは土が乾いたら与えます。液体肥料を二週間に一度与えます。
- 五月は花茎を見守る
- 花茎が上がってきたら肥料をやめ、水だけを切らさないようにします。アブラムシがつぼみに付きやすいので、見つけたら早めに取ります。
六月から七月の作業
六月は開花の月で、早生の品種は上旬から、遅い品種は下旬に咲きます。花は一輪が二〜三日で終わるので、しおれた花は毎日のように摘みます。雨の多い時期なので、花の重みで倒れる茎は支柱で軽く支えます。
梅雨の長雨で花が傷みやすい年は、開花中の鉢を軒下に移すと花が長持ちします。庭植えは動かせないので、雨の後にしおれた花を早めに取り除いて病気の元を減らします。
- 花がらを毎日摘む
- しおれた花は付け根の膨らみごと折り取ります。種を付けさせないことで株の消耗を防ぎ、翌年の花につなげます。
- 花が終わったら株分け
- 六月下旬から七月に、三年以上経った株や鉢に根が回った株を掘り上げて株分けします。分けた株は葉を半分に切り、乾かさないように植えます。
- 七月上旬に花後の肥料
- 植え替えなかった株には花後すぐに、植え替えた株は二週間後に固形肥料を置きます。八月に入ってからは与えません。
八月から十月の作業
八月から九月の株の姿を見て、翌年の花の見通しを立てます。葉が濃い緑を保っていれば花芽が順調に作られている合図です。葉先が枯れ込んでいるなら水が足りていないので、すぐに増やします。
- 八月は水切れを防ぐ
- 翌年の花芽が作られる時期です。庭植えでも晴天が続いたら朝夕に水を与え、鉢の腰水は毎朝替えます。葉は切らずに残します。
- 九月に水やりを減らす
- 涼しくなったら腰水をやめ、土が乾いてから与える管理に戻します。九月から十月は植え付けの適期でもあるので、苗を買ったら早めに植えます。
- 十月は枯れ葉を整理する
- 外側から黄色くなった葉を取り除きます。まだ緑の葉は残しておき、株全体が枯れるまで待ちます。
十一月から二月の作業
葉が黄色く枯れたら、地際から五センチほど残して切り取ります。関東の露地なら防寒は不要で、鉢植えは霜が直接当たらない軒下に移す程度で越冬します。水やりは庭植えでは不要、鉢植えは土が乾いたら日中に少量与えます。
冬に葉を切るかどうかは、葉の色で判断します。全体が黄色から茶色に変わっていたら切って構いません。まだ緑が残る葉は光合成を続けているので、枯れるまで待ちます。
| 地域 | 冬の管理 | 注意点 |
|---|---|---|
| 寒冷地 | 鉢は凍らない場所へ。庭は落ち葉で覆う | 凍結と乾燥で根茎が傷む |
| 関東平野部 | 軒下に移す程度で可 | 霜柱で株が浮いたら土を寄せる |
| 暖地 | 特に対策なし | 冬も土が乾きすぎないように |
作業が遅れたときの立て直し
作業が遅れたときは、株の姿を見て次の一手を決めます。葉が緑で張りがあるなら急ぐ必要はなく、次の適期を待ちます。葉が枯れ込んでいるなら水と置き場所を先に直します。
| 場面 | 起きること | 対処 |
|---|---|---|
| 三月の肥料を忘れた | 花がやや小さくなる | 四月に液体肥料を薄めて二〜三回与える |
| 株分けを七月に逃した | 夏の暑さで作業しにくい | 九月下旬から十月に涼しくなってから行う |
| 夏に水を切らした | 翌年の花数が減る | 秋まで水を保ち、翌春に肥料を控えめに与える |
| 冬に葉を切り忘れた | 枯れ葉が病気の元になる | 三月の芽出し前に取り除けば問題ない |
作業を逃しても株が枯れることはまれです。翌年の花が減る程度なので、次の適期で取り戻します。
花菖蒲の栽培に一年を通して使うもの
咲かせるための買い物は、野菜とは比率が違います。窒素を効かせすぎると葉ばかり茂って花が減るので、そこを外さないものを挙げます。
- 草花用の培養土探す言葉「草花 培養土 元肥入り」
- 規格の目安
- 元肥入り、14〜25L の袋。水はけを重視した配合のもの。
- 数量の目安
- 直径 24cm(8 号)の鉢 1 個で約 8L、65cm プランター 1 個で 12〜15L。
野菜用の土は肥料分が多く、草花では葉ばかり伸びることがあります。袋の表示で用途を確かめます。
- 緩効性肥料(置き肥)探す言葉「緩効性肥料 草花 置き肥」
- 規格の目安
- 粒状で 2〜3 か月効くタイプ。リン酸の比率が高い「花用」と書かれたもの。
- 数量の目安
- 8 号鉢 1 個に 10〜15g(大さじ 1 強)を 2〜3 か月ごと。
置いておくだけで少しずつ溶けるので、水やりのたびに考えなくて済みます。夏の高温期は効きが強く出るので量を控えます。
- 液体肥料探す言葉「液体肥料 花 リン酸」
- 規格の目安
- 1000 倍希釈の原液。リン酸(P)の数字が高いものが花向きです。
つぼみが上がる時期だけ、週 1 回のペースで足します。効きが早いぶん、切れるのも早いのが液肥です。
- 花がら摘み用のはさみ探す言葉「園芸ばさみ 花がら摘み」
- 規格の目安
- 刃渡り 3〜5cm、先の細いもの。
咲き終わった花を残すと種を作りに養分が回り、次の花が減ります。摘み続けられるかどうかで花期の長さが変わります。
- 活力剤は肥料の代わりになりません。肥料を与えているなら急ぎません。
- 「花用」「野菜用」で土を分けるのは、両方を育てるようになってからで十分です。
花菖蒲の長く咲かせるコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方は花菖蒲の育て方にまとめています。
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