一年の作業を月で追う
関東平野部を前提に、ジャーマンアイリスとダッチアイリスとハナショウブの三系統の作業を一つの表にまとめます。共通するのは秋の植え付け、春の追肥(育ちの途中で足す肥料)、花後の花茎切りで、夏の水管理だけが系統で分かれます。
| 月 | ジャーマン | ダッチ | ハナショウブ |
|---|---|---|---|
| 1〜2月 | 休眠、水は控える | 葉を霜から守る | 地上部は枯れる |
| 3月 | 芽出し肥、古葉を取る | 芽出し肥 | 芽出し肥、水を増やす |
| 4月 | つぼみが上がる | 開花 | 葉が伸びる |
| 5月 | 開花、花がら摘み | 花後、葉を残す | つぼみが上がる |
| 6月 | 花茎切り、お礼肥 | 葉が枯れたら掘り上げ | 開花、花後すぐ株分け |
| 7〜8月 | 休眠、雨を避ける | 球根を乾燥保存 | 水を切らさない |
| 9〜10月 | 株分けと植え付け | 球根を植える | 植え替えもできる |
| 11〜12月 | 落ち葉を取る | 葉が出る | 枯れ葉を刈る |
三月は芽出しと片付け
三月に入ると株元から新しい葉が動き出します。冬のあいだに枯れた古い葉を根元から取り除き、株元に日と風を通します。ジャーマンアイリスの根茎に触れ、柔らかい部分があれば切り取っておきます。芽出し肥はこのときに与えます。
- 枯れ葉を引き抜く
- 茶色くなった葉を根元から引きます。抜けないものは根元で切り、病気の元になる落ち葉も拾います。
- 根茎を触って確かめる
- ジャーマンは根茎を指で押し、固ければそのまま、柔らかければその部分を切って乾かします。
- 肥料を株元から離して
- 緩効性肥料を根茎から五センチ離してまきます。根茎に肥料が触れると腐る原因になります。
- 水やりを再開
- ジャーマンとアヤメは土が乾いたら、ハナショウブは受け皿に水を張って、それぞれ春の管理に切り替えます。
四月から五月は開花と花がら摘み
四月にダッチアイリス、四月下旬からジャーマンアイリス、五月にアヤメとカキツバタが順に咲きます。ジャーマンは一本の花茎に数輪が順に咲くので、しぼんだ花を毎日摘むと次の花が長持ちします。強い雨で花茎が倒れやすいので、背の高い品種は支柱を立てます。
ダッチアイリスは咲き終わっても葉が青いうちは掘り上げません。葉が黄ばむまで一か月ほどそのまま日に当て、球根を太らせます。
- 支柱を早めに立てる
- ジャーマンのつぼみが見えたら花茎の横に支柱を立て、ゆるく結びます。開花後だと花を傷めます。
- しぼんだ花を摘む
- 花がしぼんだら付け根で摘みます。種ができ始めると次の花が小さくなり、株の力も奪われます。
- 咲き終わりを記録する
- 系統ごとの咲き終わりの日を記録しておくと、お礼肥と株分けの日程を翌年に迷いません。
六月は花後の作業が集中する
六月はアイリスの一年でいちばん作業の多い月です。ジャーマンは花茎を切ってお礼肥を与え、ダッチは葉が黄ばんだら掘り上げ、ハナショウブは咲き終わったらすぐ株分けをします。梅雨入り前に済ませると、蒸れによる根茎の腐りが減ります。
| 系統 | 六月にやること | 目安 |
|---|---|---|
| ジャーマン | 花茎切り、お礼肥、株分け | 花が終わって二週間以内 |
| ダッチ | 葉が黄ばんだら掘り上げ | 葉の三分の二が黄色くなったら |
| ハナショウブ | 開花、花後すぐ株分け | 花が終わった週のうちに |
| アヤメ | 花茎切り、お礼肥 | 花が終わったら |
ジャーマンの株分けは六月から七月上旬か、涼しくなった九月のどちらかで行います。真夏は避けます。
七月から八月は休眠と水管理
