見た目から病害虫を見分ける
アイリスの不調は根茎の腐りか葉の病気か虫のどれかにたいてい絞れます。株元から嫌な臭いがして葉が根元から倒れれば軟腐病、葉に茶色い斑点が広がれば葉枯病、葉の中に食い進んだ跡があればアヤメキバガの幼虫です。まず株元と葉を順に見ます。
| 見た目 | 疑うもの | 出やすい時期 |
|---|---|---|
| 根元が柔らかく臭い、葉が倒れる | 軟腐病 | 梅雨〜夏 |
| 葉に茶色の斑点、先から枯れる | 葉枯病 | 梅雨と秋の長雨 |
| 葉の内側に食い跡、根茎に穴 | アヤメキバガの幼虫 | 5月〜7月 |
| 新芽や花茎に緑の小虫 | アブラムシ | 春 |
| 葉がかすれて白っぽい | ハダニ | 夏の乾燥時 |
軟腐病は傷と蒸れから入る
軟腐病は土の中の細菌が根茎の傷から入り、根茎をどろどろに溶かします。梅雨の高温多湿で一気に進み、放っておくと株ごと消えます。傷を作らないこと、根茎を日に当てて乾かすこと、窒素肥料を控えることが三本柱です。かかった部分は迷わず切り取ります。
- 深植えしない
- 根茎の上半分を地表に出し、日に当てます。土に埋まった根茎は湿りっぱなしで細菌の入口になります。
- 傷を作らない
- 株元の草取りで根茎を傷つけると、そこから入ります。株元は手で抜き、道具を使いません。
- 見つけたら削る
- 柔らかくなった部分をスプーンで固い所までえぐり取り、切り口を日に当てて乾かします。晴れの日に行います。
- 重症なら掘り上げる
- 半分以上腐っていたら掘り上げ、健全な部分だけ切り分け、一日乾かしてから新しい土に植え直します。
軟腐病の出た場所には数年は同じ系統を植えません。細菌が土に残るためです。
アヤメキバガは葉の中を食い進む
五月ごろ、葉の付け根に小さな穴と食い跡があり、葉が途中から枯れていたらアヤメキバガの幼虫です。葉の中を食い進んで根茎に達し、そこから軟腐病を呼び込みます。葉を一枚ずつ指で押して、中に空洞を感じる葉を見つけて中の幼虫をつぶします。
成虫は小さな蛾で、四月から五月に葉の間に卵を産みます。この時期に株元の枯れ葉を取り清潔にしておくと、産卵そのものが目に見えて減ります。
- 葉を触って空洞を探す
- 葉の下から上へ指でなぞり、ふかふかと空洞になった所を探します。そこに幼虫がいます。
- 葉を裂いてつぶす
- 空洞の葉を縦に裂き、中の幼虫を取り出してつぶします。葉は根元から切り取って捨てます。
- 根茎の穴を確かめる
- 葉の付け根の根茎に穴があれば、幼虫が入っています。穴を広げて取り出し、切り口を乾かします。
- 冬の枯れ葉を片付ける
- 成虫は枯れ葉に卵を産みます。晩秋に枯れ葉を全部取り除くと翌年の発生が目に見えて減ります。
葉の斑点は雨の跳ね上がりで広がる
葉枯病は葉に楕円の茶色い斑点ができ、次第に葉先から枯れ上がる病気です。命に関わることは少ないものの、葉が減ると翌年の花が減ります。雨の跳ね上がりで広がるので、株元を落ち葉のないきれいな状態に保ち、病葉は早めに切って捨てます。
秋の長雨のあとにも出ます。九月に斑点が増えたら冬までに病葉を全部取り、株元を清潔にして越冬させると翌春の発生が減ります。
- 斑点の葉を切る
- 斑点が出た葉を見つけたら根元で切り、袋に入れて捨てます。地面に落とすと胞子が残ります。
- 水は株元に
- 上から葉にかける水やりは避け、株元の土に注ぎます。葉が濡れる時間を短くするだけで減ります。
- 鉢の間を空ける
- 鉢どうしが触れると葉の間で湿気がこもります。葉先が隣に触れない距離に置き直します。
系統別に警戒する時期
病害虫の出方は系統で少し違います。乾いた場所のジャーマンとアヤメは軟腐病とキバガ、水辺のハナショウブとカキツバタはアブラムシと葉枯病が主です。それぞれの警戒時期を決めて、その時期だけ観察を密にします。
| 時期 | 警戒するもの | 打つ手 |
|---|---|---|
| 4月〜5月 | アブラムシ、キバガの幼虫 | 新芽と葉の付け根を週二回見る |
| 6月〜7月 | 軟腐病、葉枯病 | 雨よけ、花後すぐの株分け |
| 8月 | ハダニ、根茎の腐り | 葉裏に水をかけ、乾かし気味に |
| 10月〜11月 | 枯れ葉に残る卵 | 枯れ葉を全部片付ける |
被害が出たあとの立て直し
アイリスは根茎か球根の一部さえ生きていれば復活します。腐った部分を切り、乾かして植え直す、それだけで翌年には葉が出ます。あきらめる前に株元を掘って、固い部分が残っているかを確かめてください。
- 生きている部分を探す
- 根茎を押して固い所を探します。固い部分に芽か根が付いていれば、そこだけで再生できます。
- 切って乾かして植える
- 腐りを切り落とし、切り口を日に半日当てます。乾いたら新しい土に浅く植え、水は数日与えません。
- 翌年は葉を育てる
- 再生した年は花を期待せず、葉を三枚以上に育てることを目標にします。翌々年に咲けば成功です。
病気の出た鉢の土は捨て、鉢は洗って日に干してから使います。使い回すと同じことが起きます。
アイリスの長く咲かせるコツは作物ページに
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