根の形と葉の姿で系統を分ける
園芸店でアイリスとして売られているものには、太い根茎が地表をはうジャーマンアイリス、球根で売られるダッチアイリス、湿った土を好むハナショウブやカキツバタ、乾いた土を好むアヤメなどがあります。育て方は系統ごとにまるで違い、間違えると一年で枯れます。
手元の株が何かを確かめる目安は、根の形と植わっていた場所です。土から根茎がのぞいていればジャーマン、小さな球根ならダッチ、水辺で買ったならハナショウブかカキツバタと考えて、まずは大まかに分けます。
| 系統 | 根の形 | 好む水分 | 花期 |
|---|---|---|---|
| ジャーマンアイリス | 太い根茎が地表に出る | 乾き気味 | 4月下旬〜5月 |
| ダッチアイリス | 小さな球根 | 普通 | 4月〜5月 |
| ハナショウブ | 細い根茎が地中 | 湿り気を好む | 6月 |
| カキツバタ | 細い根茎が地中 | 浅い水の中 | 5月 |
| アヤメ | 細い根茎が地中 | 乾き気味 | 5月 |
ラベルに系統が書かれていない株は、葉の付け根を掘ってみて根の形を確かめます。この一手間で一年後の結果が変わります。
花の模様で見分ける
咲いているなら花びらの模様がいちばん確かな手がかりです。外側に垂れる三枚の花びらの付け根に注目します。ジャーマンは毛が生えたブラシのような模様、ハナショウブは黄色い筋、カキツバタは白い筋、アヤメは網目の模様が出ます。
- 外花被の付け根を見る
- 外側に垂れる大きな花びらを持ち上げ、付け根の模様を見ます。ここが系統ごとにはっきり違う場所です。
- ブラシ状の毛ならジャーマン
- 付け根に毛が集まって帯になっていればジャーマンアイリスです。ひげアイリスとも呼ばれる理由です。
- 黄色の筋ならハナショウブ
- 付け根から黄色い筋が一本伸びていればハナショウブ。花が大きく葉の中央の筋が目立つのも特徴です。
- 網目ならアヤメ
- 付け根に紫と白の網目模様があればアヤメです。花は小ぶりで、乾いた草地で育ちます。
置き場所と土を系統に合わせる
見分けがついたら、置き場所と土を系統に合わせます。ジャーマンアイリスは日当たりと水はけが最優先で、根茎が地表で日に当たるように浅植えにします。ハナショウブは反対に水を切らさず、鉢なら受け皿に水をためて育てます。同じアイリスでもここが正反対です。
| 系統 | 置き場所 | 土 | 鉢の場合 |
|---|---|---|---|
| ジャーマン | 一日中日が当たる乾いた場所 | 水はけよく苦土石灰を混ぜる | 素焼き鉢、浅植え |
| ダッチ | 日当たりのよい場所 | 一般の草花用培養土 | 球根の三倍の深さ |
| ハナショウブ | 日当たりで足元が湿る場所 | 保水性の高い土 | 受け皿に水をためる |
| カキツバタ | 水辺、浅い水中 | 田土や荒木田土 | 水を張った容器 |
| アヤメ | 日当たりのよい乾いた場所 | 一般の草花用培養土 | 普通の鉢植え |
初心者が育てやすい系統
関東平野部の庭やベランダで手間なく咲かせるなら、ダッチアイリスの球根がいちばん楽です。秋に植えて春に咲き、その後は掘り上げずに二、三年放っておけます。次に楽なのがジャーマンアイリスで、水やりをさぼるくらいでちょうどよく、乾燥に強い代わりに梅雨の蒸れだけ気をつけます。
- まずはダッチの球根
- 秋に球根を五個ほど買って鉢に植えます。春に細身の花が咲き、切り花にも向きます。失敗が少ない入門です。
- 庭があればジャーマン
- 根茎を株分けした苗を秋に植えます。水はけのよい花壇の縁なら数年で株が広がり、大輪の花が楽しめます。
- 水辺を作れるならハナショウブ
- 大きめの鉢と受け皿があれば育ちます。六月の梅雨どきに咲くので、雨の季節に花を見たい人向きです。
系統の違うアイリスを同じ鉢に混ぜて植えると、どちらかの水管理が合わず必ず片方が弱ります。鉢は系統ごとに分けます。
品種札を失ったときの見分け
もらった株や引っ越し先の庭に残っていた株は、名前が分からないことがよくあります。葉の姿と出ている時期でも見当がつきます。冬に葉が残っているか、葉に中央の筋があるか、葉の幅はどれくらいかの三点を見て判断します。
| 見た目 | 考えられる系統 | 確かめ方 |
|---|---|---|
| 幅広の葉が扇状に並び根茎が見える | ジャーマン | 根茎を触ると固く太い |
| 細い葉が冬にも青々と残る | ダッチ | 掘ると小さな球根 |
| 葉の中央に太い筋が立つ | ハナショウブ | 湿った場所で元気 |
| 葉に筋がなく細くしなやか | カキツバタかアヤメ | 水辺ならカキツバタ |
系統を間違えたときの立て直し
ハナショウブだと思って湿らせて育てていたジャーマンアイリスは、根茎が腐って葉が根元から倒れます。逆にジャーマンのつもりで乾かしていたハナショウブは葉先から枯れ上がります。どちらも気づいた時点で置き場所と水を切り替えれば、株が残っていれば持ち直します。
- 根茎を掘って確かめる
- 株元を指で掘り、根の形と固さを確かめます。ぶよぶよなら腐っているので、固い部分だけ切り分けて残します。
- 腐った部分を切る
- 根茎の腐った所を清潔な刃で切り落とし、切り口を半日ほど日に当てて乾かしてから植え直します。
- 水管理を切り替える
- 乾かしすぎていたなら受け皿に水を張り、湿らせすぎていたなら素焼き鉢に浅く植え直して日に当てます。
- 花は翌年に期待する
- 立て直した年は葉を育てることに専念します。秋までに葉が三枚以上残れば、翌年の春か初夏に咲きます。
アイリスの長く咲かせるコツは作物ページに
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