夏のジャーマンアイリスは休眠に入り、水も肥料もほとんど要りません。鉢なら雨の当たらない場所に移し、地植えは株元の草を刈って風を通します。ダッチの球根は掘り上げて風通しのよい日陰で乾燥保存します。ハナショウブだけは正反対で、水を切らさず葉を育てます。
休眠中のジャーマンアイリスは葉が減って寂しく見えますが、枯れているわけではありません。根茎が固ければそのまま秋を待ちます。
- ジャーマンは雨から守る
- 鉢を軒下に移し、雨を当てないようにします。地植えなら株元にマルチをせず、土を乾かすことを優先します。
- ダッチの球根を保存
- 掘り上げた球根の土を落とし、ネットに入れて風通しのよい日陰に吊るします。十月まで保存します。
- ハナショウブは朝夕水やり
- 受け皿の水を毎日替え、葉が茂るよう日に当てます。夏に葉が育つほど翌年の花が増えます。
時期を逃したときの直し方
株分けや植え付けの時期を逃しても、アイリスは丈夫なので次の適期まで待てば大丈夫です。ただし夏の高温期の株分けと、冬の凍る時期の植え付けだけは避けます。逃した作業ごとの次の機会を一覧にしておきます。
| 場面 | 起きること | 直し方 |
|---|---|---|
| 六月の株分けを逃した | 夏に蒸れて根茎が腐る | 九月に株分けし、夏は雨よけ |
| 秋の植え付けが十二月にずれた | 根が張らず凍みる | 鉢に仮植えして春に定植 |
| ダッチの掘り上げを忘れた | 梅雨に球根が腐る | 掘り上げて乾かし傷んだ球は捨てる |
| 花茎を切り忘れた | 種ができて株が弱る | 気づいたら根元で切りお礼肥 |
アイリスの栽培に一年を通して使うもの
咲かせるための買い物は、野菜とは比率が違います。窒素を効かせすぎると葉ばかり茂って花が減るので、そこを外さないものを挙げます。
- 草花用の培養土探す言葉「草花 培養土 元肥入り」
- 規格の目安
- 元肥入り、14〜25L の袋。水はけを重視した配合のもの。
- 数量の目安
- 直径 24cm(8 号)の鉢 1 個で約 8L、65cm プランター 1 個で 12〜15L。
野菜用の土は肥料分が多く、草花では葉ばかり伸びることがあります。袋の表示で用途を確かめます。
- 緩効性肥料(置き肥)探す言葉「緩効性肥料 草花 置き肥」
- 規格の目安
- 粒状で 2〜3 か月効くタイプ。リン酸の比率が高い「花用」と書かれたもの。
- 数量の目安
- 8 号鉢 1 個に 10〜15g(大さじ 1 強)を 2〜3 か月ごと。
置いておくだけで少しずつ溶けるので、水やりのたびに考えなくて済みます。夏の高温期は効きが強く出るので量を控えます。
- 液体肥料探す言葉「液体肥料 花 リン酸」
- 規格の目安
- 1000 倍希釈の原液。リン酸(P)の数字が高いものが花向きです。
つぼみが上がる時期だけ、週 1 回のペースで足します。効きが早いぶん、切れるのも早いのが液肥です。
- 花がら摘み用のはさみ探す言葉「園芸ばさみ 花がら摘み」
- 規格の目安
- 刃渡り 3〜5cm、先の細いもの。
咲き終わった花を残すと種を作りに養分が回り、次の花が減ります。摘み続けられるかどうかで花期の長さが変わります。
- 活力剤は肥料の代わりになりません。肥料を与えているなら急ぎません。
- 「花用」「野菜用」で土を分けるのは、両方を育てるようになってからで十分です。
アイリスの長く咲かせるコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はアイリスの育て方にまとめています。
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